楠田亜衣奈「人生なんとかなるもの」20代での経験でより自由になった思考
INTERVIEW

楠田亜衣奈「人生なんとかなるもの」20代での経験でより自由になった思考


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年07月17日

読了時間:約10分

 声優で歌手の楠田亜衣奈が17日、5thアルバム『The LIFE』をリリース。2010年にTVアニメ『ラブライブ!』の東條希役で声優デビューし、同作品のユニット“μ’s”のメンバーとして、2015年『NHK紅白歌合戦』に出演。2016年3月に東京ドームでワンマンライブをおこなった。2015年10月に1stミニアルバム「First Sweet Wave」でソロアーティストとしてメジャーデビュー。同作は、オリコン週間アルバムランキング5位にランクイン。最新アルバム『The LIFE』は、過去・現在・未来をテーマに制作し、楠田自身が3曲で作詞を手がけた。1人の女性を主人公にした、物語のような本作について聞くとともに、20代での経験を経て「人生なんとかなるものだと、いい意味で割り切れるようになりました」と語る彼女の人生観についても話を聞いた。【取材=榑林史章】

自分は自分らしく自分のペースで

――『The LIFE』は、どんな作品になりましたか?

 9月にライブツアー『4th LIVE TOUR-The LIFE-』をおこなうことが決まっていて、そこに向けた作品にしたいと思いました。そのライブは、過去・現在・未来をテーマにしているので、これはつまり人生になるなと思って、それでアルバムタイトルを『The LIFE』に決めて作っていきました。

――表題曲「The LIFE」は、人生を本に見立てている内容の歌ですね。

 例えばこのアルバムが1冊の本だとして、自叙伝ではないけど、1人の女性の物語になったらいいなと思って。この曲は、言ってみれば表紙です。ここから、ページをめくるような感覚で聴いてほしいです。

――楠田さんの人生としては、何ページくらい進みましたか?

 まだまだ折り返し地点ではないと思っていますけど、かなりのページ数は進んできたと思います。たくさん経験を積ませていただいたし、いろいろなことがあったし。年齢的にもちょうどいい節目のタイミングなので、過去についても未来についても、いろいろ考える時期でした。だからこそ今回のようなテーマが、自然と出てきたのだと思います。

――今の年齢になって、人生のページを振り返って思うことは?

 20代にいろいろ経験してきたからこそ、肩肘張っていたものがスッと落ちたと言うか、楽になった気持ちです。少し自由になれた気がしました。「こうじゃなきゃ」と決めつけなくても、人生なんとかなるものだと、いい意味で割り切れるようになりました。ひとつ階段を上った感覚があります。20代後半くらいから、先輩方から「30代は楽しいよ」と聞かされていて、実際にその通りだなと感じています。「頑張らなきゃ!」ではなく、自分は自分らしく自分のペースで歩んで行けばいいんだということに気づけました。

――そんな「The LIFE」は、とてもポップな曲ですね。

『The LIFE』通常盤

 ムリがなく、私らしい曲だなと思います。作詞は、こだまさおりさんで、こだまさんには「表紙になるような曲にしたい」ということと、「アルバム全体を総括した内容にしたい」と説明して、書いていただきました。こだまさんは、私の説明がどんなにフワッとしていても、いつもドンピシャな歌詞を書いてくださるので、信頼してお任せすることができました。

――あまり細かく説明しなくても、楠田さんらしい歌詞になるんですね。

 そうなんです。だから、こだまさんはエスパーなんじゃないかと思っています(笑)。こだまさんは、1stアルバムのときから私にフィットする歌詞を書いてくださるので、「何で私の書いてほしいことが、こんなに書けるんだろう」と思っていて。それも、自分ではうまく言葉にできなかったことを書いてくださるので、「私はこういうことが言いたかったんだな」という、自分に対しての発見にも繋がります。こだまさんの歌詞には、自分が言いたかったことだけど、自分は持っていなかったものがあるなという感覚です。

――「The LIFE」は、MVも公開されていますね。

 見どころとしては、過去のシーンには、過去のグッズや昔のカレンダーなどが置いてあるところで、よく見ると分かってもらえるんじゃないかと思います。部屋に置いてあるものも、実際に自分の家から持ってきたものなので、細かく見て楽しんでほしいです。

――こだまさんの作詞は、「デートしよう!」という曲もそうですね。

 これは現在をテーマにした曲です。こういうタイトルですけど、男の人とデートしている曲ではないんですよ。お休みの日に、ネイルに行ったりおしゃれしたりして、いろんなやりたいことを詰め込んで、「1日楽しかったな~」という歌です。

――つまり妄想デート?

 そうなんです(笑)。休みの1日を、こういう角度から書いてもらえるのは、こだまさんだからこそだなって思います。他にも「つ つ み こ む」という曲も書いていただいていて、これは未来をテーマにした楽曲のうちの1曲です。

 未来というのは不確定なものなので、いろいろな可能性があると思っていて。パラレルワールドではないけど、PA-NONさんに作詞をしていただいた「Set me free」は、独身女性の強さを描いた未来で、こだまさんに書いていただいた「つ つ み こ む」は、結婚して子どもが生まれた女性の未来です。アルバム1枚を一つの物語としたときに、こういうフィクションの部分も必要だなと思って書いていただきました。

――そのPA-NONさん作詞の「Everlasting my story」は、今までとは少し違って、力強い歌い方が印象的でした。

 自然とそういう歌い方になりましたね。楽曲のイメージとして、「がむしゃらに頑張ってきたことが伝わるものにしてほしい」と、お願いをして作っていただいたので。

 人間はいろいろな面を持っていて、その全部によって1人の人が作られています。そのことが、アルバムを通して感じてもらえたらと思って、いろいろな音楽ジャンルの楽曲を入れたいと思いました。曲によって、「こういう風に歌おう」とかではなく、自然とその曲に寄り添った歌い方をしていったら、曲ごとにさまざまな歌い方になりました。だから「くっすん(楠田の愛称)には、こういう一面もあるんだな」と、感じてもらえたらうれしいです。

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