瀧川ありさ「さらに大人になった自分を表現出来たら」マインドの変化が生み出す音楽
INTERVIEW

瀧川ありさ「さらに大人になった自分を表現出来たら」マインドの変化が生み出す音楽


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年03月07日

読了時間:約12分

「わがまま」は“どんどん中毒”

――さて、デビュー4周年を迎えて5年目に突入しましたが、どのような心境ですか。

 あっという間でした。デビュー年は間髪いれずにシングルをリリースさせて頂いたりしたんですけど、自分のペースは崩さずにやってこれたなと思います。ファンの方は最初のペースを知っているので、早く新譜を出して欲しいと思ってくれていると思うんですけど、今回は待たせてしまった分、喜んでもらえていて、皆さんと歩幅を合わせてやってこれたと思います。来年は5周年なので、今年はさらに大人になった自分を表現出来たらなと思います。

――デビュー当時は大人になり切れてはいなかった?

 気持ちだけは大人のつもりでしたけど、全然なれてませんでした。アンバランスな感じはずっとあったので…。変わってしまってはダメだと思っていたところもあります。特にバンド時代は大人が舵を取ってこようとするのを、「自分達の音楽を守っていかなきゃ」というのがあって、1人になった時に自分の音楽を守っていけるのかという不安もありました。メジャーでやらせて頂くようになってからも、「自分の音楽を守る」。そこに片意地を張っていた部分もありました。

――戦闘態勢だったんですね。

 そうなんです。でも、みんなが仲間になってくれたおかげで、その戦闘態勢はなくなりました。

――どんどん変化して、それが作品にも影響を与えているわけですね。さて、今作の「わがまま」はアニメ『ドメスティックな彼女』のEDテーマとして流れていますが、いつ頃制作されていたのでしょうか。

 脚本を頂いてから書き始めたので、昨年のツアー中だったと思います。

――読んでみてどのような感想を持ちましたか。

 作品の根っこにあるのはピュアで人間味のある、良い意味でイメージとは違った作品だなと思いました。タイトルで固定概念を持ってる人もいると思うんですけど、それを覆せるような本質を描いた曲にしたいなと思いました。

――「わがまま」というタイトルも印象的なのですが、瀧川さんの幼少期はわがままとか言ったりも?

 それが全然わがままとか言ったことはなかったんです。わがままとか言えないタイプで、欲もなくて(笑)。例えば「何食べたい?」と聞かれても特になくて、欲しいものもあまりなかったんです。ポケモンカードくらい(笑)

――すごいですね。ご両親からしたら最高ですね。

 小さい頃から飄々としてたみたいなので育てやすかったんじゃないかなとは思います(笑)。

――その瀧川さんが『ドメスティックな彼女』を読んで、恋愛におけるわがままというところに着目されたわけですね。

 そうなんです。わがままということに対しての葛藤と嫌悪、自己矛盾に陥ってしまっているところを書きたいと思いました。制作自体も曲と歌詞は同時進行なんですけど、頭の書き出しからワクワクしながら書けたので、つまづきもなかったんです。

――理想的な制作でしたね。例えばサビから作って逆算していくことはありますか。

 サビだけというのも実はたくさんあるんですけど、そのパターンが一番つまづきやすいです。Aメロとか色々試してみるんですけど、私の中では頭からスっと出来た曲のほうが強い曲が多いです。私にとっての良い曲のポイントは悩まないことです。

――悩まないというのは重要ですね。さて、曲を聴かせていただいてサビで登場する<どんどん>という言葉がすごく印象に残りまして。

 わかります(笑)。そこは最初に出来たときから敢えて変えなかった部分なんです。「ちょっとしつこいかな?」と思って、「もっと」とか「ずっと」などいろいろ考えたんですけど、もうここは「どんどん」しかなくて。この他に言語化できない感じがいいなと自分でも思いました。あと恋愛もどんどん苦しくなっていったりするじゃないですか?

――確かにそうですね。私は早く次のサビの<どんどん>が来ないかなと、待ち遠しくなってしまって(笑)。

 “どんどん中毒”(笑)。

――まさにそれです(笑)。さて、歌で今回こだわったポイントはどこになりますか。

 大人と子供の間みたいな曲なので、そのあたりがうまく表現できれば良いなと思いつつ、平歌の部分は割と大人っぽく、サビでは感情をバッと乗せられるように歌いました。出だしの<あぁ君にだけわがままになっていく>の「あぁ」にどれだけ気持ちを込められるかというところです。そこは狙ってこの歌い出しにしたのでこだわったポイントです。そして、ギターソロ後の<大人になれば こんなことで悩まずに 上手く生きられるかな>の歌い方が好みなんです。ギターソロがあんなに盛り上がっているのに、その後の歌が冷静なところのギャップが気に入っています。

――注目ポイントですね。MVではドラムを叩かれている姿が映っていますが、今まで露出されてこなかったのには意図が?

 昨年のツアーが終わって、もっといろいろな表現がしたいなと思いました。その中でもう一回ドラムをやってみようかなと思い、スタジオに入って叩いてみたら楽しくて。今までの「瀧川ありさ」はギターを持って歌っているイメージが強いんですけど、新たな一面を見せられたら良いなと思ったのと、この「わがまま」という曲は、ギターではなくドラムの方が魅力が出るんじゃないかなと自分から提案させていただきました。

――ライブでもこの曲はドラムを叩きながら歌う可能性も?

 いずれ披露できたらなと思っています。シンガーソングライターとしての枠を広げていけたらなと思います。

――現在、他にチャレンジしてみたい楽器はありますか。

 今の所、ギター、ベース、ドラムは出来るのでピアノですね。小さい頃に少し習っていたんですけど、全然弾いていなかったのでもう忘れていて…。でも今はドラムとベースをより練習したいなと思っています。それはツアーを回って皆さんにそういう気持ちにさせていただいた感覚があります。

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