進化を遂げるSHE’Sの音楽、二面性を意識した「Now & Then」
INTERVIEW

進化を遂げるSHE’Sの音楽、二面性を意識した「Now & Then」


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年02月06日

読了時間:約13分

サウンドメイク、ライブ前のルーティン

――シンセサイザーのサウンドはどのように作っていますか?

井上竜馬 もう普通にLogic(※DAWソフトの名称)で。最初から内蔵されているものですね。でもけっこう音は変えます。そのまま使っちゃうと他のLogicユーザーが「あれ? これじゃん」ってなるので(笑)。まんまは使わないですね。

――外部プラグインやソフトなどを買い足したりしてエディットしなくてもここまでできるんですね…。

井上竜馬 今までそうしたことはないですね。アナログシンセも使えるようになりたいんですけど、難しそうだなと…。

――服部さんはどんな感じの機材でサウンドメイクを?

服部栞汰 僕は真空管の歪みが好きなので、アンプのチャンネルで切り替えて歪みを作っています。足下のコンパクト・エフェクターはどちらかというと少ない方だと思います。

――お手本にしているプレイヤーはいますか?

服部栞汰 TUBEのギタリストの春畑道哉さんが凄く好きで、昔からお手本にしています。僕はハードロック育ちなので、芯にはそれがあって新しいアプローチを入れたりしています。

――何か音楽以外にハマっていることはありますか?

井上竜馬 ゲームをするくらいですかね…。

服部栞汰 僕は最近ダーツですね。

広瀬臣吾 気が狂うくらいやってますよ。

服部栞汰 やればやるほど上達していくのがわかるのが楽しくて。ギターとか音楽と似ているんですよ。メンタル勝負というか。

――メンタル力というか、ライブでもそこは問われますよね。

服部栞汰 似たところがあるんですよ。

――メンタルを鍛えるにあたって特別やっていることはありますか? ライブ前のルーティンなど。

広瀬臣吾 ライブ前は特に何も考えずにやりますね。「ここのフレーズこうだな」とか考えちゃったら結局ミスる、みたいな。だから何も考えないようにするというのがベストだという結論に至ったんですけど、逆に何も考えないということが難しいんですよね…。

木村雅人

木村雅人

――木村さんはどういった心境でライブに臨みますか?

木村雅人 僕は緊張しまくるタイプなので、ライブ前のルーティンは自分のなかで決めています。毎ライブ変わらない流れで挑むということを意識しています。

井上竜馬 それでも毎回緊張するの?

木村雅人 毎回する。

服部栞汰 それもルーティンやな(笑)。

木村雅人 たまに緊張しないときもあるけど、そういうときって終わったときの「やってやった感」がないというか。緊張してたときの方が終わったときの達成感があるんです。だから丁度良い緊張に持って行くという所も意識しています。

――ライブでカバーはやらないのでしょうか?

井上竜馬 ライブではないですね。ラジオでアコースティックカバーなどはしましたけど。一番最初にやったのはテイラー・スウィフトの「Mine」でした。ビートルズの「Let It Be」もやりましたね。

――洋楽が多いのでしょうか?

井上竜馬 洋楽しかやっていないですね。全員洋楽を聴いて育っているバンドなので。クリスマスはワム! の「Last Christmas」でしたし。もちろん日本のロックも好きなんですけど。入りはELLEGARDENでしたし、そこからストレイテナー、ACIDMAN、アジカンと聴いていました。やっぱりエルレが大好きで、彼らは何が好きなんだろうとアーティストを掘り下げていったら洋楽だったから、WeezerとかFall Out Boyとかアメリカのロックなどを聴いていって、そこからの派生でピアノ・エモを聴いたり。

――掘り下げるとき、どういったリスニング環境でしたか?

井上竜馬 CDを買っていましたね。ストリーミングで聴きだしたのは2017年あたりでした。僕ら世代はリスニング環境の移り変わりの真ん中だと思うんです。CDから移り変わってデータになってと。いまだに好きなアーティストの音楽はCDで買っちゃうし。でも手軽に聴けるストリーミングも使うし。

――MDは利用していましたか?

服部栞汰 多分、MDはラストに近い世代でしょうね。好きな曲入れてましたよ。

井上竜馬 薄過ぎて横に手書きでタイトル書くのしんどかったよね(笑)。アナログレコードは世代ではないですけど、カセットテープは小学校1、2年のとき聴いてましたね。

――SHE’Sの音源をアナログでリリースということはありますか?

井上竜馬 あまり考えたことはないですね。

広瀬臣吾 古いものはアナログとかで聴きたいと思うけど、新しいものは新しい環境で聴いた方がいいんじゃないかって思っちゃうタイプです。

井上竜馬 正直、まずは聴いてもらわないと音楽は成り立たないので、聴き方は何でもいいと思っています。

――バンドのアプローチとして、これから新たな展望はありますか?

井上竜馬 ゴスペル隊をつけて歌いたいです。主旋律をバックで歌っているというか。サム・スミスの「Stay With Me」みたいな感じです。本当は「ミッドナイトワゴン」でそれをやりたかったんですけど。

近くに感じて楽しいライブに。『SHE'S Tour 2019 “Now & Then”』への意気込み

――2月からは全14カ所を巡る全国ツアーが始まりますね。

井上竜馬 たくさんの要素が詰まっている今回のアルバムが出来て、単純に今までと違うライブの見せ方ができそうで、セットリストを組むにしても例えばZepp Tokyoだからできるライブアプローチもあると思うし、よりライブに幅が広がりそうだなという自分達への期待があります。秋にライブハウスツアーをやっていたんですけど、そのときと変わらない近さというか、体温を共有できるようなライブにしたいと思います。

服部栞汰 楽しみが一番大きいかなと思います。去年はSHE’S史上一番ライブをやった一年だったので、そこで得たものは色々ありますし。今作は今まで以上に楽しく制作ができたので、これを更に楽しく表現していこうと思います。僕ら自身も楽しんでいないとお客さんも一緒に楽しめないと思いますし、全部を一つにまとめて、楽しいライブにしたいです。

広瀬臣吾 Zepp Tokyoは最大規模ですし、僕達は洋楽志向なところがあるので、その先のスタジアムとかドームとか、アリーナを目指したいという気持ちがあります。Zepp Tokyoよりも大きなライブができたらなと思います。

木村雅人 去年一年間凄くたくさんのライブをしてきて、色んな見せ方も自分なりに勉強してきたので、キャパが大きくなってきても、やってきたことを全力で出します。“楽しむ”という気持ちでやりたいと思います。

(おわり)

この記事の写真
広瀬臣吾、服部栞汰、井上竜馬
木村雅人
井上竜馬
広瀬臣吾
服部栞汰

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事