WONK が22日、生配信ライブ『WONK「EYES」SPECIAL 3DCG LIVE』をおこなった。本公演は最新テクノロジーを駆使した圧倒的スケールの3DCGライブで、現実世界では不可能な全く新しい数々の演出を見せた。WONKが3年ぶりにリリースした通算4枚目のフルアルバム『EYES』は、高度な情報社会における多様な価値観と宇宙をテーマとしたコンセプトアルバムで、起案からオリジナルの脚本作りを経て制作された架空の映画“EYES”のサウンドトラック的な内容の作品となっている。この日の生配信ライブでは、“EYES”の世界観で3DCGにモデリングされたWONKのメンバーがアバターとして登場し、仮想空間上でライブパフォーマンスを繰り広げた。新時代の幕開けを感じさせるスタイルで展開された本公演を以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

WONKが提示する全く新しいライブスタイル

『WONK「EYES」SPECIAL 3DCG LIVE』

 新型コロナウイルスの影響で全国6都市でのアルバムリリースツアーの延期を発表していたWONK。延期されたツアーに先行して、配信生ライブ「EYES SPECIAL 3DCG LIVE」の開催がメンバー自らの発案により決定。そして、新たな配信ライブのパートナーとして、WONKはWright Flyer Live Entertainmentと共同で3DCGライブを計画。

 本公演は、架空の映画“EYES”の世界観で3DCGにモデリングされたWONKのメンバーがアバターとしてライブを披露するという、従来のスタイルとは異なる全く新しいものだ。

 配信が始まると、井上 幹(Ba)、江崎文武(Key)、荒田 洸(Dr)、長塚健斗(Vo)の順に、WONKは宇宙服の格好のアバターとして巨大な月のもとの都市ビル屋上ステージに出現。「Introduction #5 EYES」から始まったライブは、リアルタイムでのメンバーの動きとアバターが同期し、最新技術の3DCGビジュアルと共に展開された。(※江崎の崎は正式にはたつさき)

 楽曲「EYES」では荒田の宇宙的な拍のキックに長塚のボーカルが絶妙に絡み、「Rollin’」へと続くと印象的なベースサウンドが『EYES』の世界観を拡張させるように鳴り響く。メンバーの動きやサウンドとシンクロする斬新な3DCGはステージ外でもあらゆる演出が繰り広げられる。ここでは透き通った巨大な人型の3DCGがステージを取り囲み、生ライブとは全く異なる種類の演出で魅せる。

『WONK「EYES」SPECIAL 3DCG LIVE』

 「これからまだ続きます」という長塚の言葉から繋がれた「Orange Mug」では、オレンジ色の発光体がゆったりと舞う中、グラフィックにベストマッチのグルーヴ感とサウンドで、アルバム音源やMVから得られる印象、世界観を更にブーストさせる。江崎のプレイする鍵盤の手元は音色を視覚化させるように光り輝き、メンバーの衣装もリアルタイムで色とりどりな変化を見せ、現実世界では不可能な演出が次々と目と耳に飛び込んでくる。

 長塚の「誰もやったことのないことに挑戦するってこんなにも楽しいんだなって実感します。みんな好きに楽しんでください」という言葉からの「Filament」では、艶やかに輝く3DCGによるダンサー4体がステージに加わり、仮想空間上というステージを最大限に活かした演出で魅せた。

 江崎の美しい音色のピアノで楽曲が閉じると、長塚は「みんな今日は画面越しにじっくりグルーヴを感じてください。誰かの言う通りになんて楽しまなくていいんだよ。そんな操り人形みたいに――」と告げ、ディープなグルーヴ感の「Mad Puppet」へ。サウンド、ボーカル、グルーヴ、アンサンブル、そしてメンバーと同期するアバターの動きと見所は満載だが、ステージ全体から各メンバー、時に上空からライブを見下ろすカメラワークなど、配信ライブのポテンシャルをどこまでも高く感じさせてくれる見せ方は正に最新形のライブと言えよう。

新時代を照らす明るい光

『WONK「EYES」SPECIAL 3DCG LIVE』

 MCでメンバーはリアルタイムで寄せられる視聴者からのコメントに感謝の意を表した。そして、「まさか自分達が3DCGのアバターになってライブをすることになるとは思わなかった」と、感慨深く語る。WONKはコメントが海外からも寄せられていることを確認し、ワールドワイドな公演であることに対し「感無量」と喜びを噛み締めていた。この日、「#wonk」がTwitterトレンド上位入りするなど、本公演の反響の大きさを如実に物語っていた。

 ライブが「Blue Moon」へと進むと、ステージには輝く蝶やジェリーフィッシュが舞い、江崎の華麗なピアノソロへと引き継がれた。「Esc」では荒田が刻むビートとシンセベースが絶好に絡み合い、楽曲が終わる頃にはメンバーはゆっくりと姿を消した――。

 荒野、遺跡、異星だろうか、ステージは全く別の空間へ転換し、クジラなどの3DCG生命体が4人を囲いながら、これまでとは別種の空気感と演出のなか「Third Kind」「Depth of Blue」が披露された。

 ライブ中盤を過ぎ、長塚は「今、世界中の人々が様々な出来事が原因で悲しみ苦しんでいます。しかし僕らは、そのほんの一部にしか気付けていません――」と語り、「こんなにも世界が進んでいるのに、自分達がいかに狭い世界で生きているか、そして自分と異なる価値観を持ち、異なる生き方をしている人がどれだけたくさんいるか、僕らは忘れてしまっています」と、『EYES』のテーマともなる内容を伝えた。

 そして、「人の優しさは変わらずそこにあるはずなのに、目に濃く映るのは誰かが何気なく発したトゲのある言葉ばかり。なんだかとっても寂しくてとっても悲しいなと思います。『自分と違うから』、それが原因で争いに繋がってしまうことばかりが目立つ今、そうした自分と違った存在が、自分の人生においてきっと何かしらの糧になるはずだと、僕らはそう信じています」と続け、「誰か、何かのその大きな波に飲み込まれず、自分の目で見て、自分の頭で考えて、そして願わくば希望を失わず前を向いて手を取り合って生きていく。まだまだ大変な時期が続きますが、そんな日が必ず来ることを僕らは信じています」と、オーディエンスへ伝えた。

 ライブ空間が真っ赤に染まる中、強烈なリフレインフレーズが轟く「If」の披露を経て、WONKはステージごと異次元空間を移動。この場面で披露された「Heroism」演奏中には、視聴者からのコメントがメンバーの周りにテキストとして次々と表示され、地球からのオーディエンスの心の声とWONKが一体となる景色を観せてくれた。

『WONK「EYES」SPECIAL 3DCG LIVE』

 そしてメンバーは最初にいた都市と月の狭間のステージに戻り、和楽器の笙(しょう)の音色と長塚の歌声が神々しく響く導入の「Fantasist」へ。どの音楽ジャンルにも属さない荒田のプレイするビートが鋭く鳴り渡り、繊細な音色の江崎のピアノ、井上の強烈なトーンのベースが重なり合う。そしてムーディーな空気感を醸す「Nothing」、恍惚とさせるエレクトリックピアノサウンドが煌めく「Phantom Lane」と、終盤を駆け抜けた。

 「これまでは当たり前にやれてきたことができなくなってしまった今、誰もが生き方そのものを問われている難しいタイミングだと思います。まだまだ明るい未来が思い描きにくい時期は続くかもしれませんが、今日のライブが、僕らの音楽が、みんなにとって少しでも希望になりますように」。

 長塚はライブラスト曲目の「In Your Own Way」の前にそう伝えた。そして、「みんな今日はありがとう。また近々、いつの日か、リアルなライブで会えることをメンバー一同楽しみにしています」と、曲中に告げ、光り輝く3DCG空間の中、WONKの新スタイル生配信ライブは幕を閉じた。

 『WONK - “EYES” SPECIAL 3DCG LIVE』での現実世界では不可能な様々な演出、WONKからのメッセージ、“EYES”という世界観、そしてWONKの音楽。それらは、未来を照らす明るい光を最新の形で提示していた。本公演は幕を閉じたが、WONKがおこなった今回のライブは新時代の幕開けと言えるのではないだろうか。このライブの模様は8月29日までアーカイブ配信される。

セットリスト

『WONK「EYES」SPECIAL 3DCG LIVE』
2020年8月22日 生配信ライブ

01.Introduction #5 EYES
02.EYES
03.Rollin’
04.Orange Mug
05.Sweeter, More Bitter
06.Filament
07.Mad Puppet
08.Blue Moon
09.Signal
10.Esc
11.Third Kind
12.Depth of Blue
13.If
14.Heroism
15.Fantasist
16.Nothing
17.Phantom Lane
18.In Your Own Way

【LIVE ARCHIVE INFORMATION】

■配信期限:
・Streaming+ 8/29(土) 20:30まで
・ニコニコ生放送  8/29(土) 21:00まで
・GYAO!  8/29(土) 23:59まで

■視聴チケット発売期間:
・Streaming+ 8/29(土)18:00まで
・ニコニコ生放送 8/28(金)23:59まで
・GYAO! 8/29(土)22:00まで

■発売URL:
Streaming+
https://eplus.jp/st-wonk/

ニコニコ生放送(Global Support)
https://live2.nicovideo.jp/watch/lv32...

GYAO!
https://yahoo.jp/i-HI_S

■チケット価格:3,800円(手数料別)
■制作:EPISTROPH / Wright Flyer Live Entertainment
■協賛:Johnnie Walker / FIVEISM

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