ACIDMANが5月18日、東京・Zepp Tokyoで、ツアー『ACIDMAN LIVE TOUR “ANTHOLOGY 2”』最終公演をおこなった。ファン投票からセットリストを組むリクエスト企画の第2弾。今回は規模を拡大してツアーでの開催となった。MusicVoiceではセミファイナルとなった17日同所での公演を取材。その模様を以下にレポートする。【取材=木村陽仁】

漲るエネルギー

(撮影=AZUSA TAKADA)

 オーディエンスでびっしり埋まった場内。明かりが落とされると、アンビエントなメロディが流れる。その旋律と歩調を合わせるように白光が滑らかに動き出す。やがて音量が大きくなり、ステージバックから6つの青い光がホールを眩しく照らす。申し合わせたように場内からクラップが起こり、次第にリズムが生まれる。暖色のライトが辺りを染める頃、メンバーが登場する。所定の位置に着くとそれぞれの姿勢で歓声を浴びる。それまで仁王立ちだった佐藤雅俊は感情を抑えきれないようにステージの先端に移動し、頭上で手を叩いてクラップに加わる。

 そして、全ての明かりが消える。大木は大きく息を吸い込むとエネルギーを一気に吐き出すように歌い始める。「暁を残して」。それは壮絶な始まりだった。それぞれの社会で溜め込んだモヤを猛烈な勢いで晴らしていくように届けられていく。大木伸夫はステージ中央で拳を突き上げ、煽る。その大木はサウンドを残して「ようこそ! 最高の1日にするぞ!」と呼びかける。その言葉に心を震わせ大声を挙げるオーディエンス。浦山一悟がドラミングで曲を橋渡しをすると、そのまま「REMIND」。イントロが鳴っただけで揺れる場内。うごめく。さらに間髪入れずに「ストロマトライト」を畳み掛ける。

 「やっぱり東京すごいな! エネルギーがすごい!」。

 大木はそう語ると清々しい笑みをみせる。佐藤も一悟も気持ち良さそうに超満員の場内を見渡す。

 大木は続ける。「地方を回って帰ってきました。Zeppは素晴らしい。ありがとう」。

 そして、今回のツアーの趣旨を説明。「前回はひっそりとやっていたけど反応が良かったので全国規模にしました」と述べ、更にどの公演も満員のなかで迎えられたことを報告し、感謝。「知っている曲、知らない曲もあるかもしれない。それぞれの楽しみ方で楽しんでもらって最後は皆で一つになれたら」とこの日に向けての思いを伝えた。

心の奥の奥に

(撮影=AZUSA TAKADA)

 その後は、ジャジーな雰囲気が漂う「オードルサンセット」を端に、グルーヴィーな楽曲が並んだ。それまでの声を枯らすような歓声は鳴りを潜め、気持ちよさそうに体を揺らし、曲を浴びる。7曲目「アルケミスト」では、それまでの「River」「千年歩行」といった流れを引き込んでパワーは増大。ギターのアルペジオ、一音奏でては直ぐに絞られるベース、そして大地にどっしりと腰を据えるようなドラムが作り上げるサウンドによってより壮大になっていた。そのなかで大木の歌声はどこまでも響き渡る。しかも力強く。そして、<さあ もう一度だけ 旅を始めよう>という歌詞はオーディエンスへの誘いのようでもあった。

 「楽しんでますか? ここからバラードが続きます」。

 大木はそう語ると「弾ける曲も好きだけど心の奥の奥に少しでも触れられるような、怒りや悲しみを和らげ、少しでも力に、明日へのエネルギーになれたらと思って。音楽は楽しむものだけど、心の深く深く入るものでもあると思う。それぞれの社会でボロボロになっているところもあると思う。そんな心に添える、心の奥の奥に触れられるような曲を…」と語り、「プリズムの夜」そして「UNFOLD」を届けた。温もりのある優しい曲に心が洗われるよう。その一方で、抱えていたものをすべて吐き出すかのように歪んだギターを強くかき鳴らす節もあり、緩急をつけて心を労る。

 そして、未知なる宇宙への思いに触れながら「目に見えない世界があると思っていて、ファンタジーの世界を僕は信じたい。誰に何を言われようとも、笑われようとも、現実的にならずにこれだと思うものをやり続けたい」と語ってから、インスト曲の「ベガの呼応」を奏でる。音と光の先に広がる壮大な世界観。同じ力でも吸い込まれる引力のような強さがあった。そのまま「水写」へと紡ぐ。

怒涛のラスト

(撮影=AZUSA TAKADA)

 定番の“ほっこりコーナー”を挟み、オーディエンスを和ませた一悟。そのまま「スケール感の大きいものが続きました。ここからは盛り上がれる曲を。最高のセミファイナルにするぞ! 今日は最高の夜にするぞ!」と叫びカウントをとると、劇的なイントロが始まる。「CARVE WITH THE SENSE」。ここから再びフルスロットル、高度を一気に上昇させる。繰り広げられるシンガロング、そしてクラップ。拳を突き上げ騒ぐ。バラードで溜め込んだエネルギーを一気に吐き出すかのようだ。

 そして、17曲目に「TO THE WORLD’S END」を届けてから改めて大木が、結成から20年超活動ができるのはファンのお蔭であると感謝してから「壮大なメッセージを歌っているけど、やがて死ぬ儚さを歌っていて、皆と時間を共有してこの儚さを意味のあるものにしたいと思っている。バンドを始めた頃はこうなると思っていなかったけど、一分一秒でも長くやっていきたい。最高の時間をありががとう!」と思いを伝え、ラストに「OVER」を送った。優しさに包まれるようなその曲は終盤に向けて力強くなっていく。そこにまばゆい光が広がっていた。

 アンコールではインディーズ時代の曲「FREE WHITE」も披露。最後は「ある証明」。オリジナル曲よりも激しくなったサウンドの上で大木が「皆、声を出す準備はできてるか!」と呼びかけ、オーディエンスとともに叫ぶ。消えぬ余韻のなかで、大木は「最高の時間をありがとうございました!」と挨拶し、3人はステージを後にした。終演後もその場から離れようとしないオーディエンス。終了を告げるアナウンスが流れるとため息にも似た声が場内に漏れるも直ぐに拍手が送られる。再びのアンコールを望んでのものだったが、その光景からも素晴らしいライブだったことが伝わってくる。

1曲1曲の力強さ

(撮影=AZUSA TAKADA)

 今回のリクエストツアーは、規模を拡大しただけでなく、一般にも投票の門出を開いた。ファン目線で彼らの歴史をたどるような今回のリクエストライブは、ACIDMANがこれまでに作ってきた音楽の幅の広さを改めて感じさせながらも、どの曲も劣ることなく強い力を放っていることを再認識できる。怒濤の如く駆け抜けたかと思えば、ブルージーなサウンドを届けていく。かと思えばバラードでしっかりとメッセージを届ける。そしてラストスパートは再び怒濤の曲を届けていく。

 そして、大木が「バラードをやります」と語った時に、オーディエンスは歓声を挙げた。その声に大木は意表を突かれたかのように一瞬、照れるような笑みをみせながら「ありがとう」と述べた。勢いで押し通すこともできるアグレッシブな曲だけでなく、しっかりと伝えていくバラードも、こうしたライブに求めているオーディエンスの奥深さ、そしてACIDMANとの良き関係性を垣間見えた。大木がMCで「心の奥の奥に…」と語っていた想いは既に体現されていた。

セットリスト

01.暁を残して
02.REMIND
03.ストロマトライト
04.オードルサンセット
05.River
06.千年歩行
07.アルケミスト
08.プリズムの夜
09.UNFOLD
10.ベガの呼応
11.水写
12.CARVE WITH THE SENSE
13.金色のカペラ
14.懸命の銘
15.Under the rain
16.MEMORIES
17.TO THE WORLD’S END
18.OVER

ENCORE

EN01.FREE WHITE
EN02.ある証明

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

(撮影=AZUSA TAKADA)

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