ロックバンドのRAMMELLSが21日、東京・渋谷TSUTAYA O-nestで2ndワンマン公演『2nd oneman live -on your mark-』を開催。13日に大阪・心斎橋LIVE SPACE CONPASSでの大阪公演と2公演をおこない、東京公演では新曲を含む全18曲を熱演した。幅広い音楽性と完成度の高い演奏で展開されるRAMMELLSのサウンドは、今年3月9日におこなった、渋谷WWWの初回ワンマンライブから躍進的に、色鮮やかにアップデートされていた。多彩なサウンドの軸にある統一性、現時点でのベストプレイ・パフォーマンス、そしてその先の期待感を生きた音で持ち帰らせてくれた公演の模様を以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

2018年のRAMMELLSの飛躍が滲むサウンド

 コロコロと浮遊感漂う「daybreak」のギター&シンセサウンドがふわりと会場を包み、リラックスしたムードでライブはスタート。とびきりキュートなショートヘアーの黒田秋子(Vo&Key)は微笑みながら意気揚々と歌い上げる。

黒田秋子(撮影=AYATO.)

 ワンマンライブの気合い十分な雰囲気は各メンバーから伝わってくるのだが、渋谷WWWでの初回ワンマンの印象に比べると、温かく柔らかい空気も醸していた。彼らの演奏と物腰からは「2018年のRAMMELLSの飛躍」が滲み出るようで、現在の彼らの最高のフィーリングで音を重ねていった。

 「2018年のRAMMELLSの飛躍」というのは決して抽象的な印象ではなく、具体的にライブプレイそのものから受けた印象だ。例えば村山努(Ba)は、ライブではプレジションベース1本でのプレイが主体だったが、シンセベースでの鍵盤プレイが素晴らしく光っていた。本人によると、8月から始めたプレイだという。打鍵から生まれるベースラインのグルーヴに驚かされる。

村山努(撮影=AYATO.)

 ドラムセットはスネア2発使いという彦坂玄(Dr)のスタイルから刻まれるプレイも、不要なものを削ぎ、必要な要素をブラッシュアップさせた“洗練さ”が音に表れていた。3月のワンマン公演での演奏に比べると心なしか雰囲気が落ち着き「グルーヴの軸に佇み気迫を刻む」というクールな印象を受けるものであった。

彦坂玄(撮影=AYATO.)


 
 真田徹(Gt)のギターサウンド面での進化も目をみはるものがあった。シューゲイザーばりのノイズサウンドから、艶っぽくもギンギンなクランチトーン、全くもって遠慮なしの轟音リードプレイと、濃淡のクッキリとした音色表現の使い分けが耳に残る。

真田徹(撮影=AYATO.)

 その源流は、もちろん前回のワンマンでも充分感じることができたが、今回はそれが更にブーストされている。ちょっと真田のエフェクターボードを覗いてみると足下がえらいことに。機材の内容を全て詳しくは紹介しきれないのだが、無数の機材が一部上下に重なるほど所狭しと設置されているのである。多彩なサウンドの何とも言えない説得力を感じる一つの要素を垣間見た。

 とにかく楽しそうに歌う黒田は“紅一点”と言ったらちょっと単純な表現だが、ぽわんと鋭くステージの中央でにこやかに咲く花のよう。MCで「遊び残らないように!」と黒田は笑顔で煽り、アルバム『take the sensor』『Authentic』『natural high』からチョイスされた楽曲たちを惜しみなく披露していく。オーディエンスはグルーヴィーな楽曲の中で、多幸感に包まれた表情でユラユラと楽しげに揺れ、「CHERRY」では黒田の歌とともにメロディを楽しげに口ずさんでいた。

リスナーの“sensor”を撫で回すRAMMELLSのプレイ

RAMMELLS(撮影=AYATO.)

 ブラックミュージックやフュージョンのルーツが見える「swim」では、彦坂の持つしなやかでタイトなビート感が明瞭に表れ、何とも心地良い。その流れを汲んで狙ったセットリストであろうか、続く「Black dot」ではこの日の最高グルーヴ・ポイントとも言えるノリを生み出していた。村山のNovationシンセサイザーの打鍵からうねるベースラインと彦坂ビートが生成するバキバキのアシッドハウスは、あまりにも気持ち良いの一言である。

 どのパートにフォーカスしても耳と目を飽きさせずに、常に生演奏の体温を感じさせるサウンドはRAMMELLSならではだろう。各メンバーの演奏スキルの高さは、生でライブを体験してこそリスナーの“sensor”を心地良く撫で回すのだ。ソウル、オルタナ、シューゲイザー、ジャズ、エレクトロと様々な要素を含むRAMMELLSの音楽だが、会場に匂い立つ“RAMMELLSらしさ”という統一性がライブという素敵な生き物に化け、フロアを踊り続けているようだった。

 この日のライブではアルバム未収録の新曲もプレイされた。黒田は「今年の夏に作ったバチバチに熱い曲。この世が愛と夢でいっぱいになればいいな」と告げ、ミドルテンポの新曲を披露。そして真田の強烈なギターリフが轟く「Sensor」と続き、右肩上がりにヒートアップし激流のサウンドのエンディングを見せた「Night out」、会場一体の合唱が生まれた「愛のパラリア」とたたみ込み、本編が終了した。

 アンコールでは更に新曲をもう一曲披露。ラストナンバーは、2コードで物語が進んで行くような楽曲「Blue」。黒田の言う「私達の大切な曲」という言葉にふさわしいエモさの展開で、轟音と共に夜が溶けるようなフィナーレとなった。

 黒田はMCで「変な力が抜けて自由になった」と語るが、確かにこの日のライブではそういった印象があった。自由に演奏をしているのだが、ポイントは的確で、オーディエンスとの呼吸もナチュラルで、現時点で最高のRAMMELLSの音楽が放たれていたように感じることができた。4月には新作発表という展望を明言し、2ndワンマンライブは幕を閉じた。全18曲を演奏しきったRAMMELLSの清々しい表情はオーディエンスと同期し、この日のライブの素敵な時間を物語っているようだった。

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