ユップ・ベヴィン「人と人とが繋がる重要な手段」音楽の真理へ向かう『ヘノシス』
INTERVIEW

ユップ・ベヴィン「人と人とが繋がる重要な手段」音楽の真理へ向かう『ヘノシス』


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年04月03日

読了時間:約8分

宇宙の言語かもしれない

――ユップさんの音楽は常に心を解放させてくれるものを持っています。音というのは空気の振動なのですが、音楽と変化した時にどのようなものになっていると思いますか。

 難しいんですけど、ポイントは2つあります。確かに音楽というのは周波数、空気の振動であって、その波長というところでコンタクトする、コミュニケーションすることで反応が生まれてきます。お互いが影響し合う波長があるんです。それは、癒すことも出来れば破壊することも出来てしまいます。音楽というものが身体的にも波長というもので、人を結び付けていくものなんじゃないかと思います。

 あと、もう一つはよく言われている事ですが、音楽は共通言語です。誰でもわかるもので、人間の本質的な部分でコミュニケーションが取れる、魂の部分で繋がれる事が出来る、もしかしたら宇宙の言語かも知れませんね(笑)。音楽は人と人とが繋がる重要な手段だと思います。

――その宇宙の言語かも知れないというところは凄く共感出来ます。確かユップさんは432Hzという周波数で演奏されているんですよね。宇宙の周波数とも言われているようですが。

 確かに今回も432Hzで演奏しています。でも、宇宙の周波数というのは知らなかったよ(笑)。それが本当なら、だからこの結果に結びついたのかも知れませんね。この周波数はストリングスなど他の楽器が入るとなると、普段とはチューニングが違うので、すごくチャレンジなんです。

――この周波数に辿り着いたのにはどのような経緯があったのでしょうか。

 『ソリプシズム』を作ったあとに、周りの人から違う周波数にしてみたらどうだろうとアイデアをもらった事がありました。それで、面白そうだなと思って、自分でも結果が見たかったので、同じ曲で440Hzと432Hzの2つ作ってみて、それを色んな人に聴いてもらいました。本当に感覚の問題なんですけど、440Hzだと思考に訴えかけるものがあったと感じて、432Hzだと心の中で感じるような感覚がありました。内に入っていくかのような、自分自身に囲まれているかのような感覚が低い周波数の方にあったんです。色んな人が432Hzの意味について話ていますが、僕の場合は本当に感覚的で、非常に良い感覚だったので使っています。

――アルバムのジャケットも壁に囲まれていて、その周波数の感覚に近しいものを感じますね。

 それは考えたことがなかった! それは面白い視点ですね。人生にはこのアートワークのように沢山の梯子があって、色んな方法や道があると思うんです。でも、最後には真実を探して行って、正しい一本を探していくという意味が込められています。

――このデザインはユップさんがデザイナーの方に説明をして描いてもらったのでしょうか。

 いつも同じデザイナーに描いてもらっていて、アイデアを話し合うこともあるんですけど、基本的には音楽とタイトルを渡すだけなんです。そこからイメージして、こういったものを作り上げてくれるんです。本当に素晴らしいアーティストです。LPの方のジャケットもまた違ったものになっているので是非見て欲しいですね。

――今作を作るにあたってこだわったことは何でしたか。

 以前とは違ったものにしたい、演奏だけだはなく作曲の部分でもそういった意図もありました。新しい扉を開けた感覚もあります。その中でこだわったのは、あまり考えないということだったかも知れませんね(笑)。

――まさに「ヘノシス」だったわけですね。最後にこれからやってみたいことはありますか。

 前にも話したけど、フィルムスコア(映画音楽)は興味があります。あとは、今のこの白紙の状態を楽しんでいて、何でも来たらやってみようと思っています。おそらく2年間ぐらいはそういう時期になるかも知れないですね。

(おわり)

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