音楽は「初恋」――、少女時代チェ・スヨン 憧れ吉本ばなな作品で映画主演
INTERVIEW

音楽は「初恋」――、少女時代チェ・スヨン 憧れ吉本ばなな作品で映画主演


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:19年02月16日

読了時間:約15分

音楽は「初恋」。表現という意味では「演技」も「音楽」も同じ

――今回の経験を踏まえて、また日本の作品に出たいという思いもありますか?

 それはもちろん是非! 以前日本語を学ぶ時に、一番役に立つというか、参考になったのが、日本のドラマとか映画だったんですが、それがきっかけでいろんな作品の大ファンになったし、もし機会があれば、また挑戦したいです。

――ちなみにどんな作品がお気に入りですか?

 昔は『メゾン・ド・ヒミコ』とか、そういう雰囲気の映画が好きだったんですけど、最近は是枝裕和監督さんの映画が好きで、インタビューとかを全部探して読んだり。

――是枝監督さんですか? 2018年に『万引き家族』がカンヌ映画祭でグランプリを受賞したことは、大きな話題になりましたね。

 機会があれば是枝監督の作品に参加してみたいな、という願望があります。是枝監督の“どういう視点で物語を見たらあんな映画が作れるか?”というのがすごく気になるし、たとえ出演できなくても、そばで観察させていただくだけでもいいので見てみたいと思うくらい。

――女優という立場では、本格的な演技ができる女優を目指すという方向なのでしょうか?例えば娯楽作品などより、芸術作品を目指すという…。

 確かにどちらかというと、そういうタイプかもしれません。でもコメディーや青春物語などといったものでも、機会があれば何でもやってみたいと思います。

――一方で、最近は割とミュージシャンの方が本格的に演技をやられたり、逆に俳優さんが歌って話題になったりということがあり、気になるところも多々あるのですが、その意味でスヨンさんは、両方をやられている格好になりますが、それはどんな動機があって、そういった道を歩まれることになったのでしょうか?

 私はもともと日本で先にデビューし、韓国に行き練習生というポジションで、結構長い時間を過ごしました。その時にデビューがなかなか決まらなくて、結構長い間時間が経ってしまったので、ちょうど演技の指導も受けていたこともあり、演技、女優の方向に転向しようとも考えていました。それは少女時代のデビュー前だったんですが、その時に“少女時代というグループが結成される”という話が訪れてきたので、結果的には“じゃあこの子も女優じゃなくて、このグループに入れよう”と会社の意向で少女時代に入ることになりました。

 その時、自分は女優になりたいという気持ちはありました。ただ少女時代でデビューしたけど、当然私は「演技をしたいのにな…」と気持ちが落ちたりした、ということはありませんでした。演技はいつでも、歳をとってからでもできるし。だからまずは少女時代の活動に、集中しようと思って頑張りましたし、演技はもっといっぱい勉強して、自分が演技活動に集中できるようになったら、やれたらいいなというふうに思ってやっていました。

――前向きな意向がうかがえますね。

 すると、たまたまそのあとに演技の仕事の機会をいただき、主演の機会もいただきだんだん作品が増えて、今こうして演技活動もしているという状況になっています。ただ私が思っているのは、音楽は歌を通して、歌が持っているメッセージを届けたいという思いがあり、演技も作品の中で演じる時に、同じように作品の中のメッセージを届けたい、という思いがある、その思いは共通していると思うんです。だから私は、音楽活動がうまくできる人は、演技もうまくできると思うし、演技がうまい人は音楽活動もできると思っている、それぞれに臨むところは同じだと思います。

――その意味では、将来的に“役者一本で”“いや、歌で”と限定的な方向で進むようなことは、考えていないということですかね?

 そうですね。以前は、演技をするんだったら演技、という姿勢のほうがより役者らしく見えるとか、音楽だけするのがミュージシャンみたいに見えるんじゃないかなと思って、一つに絞ったほうがいいかなと思ったこともあったけど、今の時代とか、自分の歳を考えた時に、なにも一つに絞ることもはないと思うし、今の時代はそういう時代でもないと思ったんです。

 何をやっても、その時に集中して、きちんとやりこなす、そんなことができれば、例えばスヨンであればスヨンとしての、ブランドというものが固まるんじゃないかと思うので、何でもチャレンジをすることは大事かなと思います。

――とてもアクティブな指向ですね。一方で、スヨンさんにとって音楽とはどのようなものなのでしょうか?

 「初恋」ですかね。今は演技をしているけど、やっぱり小さい頃、デビューを夢見た時にやってみたいと思ったのは、音楽というものだったし、何か「初恋」のような、自分をときめかせてくれたようなものだと。最近はちょっと遠のいているなと思っているけど、それでも、もう一度気持ちが戻ってしまったり。そんなこともあるので、「初恋」のような存在じゃないかと思います。

――とてもロマンチックな回答ですね。では今は、両想いということで?(笑)

 (笑)そう、デビューまではずっと片想いだったんですけどね(笑)

チェ・スヨン

チェ・スヨン

(おわり)

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チェ・スヨン
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