瀧川ありさ「さらに大人になった自分を表現出来たら」マインドの変化が生み出す音楽
INTERVIEW

瀧川ありさ「さらに大人になった自分を表現出来たら」マインドの変化が生み出す音楽


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年03月07日

読了時間:約12分

自分の声に無自覚だった

瀧川ありさ

――カップリングの「always」は『ドメスティックな彼女』の特別エンディングとのことなのですが、特別エンディングとはどのような意味合いなんですか。

 アニメの8話で一回物語がハッピーエンドを迎えるんです。「わがまま」が迷いというテーマがあるとしたら、「always」は核心をついた答えが見えた曲を書いて欲しいとオファーをいただき、書き下ろさせていただきました。でも、バラードは難しいですね。難しいんですけど、自分の声の魅力も出るんじゃないかなと思いました。

――歌声に合うといえば、過去には自分の歌声と向き合い、どんな曲調が合うのか模索していた時期もあったみたいですね。

 ありました。それまでは自分の声がコンプレックスになるくらい、今とは違うジャンルの曲をやっていたんです。オルタナ系が好きで今より演奏で魅せることがメインな曲を作って歌っていました。当時から歌声がいいと言ってもらえていたのに、当時は歌は二の次で、自分の声に無自覚でした。色んな人に聴いてもらって自分の声がどんなものか分かってきたところもあって、自分に似合う曲が作れてきたという感覚があります。

――オルタナ系の歌も聴いてみたくなりました。

 当時はメロディも無機質でリフレインの多い感じの曲でした。それもあえてそうしていたものの、大衆が好むメロと自分の好きなメロディーラインの違いに一時期悩んだり(笑)。それが要約理解できて、嫌な感じとかなくそういった曲が書けるようになってきました。

――それが20歳頃ですか。

 メジャーデビューした後です。なので、みなさんが言っている良いメロディーの意味がわかったのは割と最近なんです。

――デビューしてからも変化があったんですね。「always」の話に戻りますが、共感できる部分がすごく多いんですけど、特に<ひとりならばきっと 擦り減らすことなく 生きてけるけど もう知り尽くした くすんだ毎日に行く宛もなく>のところは、こういった事を考えている人も多いのではと思いました。

 まさに私もそう感じていることがあったので出てきた歌詞です。でも、それだと人間としての人生をきっと果たしていないんですよね。私は1人も好きなんですけど、やっぱり人と繋がらなければダメだと思いますし、繋がる事を諦めてはいけない、それでこそ人生は輝くと思いました。ひとりぼっちも良いんですけど、輝き方が違うんです。

――人と繋がるという中で、瀧川さんはどんな人に惹かれますか。

 自分が変と言われてきたので、同じく変な人かな(笑)。固定概念がない、枠にハマっていない、常識にとらわれていない人が喋っていても面白いなと思います。実は人の話を聞くのが好きなんです。テレビでもドキュメント番組を良く観ていて、人の半生とか聞くのが好きで。友達や知り合いといる時も私は喋らず聞いてますから。

――インタビュアーにも向いてるかも知れませんね。さて「always」を歌うにあたってこだわったポイントは?

 バラードは私の曲としては珍しいので、自分なりのバラードにしたいと思いました。レコーディングも伸び伸びと歌えてスムーズでした。それは良いオケが出来たというのも大きいです。サビの歌詞は敢えて繰り返しにしたんですけど、変わっていく感情を歌だけで表現しなければいけなくて、そこの温度感も気をつけて歌いました。

――オケのレコーディングにも立ち会われたんですか。

「わがまま」アニメ盤 ジャケ写

 もちろん全て参加します。そこでちょっとリクエストしたり。ストリングスも生なんですけど、素晴らしいものを作って頂きました。私、オケ録りが一番楽しいんです。スタジオで「いいですね~」と浸ってるのが一番幸せで(笑)。そこで満足しちゃって「歌なくても完成してない?」くらいのオケを毎回目指しています!

――そこでひとつのピークを迎えるんですね。歌詞でお気に入りの部分はどこでしょうか。

 <今日の君はどんな気持ち 抱えてたの笑いながら>のところです。<笑いながら>がポイントなんですけど、そこを問いかけたかったんです。ファンの方からも「毎日大変だけど曲を聴いて頑張ってます」とか「曲で癒されています」などメッセージを頂くんですけど、その方達に向けた曲にもなればと思いました。曲で間接的ですけど、「どんな気持ちを抱えていたの?」と聞くことで、聴いている人が考える余白になるかなと思いました。無自覚だったところを自覚するだけでも、楽になったりするので。

――気付きの曲にもなって欲しいんですね。

 ただ、押し付けがましくしたくはなかったので、必要な時にだけその言葉が入ってくれば良いなと思います。良い意味で日常生活で流し聴き出来る、でも、ふとした時に言葉が入ってくるような音楽でありたくて。

――最後にこれからどんな活動をしていきたいですか。

 自分が出来る可能性が増えてきたので、「一人遊びがみんなを巻き込んでいた」みたいな事をやってみたいです。1人で出来ることってまだまだ沢山あるなと思えました。曲もたくさん作っているので、“どんどん”な1年になると思います!

(おわり)

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