元さくら学院・黒澤美澪奈「なくてはならない存在」芸能活動を支える音楽
INTERVIEW

元さくら学院・黒澤美澪奈「なくてはならない存在」芸能活動を支える音楽


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年01月18日

読了時間:約14分

 元さくら学院の黒澤美澪奈が1月25日、舞台『暗くなるまで待って』にグローリア役で出演する。2017年3月にさくら学院を卒業。その後は舞台『ミレニアム桃太郎』シリーズに主演し、役者の道も開拓。今回その演技が認められ、主人公の隣人である少女・グローリア役に抜擢され公演に向け役作りに勤しんでいる。『暗くなるまで待って』はフレデリック・ノット原作のサスペンス作品。25日の東京・サンシャイン劇場公演を皮切りに、2月23日の福岡・福岡市民会館大ホール公演まで全国4カ所でおこなわれる。インタビューでは黒澤の役者としての考え方について聞くとともに、「なくてはならない存在」だという音楽との接し方など多岐に渡り話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

【あらすじ】『暗くなるまで待って』 盲目の若妻・スージーの夫サムが持ち帰った(麻薬が仕込まれた)人形を、怪しい男3人(ロート・マイク・クローカー)が奪おうと狙う。3人は次々とスージーの家を訪ずれ、人形を手に入れるため、言葉巧みに騙そうと、あれこれと手を尽くす。奇妙な心理戦が続き、やがて、彼らの言動に不審を抱いたスージーは、少女グロ―リアの協力を得て、男たちの正体を次々と暴いていく。

自分自身とも向き合うことが多かった1年

黒澤美澪奈

――2018年を振り返ると、どんな年でしたか。

 歌やお芝居のレッスンを沢山やらせていただいた年で、スキルアップももちろん出来たと思うのですが、それ以上に自分自身とも向き合うことが多かった1年だったなと思います。

――考え方が変わったりした部分も。

 そうですね。『ミレニアム桃太郎』をやらせて頂いてから、自分がこれから何をしていきたいのかなど考えた時期もありましたし、進路について親や先生など色んな人に相談しました。その中でやりたいこと、今進むべき道というのを考えられた年でした。

――今は役者がメインの活動になっていると思うのですが、役者は以前からやりたいと思っていたのでしょうか。

 思っていました。最初は『ちゃお』(小学館発行の月刊少女漫画雑誌)のモデルをやりたいと思ってこの世界に入ったと言っても過言ではないんですけど、『大!天才てれびくん』(NHKの教育番組)やさくら学院で舞台をやらせて頂いてからお芝居に関するお仕事がしたいなと思うようになりました。でも、お芝居だけではなく歌など多方面で活動出来たらいいなと思います。

――徐々に役者にシフトしていったんですね。その中でお芝居の魅力は何だったんですか。

 自分以外の人になれるというところです。そこが特に面白くて。今、私は高校2年生なんですけど、今回の『暗くなるまで待って』では自分の年齢よりも下の役を演じたり、これからは自分より歳上の役も演じることもあるかと思いますし、そういったところに魅力を感じました。

――それこそお伽話に出てくるような桃太郎とかにもなれますからね。さて、今作『暗くなるまで待って』は昔からある名作なのですが、この舞台のお話が来た時はどんな心境でした?

 今回、ありがたいことにオーディションではなくプロデューサーさんに直接出演のオファーを頂きました。それもあって、いきなりすごい話が来たということもあり、びっくりしました。その後プロデューサーさんとお話しをさせて頂いて、その中でグローリア役を頂けてすごく嬉しかったです。『Metal Opera ~ミレニアム桃太郎~』(略称メタ桃)から1年ぐらい空いてしまっていたので、久しぶりに舞台に立てるということも嬉しかったです。

――この作品を観たことはありましたか。

 この舞台のお話しが決まるまでは観たことがありませんでした。まず台本を頂いて読ませて頂いたのですが、1回では理解が出来なくて、何度か熟読してイメージしていきました。その後に映画を観て、台本でもこんなに迫力があったのに「こんなに刺激的なんだ」と震えました。最後のクライマックスもビックリしたのですが、オープニングの人形のお腹を切るシーンから刺激的で。これを舞台でやったらどんな風になってしまうんだろうという好奇心に変わっていきました。

――もう、稽古は始まっていますか。(取材日は12月下旬)

 まだ始まっていなくて、もうすぐ入ります。なので他の役者さんともまだ軽くご挨拶させて頂いたぐらいで。

――では現在はグローリアをどう演じようか模索中?

 はい。ただ他の役者さんとやってみないとわからないところもあるのですが、自分の中では映画のグローリアを参考にしつつ、どうしたら黒澤美澪奈なりのグローリアを演じられるかなと今考えています。

――グローリアとはどういった人物なのでしょうか。

 凰稀かなめさん演じるスージー達の上の階に住んでいる女の子で、両親が共働きという事もあって1人でいることが多いんです。それもあってスージーと松田悟志さん演じるサムとは良く会っている関係で。私は家に帰れば両親がいますし、グローリアの寂しい気持ちというのはまだ正直わかってはいないんですけど、その自分にはない境遇をこの作品でどう体感できるのかというのと、スージーを演じるかなめさんとどのように展開していくのかというのも楽しみです。

――黒澤さんにはグローリアはどのように映っていますか。

 私の第一印象としましては、小生意気な少女です。でも、実はすごく繊細なんじゃないかなと思います。両親があまり家にいないということもあって、サムの事をすごく慕っています。それが恋愛的なのかどうかはわからないんですけど、スージーにちょっといたずらしたりするシーンもあって、まだ感情をコントロール出来ていないなというのがあります。

――それをどう黒澤さんが演じるのか楽しみですね。さて、主人公のスージーは目が見えないという事なのですが、もし黒澤さんが目が見えなくなってしまったらどうしますか。

 スージーは事故で目が見えなくなってしまうんですけど、今まで見えていた世界が見えなくなってしまうというのは本当に怖い事だと思います。正直、想像もつかないです。恐らく、今のお仕事は続けられないといった絶望感はすごいと思います。そこから立ち上がって前向きに生きているスージーを尊敬しちゃいます。

――でも黒澤さんはきっとそうなったとしても、スージーのように立ち上がりますよね。

 時間は掛かるかも知れないですけど、立ち直らなければいけないなとは思います。

――今までで何か失ったものはありましたか。

 まだ失ったものはないかも知れないです。逆に得たものはありました。実は私もともとすごく視力が悪くて、視力が0.03と0.08という状態でした。ほとんど見えていないという状況が小学生頃から続いていて、それもあって視力矯正用のコンタクトを夜寝る時に付けていました。今では両目とも裸眼で1.0まで良くなって、なかったものを得るというのは素晴らしい事だなと思いました。

――そんなに良くなるなんてすごいですね! さて、稽古初日に向けて考えていることはありますか。

 今回共演させていただく方達は皆さん初めてなんです。演出の方も含めて初めてなので、どんな雰囲気なのかなというのがまずあります。自分の中のグローリア像はしっかりと作っていって、周りと合わせつつ自分を出していけたらなと思っています。

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