EXILE SHOKICHI「音楽に真摯に向き合えた期間」ソロ活動での成長の集大成
INTERVIEW

EXILE SHOKICHI「音楽に真摯に向き合えた期間」ソロ活動での成長の集大成


記者:桂泉晴名

撮影:

掲載:19年05月13日

読了時間:約7分

 EXILE SHOKICHIが5月15日、アルバム『1114』をリリース。発売に先駆け、収録曲の一部を2カ月連続で先行配信。第1弾は「君に会うために僕は生まれてきたんだ」で3月14日に配信開始。第2弾は「サイケデリックロマンスfeat.SALU」で4月17日に配信。『1114』というタイトルは、1stソロアルバム発売から1114日が経ったことを意味する。その断片とも言える今回の先行配信曲。どのような思いが込められているのか。SHOKICHIが同作について語ったインタビューを3回に分けて紹介する。これまで先行配信曲について聞いてきたが、最後はアルバム『1114』について。EXILE、EXILE THE SECONDで充実したグループ活動を経て、再びソロアーティストとして挑む本作。様々な経験によって進化した彼の姿がそのまま表れた作品となった。作品に込めた想いなどを聞いた。【取材=桂泉晴名/撮影=片山拓】

「1114」日は自分がものすごく成長できた特別な時間

EXILE SHOKICHI

――ニューアルバムはSHOKICHIさんが全曲作詞作曲を手掛けられていますが、どんな制作でしたか?

 やはり振り返ってみると大変でしたね。もちろん自分の経験も積めているので、以前に比べたらそんなに時間がかかるという感じではないのですが。一曲一曲集中し、身を削る感じで作りました。

――新曲「Midnight Traffic」は、出口の見えない恋愛のナンバーですね。

 これは“進まない恋、もどかしい恋”を夜中の渋滞に例えました。トラフィック関係というか、クルマにちなんだワードも散りばめて、曲全体が比喩になっています。

――このテーマで曲を書きたいと思われたきっかけは?

 以前、夜中に渋滞にはまったことがあって。“今度「Midnight Traffic」という曲を作ろう。「Midnight Traffic」だったら、進まない恋愛というのもおもしろいかな”と思いついたところから始まり、自分の中でテーマを決めて書きました。

――真夜中の実体験から。

 はい。なかなか切ない、痛々しい歌詞に仕上がったと思っています。

――まさに身を削られるような恋が描かれていて。低音の響きもインパクトがありました。

 ハイもローもこの曲ではたくさん使っています。ローもものすごい倍音を出して、ハモリも重ねて。ドロッとして生々しく聞こえる感じに仕上げたかったので、結構計算しました。

――後半のラップも、SHOKICHIさんによるものですよね。

 ラップも自分でやりました。このセクションも人に頼もうかと思ったのですが、ここでラップも自分でやるのがSHOKICHIスタイルだなと。喋ってるような、半分語りみたいな感じでやらせていただいていますが、いいエッセンスになっていると思います。実は「Midnight Traffic」は3年前に作った曲なんですよ。そのストックを引っ張り出してきて、今のリリックと歌詞と歌でレコーディングして。今らしい曲に仕上がったと思っています。

――「プラトニック・ラブ」も障害がある恋が描かれています。

 当の本人はただ純粋に愛し合っているというプラトニック・ラブなんですけど、周りの環境というか。そこに立ち向かっていく男女の物語です。でも自分の中でpolitical(=政治的)というか、そういう歌詞に挑戦したのは初めてで。強いメッセージのある曲だから、深く感じ取ってもらえると思います。いろいろな解釈ができるので、それぞれの物語を作ってほしいです。

――詞も<このままでいいのかな? このままでいいのかも>と答えがない、みたいな。

 そうですね。<教えてください>で終わっているので、答えを出してない。

――後半、英詞ががっつり入っている部分がありますが。

 ここは自分ではなく、一緒に作ったTOMAというアメリカ人クリエイターの声なんです。歌詞の部分ではちょっと言えない強い部分を言っていますね。discriminationと言って、差別のことを言ったりとか。自分の口からは言いづらいpoliticalな部分を、英語でオブラートに包んで牧師さん調に語ってもらっているという意図があります。

――politicalな詞に挑戦してみてどんな手ごたえがありましたか?

 すごく楽しかったです。歌詞に魂が乗ると言うか。曲自体がものすごく雰囲気のある曲になったなと思います。ちょっと異様な雰囲気といいますか。

――アルバムの中でも異色ですね。

 確かに異色ですよね。歌のアプローチもラップと歌の間というか。それでサビはポップなメロディ、さらに2番はラップから始まるという。このオリジナリティが、自分の真骨頂なのかなと思っています。

――「Ooo!」は自分の心のまま楽しもうと歌っている、軽快でノリのよい曲になっています。

 The StereotypesというBruno Marsと一緒にグラミーをとったプロデューサーチームがいるのですが、そのチームと一緒に去年EXILE用に曲を作るにあたってセッションして「STEP UP」というEXILEの曲ができ上がったんです。その時に1時間ぐらい時間が余っていたので、“もう1曲作ろうよ”と言って作ったのがこの「Ooo!」で。15分ぐらいで作った曲なんです。

――なんと15分!

 The Stereotypesのトラックがあって、そこに自分がアドリブで一回歌ったんですけど、 “それ、いいじゃん”みたいな感じになって、メロディをそのまま使いました。途中のギターの音もあるんですけれど、実はそれも自分の声なんですよ。

――え? どういうことでしょう?

 “こういう感じでギターソロでも入れようか”とスキャットしたのを、“それいいね!”となって、ギターの音のように加工したんです。

――すごい技術ですね。

EXILE SHOKICHI

 ギターソロっぽく聞こえるんですけど、自分の声で。最初のイントロの音も自分の声だったりします。

――そんな遊びが入っているとは!

 アドリブで作った曲で、ものすごく遊んでいますね。だから不思議な曲になって。自分でも“この曲はなんていうジャンルだろう?”と、よく分かっていないですけど(笑)。

――デジタル的な今のサウンドではあるものの、それだけではなく。

 おもしろい仕上がりになりましたね。ここまで加工したのも初めてですし。ギターに聴こえますよね。

――はい、てっきりそう思ってました。The Stereotypesとの曲作りでは、どんな影響を受けたと思いますか?

 彼らはセッションを心の底から楽しんでいて、そのバイブスがとても印象に残りました。僕も一緒に体感することで体の中に入ってきて、魂のようなものを感じることができて。本当に自分にとって大きなセッションでした。

――この3曲以外にも、2018年のシングル「Underdog」など全11曲が収録されています。ちなみにアルバムのタイトルは「1114」という数字になっていますが。

 1114日ぶりのアルバムなんです。この期間にツアー3回、アルバム3枚をリリースして、さらにEXILE THE SECONDではほとんどの楽曲をプロデュースさせてもらって、ツアーもプロデュースしました。音楽に真摯に向き合えた期間であり、自分にとってものすごく成長できた期間だったので、特別な時間になりました。そこを経ての集大成という意味で、こういうタイトルにさせていただいたんです。

――プロデュースするという経験も大きかったのですね。

 かなり自分の中で勉強になりました。今、俯瞰して見ることができるのは、キャリアを積んできたからで。その経験がこのアルバムにしっかり生かされると思います。正直自分でいうのは恥ずかしいのですが、すごい完成度に仕上がったので自信もありますし、食わず嫌いしないで、たくさんの方に聴いていただきたいです。

――初めてとなるアリーナツアー『EXILE SHOKICHI LIVE TOUR 2019 UNDERDOGG』が6月29日の長野ビッグハット公演からはじまります。どんなツアーになりそうでしょうか。

 ずっとこのソロツアーを目標にしてプロジェクトを進めてきたので、本当に満を持して、ですね。今年でデビューして10年という節目に、今までの自分の生きざまをしっかりと見せることができたら、と考えています。自分が積み重ねてきたものの集大成と言った感じなので、とくにファンの方々には感動していただける内容になってると思います。歌って踊って、そして楽器もやります。自分のミュージカリティというものをふんだんに見せられると思うので、もちろん初めての方にもぜひ一度見て、楽しんでいただきたいです。

(おわり)

ヘアメイク/Toshiyasu Ohki
スタイリスト/JUMBO(SPEEDWHEELS)

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