TEEが、映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード 2nd Wave』(公開中)で自身初の映画出演を果たした。種子島の海を舞台に、吉沢悠演じる主人公の梅原光太郎がサーフィンを通して人生を取り戻す姿を描く。ヒロイン役の馬場ふみかや竹中直人や香里奈、泉谷しげるら錚々たる顔ぶれだ。これに店長役として出演するTEEは自身初の映画主題歌として「UMI」が起用されている。デビュー前、プロボクサーを目指していたが怪我で断念。絶望のなか、海に連れて行ってくれた父の言葉がきっかけで立ち直ることができた。以来、海は特別な存在で、海を題材にした本作に携われたことに特別な思いがあるという。「ベイビー・アイラブユー」の大ヒットから9年。転機は「今」と語るTEEに話を聞いた。【取材・撮影=木村陽仁】
初出演作、役と向き合った
――映画初出演、実際に演じられた感想は。
実は役を演じるのは広島のローカル番組で演じて以来2度目なんですよ。映画としては今回が初めてで、だけどセリフは3行ぐらい。それでも一発勝負で、監督が「やります!」と言って本番が始まり、撮った後に「映像を見せてください」と言えぬまま終わって、出来上がり具合は試写でしか確認することが出来なくて。撮影前に自分でデモンストレーションをやっていたから「何とかなったかな」という感じだったけど、実際に見てみたら「意外とうまくできたな」って(笑)。自分で言うのもあれだけど「やれたな」みたいな(笑)。
――セリフは短かったかもしれないですが、背中で物を語るような、演じた役柄の背景が見えたような気もしました。
え! 本当に! これドッキリ!? でも、少しの出番のなかでも皆さんに迷惑をかけないように、NGは出さないように気を付けていました。
――演じるに当たってプレッシャーは?
出番が近づくにつれてどんどん緊張していきましたね。音楽もそうなんですけど、2時間のライブでも、1曲だけ歌うライブでも、1曲1曲にフルパワーを出さないといけない。だからセリフは少なくても、そこにかけて準備することについては手を抜きませんでした。それこそ3行のために何時間も練習したり、イメージを膨らませたりして…。でもやっぱり、NGを出さなくて良かったなと思いました(笑)。
――本番に向けて準備された、とのことですが、役作りはどのようにして?
僕は映画が大好きなんですよ。だから普段からめちゃくちゃ見ていて。それで、役者をやると決まってからは色んな人の演技を注視していました。どの人の演技がナチュラルで、この人を宿らしたらどういう演技をするんだろうか、とか。少ないセリフでどれぐらいナチュラルにやるんだろうか、といろんな人に置き換えていました。
――そのなかで参考になったのは?
おこがましいけど、小栗(旬)さんとか。すごくナチュラルでした。
――撮影現場はどうでしたか?
皆が温かく迎えてくれました。それでも最初は「誰だ、こいつ?」という感じだったと思うけど、監督も「今回主題歌を歌うTEEです」と紹介して下さいましたし、皆さん和気藹々とやっていて、自分も積極的に話しかけていましたので、和やかでした。
――今回の経験で得たものは大きい?
そこの場所や役者さんを見る機会、その雰囲気を感じられた、空気感に触れられたのは自分にとってプラスでした。どういう思いで映画を撮っているのか、監督がこの映画にかけた思いとか、吉沢(悠)さんがサーフィンにかける思いとか。撮影地に温泉があって、皆で一緒に入ったんですよ。吉沢君はずっとサーフィンの話をしていて、役としてサーフィンのことをずっと考えているんだなと。役者さんが役に向き合う姿とか、そういうところに触れられたのは大きいですね。