FUKI「心に寄り添える歌を歌っていきたい」サブスク世代の歌姫が表す恋愛観

学生と話をしてすごく“気づき”があった

FUKI（撮影＝榑林史章）

――「シアワセ」は、一転してバンドサウンドで印象が変わりますね。

　はい。これはバンドサウンドにして頂きました。すごくシンプルなテーマで、今隣にいる大切な人に感謝しようって歌っています。幸せな未来は１人では作れない、大切な人が一緒にいるから作れるもの。その人と幸せな未来を作りたいから、頑張ろうって思えるんです。

　最初は、友だちに結婚式で歌って欲しいと言われて、それ用の曲を作っていたんです。最終的にメロディはまったく違うものになったんですけど、そこから派生した感じで生まれた曲でした。

――最初はウェディングソングだった？

　そうなんです。友だちの結婚式では、今とは違う形のバージョンをピアノの弾き語りで歌って。そこからブラッシュアップして、こういう形になって収録しました。私にはよくあることで、１曲を作っていて、「これをこうしたらもっと良くなる」と思って、全然違う曲に生まれ変わることがあるんです。曲の一部分を抜き出して、広げて別の１曲にするとか。

――無駄がない！

　余すことなく全部使ってやろうって（笑）。

――「シアワセ」という、タイトルがカタカナなのもいいですね。

　カタコト感が可愛いと思ったし、このほうがいろんな幸せのカタチを想像してもらえるんじゃないかと思って。

――今作には他にも、LINE MUSICで２冠を達成した「星が降る夜」と「大切なひと」や、AbemaTV恋愛リアリティショー『私の年下王子さま』タイアップ曲「キミじゃなきゃ」と「ホンモノの恋、はじめませんか？」などをリマスターで収録されていますね。

　リマスターしたことによって、音の響き方が変わって、よりスッと耳に飛び込んできて、素直に受け止められるような音になったと思います。きっと気持ちよく体に響いてくるようなサウンドになっていると思います。私自身あまり技術的なことは分からないんですけど、そんな自分でも聴き比べて「変わったな」と分かったので、ぜひみなさんも配信の音源と聴き比べてもらえたら嬉しいです。

――デビューから３年間の代表曲が網羅されていますが、中でもターニングポイントになった曲は？

　昨年12月にリリースした「思い出になる前に」ですね。ラブに始まりライフを歌い、またラブに戻ってくるきっかけになった曲です。

――「思い出になる前に」は、LINE MUSIC学生アンバサダーとのコラボで生まれた曲ですね。

　そうですね。学生と話をしながら作ったことも、自分にとってすごく“気づき”がありました。私が今歌うべきものは、やっぱりラブなんだなって、話を聞いてすごく思ったんですね。今回のアルバムに繋がる一歩が、ここにあったと思います。

――FUKIさんの学生時代と今の学生ではどんな違いがありましたか？

　私の時はまだガラケーでしたし、SNSはなかったので、告白の仕方がまるで違うなって。今はSNSが中心で、直接言葉で伝えることも少ないと聞いて、すごいなって。そういうことも新鮮だったし。

　でも変わっていないなと思うこともあって。私が「どういう時に好きな人のことを思うの？」って聞いたら、「１人の帰り道に切ない曲を聴くと思い出す」と言っていて。それは私の時代も同じだったので、安心したところもあったし。

――FUKIさんの歌が、世代を越えて繋いでくれるようですね。今後は、どんなラブソングを歌っていきたいですか？

　そうですね～…いくつも曲を作ってきて、曲が増えてくると、あれもやってみようこれもやってみようってなるんです。例えば「あと少しだけ」は、デビュー曲「キミじゃなきゃ」の続編のような気持ちで書いたんです。メロディも歌詞の言葉も、詰め込むみたいな歌い方も、全部において私らしさを解放した曲です。そういう曲は久しぶりだったし、初心に還ることも大事だなと思えました。やりたいように、歌いたいように、デビューの時から変わらずに思っている「人の心に寄り添える歌」を、１曲ずつ大事に歌っていきたいです。

（おわり）