メイド5人によるロックバンド・BAND-MAIDが7月30日、東京・昭和女子大学人見記念講堂で単独お給仕(ライブ)『【TOUR】BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 2019【激動】』のツアーファイナルをおこなった。ツアーは6月8日の大阪・なんばHatchを皮切りに8月2日のマイナビ赤坂BLITZまで追加公演含め4公演をおこなうというもの。新曲・未発表曲3曲を含めた怒涛の全25曲を熱演。LEDパネルを使用し歌詞を投影した演出や、お給仕の世界観をより深めたライティングなど、激動というテーマに相応しいパフォーマンスで魅了した。ツアーファイナルとなった昭和女子大学人見記念講堂でのお給仕の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

焼き鳥になるっぽ!

ライブの模様(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 天井の高いホールということでまた違った彼女たちの印象を観ることができるライブになるのではないかという期待感。公演はソールドアウトということで、人見記念講堂はオーディエンスでびっしりと埋め尽くされていた。このクラスのホールも彼女たちにはもう手狭と言った感覚もあった。

 開演時刻になりお馴染みのメルヘンで妖艶さもあるSE。豹変したかのようにハードロックサウンドに切り替わるこの曲は、BAND-MAIDの外面と内面を映し出しているようだ。メンバーがステージに登場すると大きな歓声で迎えられ「Screaming」でライブの幕は開けた。様子見なんか必要ない、序盤からトップギアで会場を煽りまくる。

 2曲目には「glory」を演奏し早くもクライマックスのような盛り上がりをみせるなか、「DOMINATION」やMISAのラウドなベースサウンドが牽引した「Don’t you tell ME」とキラーチューンを立て続けに届けた。この熱量がライブ後半にはどの様になっているのか想像ができない。

「ようこそBAND-MAIDのお給仕へ!」のコールから小鳩ミク(Gt.Vo)がメインボーカルを務める「Rock in me」を披露。SAIKI(Vo)の歌声とはまた違った色を見せてくれる小鳩のボーカルは、ライブの中でもカラフルなBAND-MAIDのアクセントになっていた。オーディエンスの合いの手も加わり小鳩は「ありがとう、くるっぽ!」と感謝を告げた。

 楽器隊のスキルを堪能できるインストナンバー「ONSET-inst-」も披露された。高度なテクニックとハードエッジなサウンド、4人のぶつかり合うエナジーが凝縮されたパフォーマンスで魅了。

 今回バンドの勢いを感じさせてくれたのは「FREEDOM」だ。彩姫の煽りに応えるかのようにご主人様、お嬢様も盛大な掛け声をステージに放つ。だが、それでは物足りないとSAIKIは「もっと!」とさらに煽り立てる。AKANE(Dr)のパワフルなドラムソロでさらにエキサイティングな空間を作り上げ、歌詞にもあるように<前へ 前へ>と、バンドの意志を示しているかのような感覚を与えてくれた。

 小鳩は「熱いっぽ、焼き鳥になるっぽ!」とこの言葉からもステージ上も含め、白熱した空間が広がっているのがわかる。そして、なくてはならないコーナー「おまじないタイム」へ。MISAは小鳩がタイトルコールする瞬間に、缶ビールの炭酸が弾ける音を盛大に響かせた。メンバー曰くヨーロッパツアーから、このタイミングでビールを開けるのが定番になっているという。そんなメンバーの自由気ままな妨害!? にもめげずに小鳩は「萌え萌えキュンキュン」と「BAND-MAID」の掛け声を叫ぶ。ライブの回を増すごとに小鳩の激しさはうなぎのぼりだ。

おまじないタイムの1コマ(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 「おまじないタイム」で一体感をたかめたところで、彩姫のファルセットが印象的だった新曲の「Wonderland」が披露された。ステージに設置されたLEDパネルに歌詞が投影され、ご主人様、お嬢様は楽曲に込められたメッセージを確認しながら、サウンドに陶酔する。そして、1stシングルの「YOLO」で力強い歌声で、新しい一歩を踏み出すように我々を鼓舞し、「Choose me」で壁をぶち壊して進むかのようなアグレッシブなサウンドで煽情。

新曲「輪廻」を披露

ライブの模様(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 「Carry on living」を終了し、SAIKIは「まだまだいきます!」と意気込み、小鳩も「東京でツアーラストは気合が入る。どんどん大きくなっていきたい」と想いを語っり、その小鳩がアコースティックギターにチェンジし、「このお給仕が素敵な1ページになればいいな」と、弾き語りからスタートした「TIME」は、熱狂のフロアに優しい風を送り込むような感覚を与えてくれた。

 「Smile」に続いて、去る5月10日(メイドの日)の東京・TSUTAYA O-EASTで初披露され、アリーナを想定して制作された「endless Story」。オーディエンスとのシンガロングが美しい一体感を紡ぐ、BAND-MAIDの成長とともに変化していく曲になるのではと感じさせた瞬間だった。SAIKIはご主人様、お嬢様のシンガロングに「最高!」と賛辞の言葉を掛け、「東京で大合唱だね」と、SAIKIのアカペラからスタートしたパワーバラード「Daydreaming」は、エモーショナルな歌声で感情を揺さぶりかけた。

 SAIKIは「新曲持ってきました、付いてこいよ!」と歓声が巻き起こるなか、新曲「輪廻」を投下。BAND-MAIDの迫りくる重圧を感じながら、緩急をつけた曲構成、サビでの爆発力を感じながら最高の一時。ここまでの盛り上がりをさらにブーストさせるエナジーを持った一曲。ラストの<Shout Up>で締めるカットアウトも鮮烈だった。

 ライブはラストスパートへ突入。KANAMI(Gt)がステージ中央のお立ち台に。ゲイリームーアを彷彿とさせる泣きのギターから、エディ・ヴァン・ヘイレンばりのライトハンド奏法、さらにジミ・ヘンドリックスのお家芸である歯でギターを弾くなど、感情を爆発させたパフォーマンスに、それを横で見ていたメンバーも歓喜の笑顔。

 そのテンション間のまま「モラトリアム」、「Play」へと突入。オーディエンスもさらに大きくステージまで届けと言わんばかりの全霊の声。真っ赤に染まるステージはラストは「you.」で熱量をブースト。ド派手なライティングが、演奏を煽るかのよう。最後まで隙のない演奏と歌で、今のBAND-MAIDを見せつけた。

ライブの模様(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 メンバーがステージを後にし、無人となったステージ。スクリーンに全国ツアーの詳細と12月に約2年振りとなるフルアルバムのリリースを発表、そして、10月14日から『BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 2019-2020 【激動】』の開催と、2020年2月13日と14日にはネクストフェーズとなる『BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 【進化】』の開催を発表。会場からは歓喜の声が湧き上がるなか、ツアーファイナルの幕は閉じた。

 バンドはすでに進化の兆しを見せていた。それは新曲から垣間見えたものや、25曲を全力疾走できるパフォーマンス力からも感じ取れた。日に日に変化し続けるBAND-MAIDの未来は誰にも予測はできないかもしれない。見据えているものの高さとロックバンドとしてのアイデンティティを感じさせた一夜であった。

セットリスト

【TOUR】BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 2019【激動】

7月30日@東京・昭和女子大学人見記念講堂

01.Screaming
02.glory
03.hide-and-seek
04.DOMINATION
05.Don’t you tell ME
06.Rock in me
07.Take me higher!!
08.FREEDOM
09.CLANG
10.Spirit!!
11.ONSET-inst-
12.Wonderland(新曲)
13.DICE
14.YOLO
15.Choose me
16.Bubble
17.Carry on living
18.TIME
19.Smile
20.endless Story(新曲)
21.Daydreaming
22.輪廻(新曲)
23.モラトリアム
24.Play
25.you.

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