ポーランドに行ってみたい
――今作には、楠田さんの作詞曲を3曲収録しています。「きっとずっと」は、過去がテーマですね。
過去・現在・未来に当てはまる歌詞を、自分で作詞をしたいと思って、「きっとずっと」は過去をテーマに、自分のなかで鮮明に残っている子どものころの記憶を元に書きました。
――どういう記憶なんですか?
小学校の入学式で初めて声をかけてくれた友だちのことで、すごく仲良くなったんですけど、転校してしまったんですね。それ以来会っていないんだけど、どこかで元気にしていてくれたらうれしいなと、ずっと思っていて。不思議なのは、大人になってからのほうが、そういう記憶がより鮮明に思い出されるということです。
黒板はこんな感じで席はここだったとか、教室の雰囲気、先生はどんな感じだったか。そういうピュアできれいな思い出を楽曲にしたかったし、心のどこかにずっと残っている気持ちは、きっと誰にでもあると思うので、それを思い出すきっかけになればうれしいですね。
――また、「トラベルガール」は、現在をテーマにした曲で、歌詞は旅行を題材にしていますね。
「旅行に行きたい!」という気持ちを書きました。
――まだ行っていないんですね?
どこにも行っていないんだけど(笑)、でも、行きたくなったらガイドブックを開けばどこにでも行けるよねって。私自身ずっとひとり旅をしてみたいと、20代後半から思っていたんですけど、一歩踏み出す勇気がなくて、いつもガイドブックを開いて行った気になっていたんです。「こういうところがあるんだ」、「こういう景色なんだ」と、見ているだけでもすごく楽しくて。その楽しさを歌詞にしました。実際に旅行するとなれば、準備などいろいろ面倒なこともあるけど、妄想ならすぐ行けちゃうし、世界一周も夢じゃない! そういう楽しい曲を目指しました。
――実際に行けるとしたら、どこに行きたいですか?
いちばん行きたいのは、ポーランドです。もともとお友だちの薦めで、ポーランド食器を好きになったのがきっかけです。ポーランド食器のいちばんの特徴は、色がカラフルなこと。青や黄色のカラフルな柄ですごく可愛いんです。そこからポーランドに興味を持って、ガイドブックを買って見たら、街並みもカラフルで可愛くて、その景色を実際に観てみたいと思って。ポーランドのお祭りで着る、民族衣装も可愛いんですよ。
――歌詞には、たくさんの国名や都市名が出てきますが、ポーランドは…。
入っていないんです(笑)。リズム的にちょっと合わなかったので。
――そして未来をテーマに作詞したのが、「my own story」ということになりますね。
過去があったから今があって、今があるからこそ未来がある。曲を聴いて最初に浮かんだ情景が、砂漠に1人で立っている景色で、見渡す限りの砂漠だからどこに向かっているか分からないんだけど、でも前に向かって歩いているみたいなイメージです。でも振り返ると、しっかり足跡が残っていて、そこには自分が歩いてきた道があるといった感じですね。
――砂漠と言うと、すごく過酷なイメージがありますが、険しい道を歩んできたという実感があるんでしょうか?
もちろんいろいろありましたけど、特に私のことを書いているわけではなくて、あくまでも曲を聴いて浮かんだイメージを書きました。ただその砂漠に関しては、具体的なイメージがあります。
――どこの砂漠なんですか?
ロサンゼルスにあるジョシュア・ツリー国立公園です。3年前に写真集『Los! Los! くっすん! in LA』の撮影で行ったんですけど、そこで見た夕焼けや星空がすごく素敵だったんです。1人だったら絶対死んじゃうだろうという環境でしたけど、景色の美しさもあってか、不思議と怖さや不安はなかったんですね。そういうことが書きたかったので、こういう歌詞になりました。もし写真集を持っている方は、見ながら聴いていただいてもいいかなと思います。
――最後に9月のライブツアーについてうかがいます。どういう内容になりそうですか?
昼の部と夜の部があって。今を主軸に、「Yesterday」と「Tomorrow」と副題がついています。昼と夜でセットリストががらりと変わりますし、今回のアルバムの曲はもちろん、ふだん歌う機会が少なかった楽曲もたくさん歌うので、楽しみにしていてほしいです。
――ファンは両方見ないわけにはいかないですね。
休憩を挟む二部構成のライブと思っていただければ(笑)。でもセットリストを考えながら私は驚愕しました、「果たして全部歌いきれるのかな」って。最近歌っていなかった曲も含めて私のアーティスト活動だと思うので、できるだけたくさん歌いたいと思っています。内容の違う2公演を1日でやるのは単純に大変ですけど、そのぶん頑張りたいなと思っています!