進化を遂げるSHE’Sの音楽、二面性を意識した「Now & Then」
INTERVIEW

進化を遂げるSHE’Sの音楽、二面性を意識した「Now & Then」


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年02月06日

読了時間:約13分

 SHE’Sが6日、3rdアルバム『Now & Then』をリリースした。Yaffle氏をプロデューサーとして迎えた今作は、「Clock」での打ち込みとバンドサウンドを融合したアプローチや、ブラスアレンジが大胆にフィーチャーされた「Dance With Me」など、過去作品からの飛躍的なサウンド進化が如実に表れている。SHE’Sの新たな魅力を感じられるアルバム『Now & Then』の詳細と、メンバーのフェイバリット・トラック、彼らの音楽的バックボーンや全国ツアー『SHE’S Tour 2019 “Now & Then”』に懸ける思い、SHE’Sの現状に細かに迫った。【取材=平吉賢治/撮影=村上順一】

広瀬臣吾、服部栞汰、井上竜馬

広瀬臣吾、服部栞汰、井上竜馬

二面性を意識した『Now & Then』

――メジャーデビューをして2年半が経ちますね。

井上竜馬 最初の1年間では、“チームSHE’S”みたいな環境が整っていきました。そこから上京をして、バタバタはしていましたけど大阪〜東京においての制作のわずらわしさはなくなって、より音楽に集中できる環境になりました。そこからの1年間はチーム内での話し合いをすることが多かった期間でしたね。2年半で色々あり過ぎて…。

広瀬臣吾 環境も変わって、色んな人と関わることが多くなって凄く刺激になりました。

――メジャーデビューをしてしんどかったことなどはありますか?

服部栞汰 デビューをする前の方がしんどかったですね。移動もそうですし、制作も。メジャーデビューをしてからは前よりしんどくなったという気持ちはないですね。制作においてもメンバー4人の意思が固まったので、どちらかと言うとどんどん良い方に向かっているなという気持ちの方が大きいです。

――現在では様々な音楽性がみられるサウンドですが、デビュー以前はどういった感じでしたか?

木村雅人 今ほどの振り幅はなかったんですけど、もちろんピアノの曲もありつつ激しい曲もあってバラードもあって…スタンス的なものは今も昔もそんなに変わっていません。今の方が曲の幅がより広くなっています。

井上竜馬

井上竜馬

――楽曲の幅という点ではピアノロックという部分に加えて、エレクトロな要素も出ていますね。今作のコンセプトは?

井上竜馬 『Now & Then』というタイトル通りなんですけど、今のSHE’Sのスタンス、音楽性と、「Then」という部分で昔のSHE’Sが求めていたサウンドだったりとか。再現という訳ではないですけど、今のSHE’Sで表現した曲など、そういうバランスやテーマがありつつ、二面性みたいなものは凄く意識して書いていましたね。歌詞に関しても、3曲目「Used To Be」4曲目「Clock」で過去の恋のことを歌っていたりとか。「月は美しく」では今の進行形の恋だったり。その場面が変わっていたりとか、あらゆる面で光と影が見えたりというのは意識しました。

――二面性という点はサウンドからもうかがえます。中盤ではエレクトロサウンドが前面に出ていたり、楽器のプレイ感が光る楽曲があったりと。

井上竜馬 「Clock」「歓びの陽」はエレクトロなサウンドを使っている2曲なんですけど、これらはプロデューサーが入っているんです。でも意思としては僕がデモを作った段階でそっち寄りのアレンジをしていて、それをブラッシュアップしたという感じですね。

――デモ段階からどのように楽曲が仕上がっていくのでしょうか?

井上竜馬 「Clock」に関しては僕が作ったデモ通りにバンドでレコーディングをして、それをリミックスに近いイメージでプロデューサーのYaffleさんに加工してもらったんです。「歓びの陽」に関しては、現在進行形でレコーディングのタイミングで出来上がったというか、デモを制作してプロデューサーの百田留衣さんとキャッチボールをする中でどんどんエレクトロ要素が入ったり、ちょっと抜いたりとか、そういう風に出来ていった曲です。

服部栞汰

服部栞汰

――こういったエレクトロサウンドの中にギターサウンドを入れるのは難しいですか?

服部栞汰 そうですね。「歓びの陽」はどういうアプローチにしようかと悩みましたね。今までカッティングだったり、ダンスミュージックのバックに入っているようなギター、ファンクな要素などはそこまで入れてきてなかったんです。でも聴く音楽もどんどん広がって、竜馬が持ってきた曲のイメージも自分のなかでイメージが湧くようになったので、難しかったんですけどけっこうすんなり出来ました。レコーディングのその場で「こっちの方がいいんじゃない?」とか話し合いながら作りました。「歓びの陽」でそれを一度経験していたので、「Clock」はさらにすんなり思い浮かんだというか。

――ちょっと慣れてきた感覚があった?

服部栞汰 それはありますね。だからそんなに難しい気持ちで作ったという感覚はなかったですね。

――SHE’Sの音楽性は幅が広がってきていますが、それに伴って聴く音楽も変わってきている?

広瀬臣吾 やっぱりエレクトロの要素もあるから、最近の洋楽はチラチラ聴いたりとか。逆に国内の昔の音楽も聴くようになりましたね。山下達郎さんの昔の楽曲を聴いたりとか。達郎さんに関しては昔の曲でも最新だなという感じがしていて。今聴いても新しい感じがするし、そういう所で参考にさせて頂いています。

木村雅人 作曲においてこれだけ幅が広がっているので、僕も意識的にジャンル別に音楽を聴いたりするようにしています。

――勉強も兼ねて、という感じで?

木村雅人 そうですね。最近の曲から昔の曲まで、全く通ってこなかったジャズは凄く新鮮に感じました。今作では曲の一瞬の部分でジャズアプローチがあったりするんです。そこを自分なりに解釈して落とし込もうと思って。

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