WONKの創作の源流
――音楽制作のインスピレーション、モチベーションはどこから湧きますか?
荒田洸 それこそまわりの格好良いアーティストの新作は常にチェックしていて、それがインスピレーションのもとになるし、昔の音源もよく聴くんです。最近はサム・クックにハマっているんですけど、「いまの解釈だったら面白いかな」とか、昔の音楽を聴いていてもインスピレーションのもとになります。サンプリングで楽曲の基礎を作るときは、正にそういうことかなと。昔の曲をサンプリングして現代の音で再現してみようかなとか。「Phantom Lane」は、そういう作り方でやっています。確か昔の音をひとつさりげなくサンプリングしているし、しかもかなり音を変えたと思うんです。
モチベーションに関しては、怒りを原動力に動いているタイプなんです。当然、まわりに凄く格好良いアーティストはいますけど、そうでもない音楽もはびこっている気もするので…それを日本のポピュラーとして認めたくないし、それなら僕らがJ-POPになりたいなと思って常に頑張っています。
長塚健斗 やり方的な話になってしまうんですけど、今作は小説をベースにしたりとか、アイディアの持っていき方がそうだったりします。普段、他のアーティストのリリックを注意して聴くようになってきて調べたりしたりとか。自分が伝えたいことや世界観を表すための言葉選びは、最近凄く考えるようになりました。「Blue Moon」に出てくる言葉も、今まで選ばなかった言葉や表現の仕方があったりするんです。「こんなこと僕は書けないな」みたいなことを書いている人に対しては格好良いなと思うし。僕もそういうのを書いてみたいというのはモチベーションでもあります。
井上幹 僕は、人の曲を聴いて格好良いと思ったときが一番かな…。ベースや作曲もそうなんですけど、僕はミックスもやっていて、仕事でゲームのサウンドデザインもやっているんです。ゲームでは当たり前の音の手法みたいなのは、あまり音楽で積極的に取り入れられたりすることはなかったりとか、そういうところを考えるところはあります。あとはミックス用の新しいプラグインが出たら「これを使ってみるとどうなるんだろうな」とか、そういうのをチェックしたりして。制作意欲は音楽を聴いて湧くというのがたぶん一番多いと思うんですけど、ミックスとかサウンドをどうするかというのは、技術的なところからインスピレーションが湧くことが多いです。
江﨑文武 僕の場合は風呂に入っているときが一番かもしれません。風呂に入っているときは暇で、頭の中でメロディとかハーモニーを考えている時間になっている気がして。アルバム『Sphere』の「savior」も、進行は風呂で考えて風呂上がりにそのまま組んでという感じでしたし。今回も「Sweeter, More Bitter」のコード進行の部分は風呂で考えてiPadに落とし込んでという感じでした。
――リラックスした状態でのインスピレーションがあるのですね。
江﨑文武 そうですね。あと、基本的に僕は曲を作るということをピアノで考えるので、ピアノに向かっている時間が技術的な練習というよりも、進行を考えたりハーモニーを色々作ってみるという時間になっているなと思っています。「Blue Moon」とかは、スタジオに入って2時間くらいずっと鍵盤を引き続けた結果出来た、みたいな感じでした。
インスピレーションは常日頃の生活のなかで色んな部分から受けているんだろうなと思います。それが必ずしも音楽だけではないんだろうなとは思いつつ。風呂とかで思いついたときにやる、みたいなのもあれば、「Blue Moon」みたいに必要に迫られて楽器と長く向き合う時間を作ると、それまでにインプットされた諸々が吐き出されてくる、みたいな感じかなと思います。
モチベーションに関しては凄く難しいなと思ったんですけど、僕は基本的に何かを綺麗にすることが凄く好きなんです。ゴミを捨てたりとか、PCのファイルを整頓したりとか。音楽もわりとそういう意識でやっているなと思って。汚いものを綺麗にする、みたいな。そういう意味では僕もいろいろ曲を聴きながら「ここの和声はもっとこうしたほうが綺麗なのにな」とか、そういうのは常日頃思うんです。バンドである程度誰かがデモを上げたという状況、初めの一歩が踏み出されたあとは、ずっと「それをいかに綺麗にするか」という作業を考えているという感じです。
――メンバーそれぞれの創作の源流について具体的にお話を頂きました。それでは最後に、WONKにとっての目標や到達点のようなものはありますか?
荒田洸 「WONKがJ-POP」と言われたいです。いま僕らはJ-POPとは言われていないから。そう言われたとしても違うことをやっているかもしれないですけど、僕はそう思います。
(おわり)
作品情報
◆WONK『Moon Dance』Now on Sale
収録曲
01. Blue Moon
02. Orange Mug
03. Sweeter, More Bitter
04. Mad Puppet
05. Phantom Lane
◆WONK Moon Dance Tour
2019年8月9日(金)恵比寿 LIQUIDROOM
2019年8月14日(水)福岡 BEAT STATION
2019年8月24日(土)仙台 Darwin(ゲスト:iri)
2019年9月19日(木)梅田 Shangri-La
2019年9月20日(金)札幌 SPiCE
◆イベント情報
LOCAL GREEN FESTIVAL
2019年8月31日(土)横浜 赤レンガ倉庫
OTODAMA SEA STUDIO 2019
2019年9月15日(日)
http://otodama-beach.com/2019/schedule/?date=2019.09.15
『WONK’s Playhouse』
2019年12月2日(月)恵比寿LIQUIDROOM
LIQUIDROOM(http://www.liquidroom.net) 03-5464-0800
◆Profile
東京を拠点に活動する4 人組バンド「WONK」。メンバーそれぞれがソウル、ジャズ、ヒップホップ、ロックのフィールドで活動するプレイヤー/ プロデューサー/ エンジニアという異色なバンド。2016 年に1st アルバムを発売して以来、国内有数の音楽フェス出演や海外公演成功を果たす。ジャンルや世代を超えた国内外のビッグアーティストへ楽曲提供・リミックス・演奏参加するなど、その音楽性の高さは多方面から支持されている。













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