乃木坂46若月佑美の卒業セレモニーが4日、日本武道館で開催。若月が考えたというセットリストのもと、約1万人のファンを前に、アンコールを含め全15曲を披露した。終盤、涙を流すメンバーのなかで盛り上げようと笑顔に努めた若月。最後まで“若様”を貫き、アイドル人生に終止符を打った。

ダンスパフォーマンスを見せる若月

 最後まで若様らしかった。多彩なキャラを持つ若月が一つ一つに区切りをつけるかのように、曲を並べた。幕開けを飾ったのは「ロボットダンス」。“男前”若様を象徴するかのような黒一色の衣装で登場すると、ダンサー16人とキレキレのパフォーマンスで魅了。ステージ後方を振り返り、銃弾を撃ち込むような仕草を見せると、映像には、鉄板が破壊され月が表れる。それを見て若月は「月、ということは…」と一言。それを合図にステージにメンバーが表れ「狼に口笛を」。立て続けに「音が出ないギター」を披露した。

 若月が音頭を取ってメンバー一同が挨拶すると、「師走のなかで来てくださってありがとうございます」とお礼。「卒業セレモニーだけど、年末なのでワイワイと楽しく過ごしてほしい」と若月の提案で設けられたソファにメンバーが腰を掛け、談笑する。

ダンスパフォーマンスを見せた若月に駆け寄るメンバー

 今回は「卒業コンサート」ではなく「卒業セレモニー」とした理由を、「7年間の活動の中でキャラが大渋滞しているので、色んなものを見せて、精算していきたい」と説明。「卒業前にやっておきたい曲」として5曲選んだ。

 まずは、桜井玲香との「まあいいか?」、そして、桜井と秋元真夏、中田花奈とのユニット「女子高カルテット」で「告白の順番」を届けた。「まあいいか?」では惹かれ合っていた桜井を振り、カルテットでは脱退を告げた。

 また、若月を慕う若様軍団との「失恋お掃除人」では、人気キャラ「箸くん」も登場。箸を持った若月は「箸くん」に「お世話になったけど寂しい」と語り掛ければ「箸くん」(若月の声)は「何を言っているんだい。箸は離れて初めて使えるんだ。夢に向けて頑張れ」とメッセージ。その箸をそのままステージに置き、軍団を後輩に託した。

箸をステージに置いた若月佑美

 「低体温のキス」では“男前”キャラを卒業。更に「とても大切にしていた曲です。乃木坂46に入ってこの2人でいつか3人でライブがしたいとずっと言っていた曲」として西野七瀬と秋元真夏と「Rewindあの日」を披露。最後にその願いを叶えた。

 ベスト5のなかには「力強い曲で、こうやって時代が開いていくのかなと思った」として聴きたい曲に、二期生の「ボーダー」を挙げ、それを二期生が披露した。メンバーは「数ある曲の中で選んでくれて嬉しい」と喜んだ。

 曲の合間には若月との思い出話に花を咲かせた。そのなかでことわることに出てきたのは、若月の人柄を印象付けさせるエピソードだった。

 堀未央奈がセンターに抜擢され、控室などでどうしていいか分からなかったときに声をかけてくれたのは若月だったと語れば、伊藤かりんは二期生は皆感謝していると明かし、後輩を思いやるその人望を称えた。

ライブの模様

 「女子高カルテット」では卒業を聞いた時のエピソードが語られた。4人とも女子高出身で年齢も近いことから、公私ともに仲が良い。高山一実によれば楽屋でも席を隣り合わせにしているほどだという。だが仲が良いだけに、卒業発表前にその雰囲気を察し、涙を流したことも明かされた。

 なお、若様軍団の山下美月はこの日、定番になっているライブ前のアナウンスで既に堪えきれず泣き声に震わせていた。秋元もこの日のリハーサルから涙がとまらなかったという。

ライブの模様

 「キャラ」などへの区切りをつけていく中で、メンバー全員で、原点とも言える「会いたかったかもしれない」を披露。更に「騒げ!」と「ガールズルール」「ロマンティックいか焼き」「制服のマネキン」と名曲を立て続けに歌い届けていく。最後は「帰り道は遠回りしたくなる」を歌い上げ、本編は終了。

 アンコールでは、一人若月がステージに登場し、ファンに向けてしたためた手紙を読み上げた。

 「初期の頃からの夢で、それは何かになりたいとかそういうのではなくて、誰かの人生に良い影響を与えるような人になりたいというのが夢。近しい人に影響を与えることはできるけど、直接会ったことがない人に影響を与えられるのはなかなかできない。この7年苦しい時もあったけど、それが叶ったら報われる。皆には、ありがとうと言ってくれて、ありがとうって言いたい。不器用だけど1本線を引いちゃって、アイドルらしくないところもあったけど、アイドルでいられたのはファン、メンバー、スタッフのおかげ、つまり乃木坂46は最高ということ」

涙ながらに花を受け取る桜井

 メンバーを呼び込んで「失いたくないから」。歌唱中には感謝と別れを告げるように、メンバー一人一人に「ありがとう」と言って一輪の花を渡していく若月。ほぼ全員が涙を流すなか、場を盛り上げようと務めたのはやっぱり若月だった。

 その花も「最後まで与える人でいたいから」とスタッフにお願いしたという。そして、最後の最後は「ダンケシェーン」。若月からなかなか離れようとしない西野。桜井と秋元たちは涙で歌えない。メインボーカルを務める生田絵梨花も声が震える。

 それでも盛り上げようと明るい表情に努める若月。しかし、そんな彼女も、メンバー全員での「やっぱ若様だな」コールで、張り詰めていた糸が緩む。目に涙を浮かべながらも、それでも流すまいと天井を見上げ手で顔を仰ぎ、押さえる。

 気を取り直して「笑顔で終われることができました。思い残すことがない本当に幸せなアイドル人生でした。4期生もお披露目されて新しい風が入ってきて、乃木坂46はかっこいいメンバーばかり。これからも乃木坂46を宜しくお願いします。7年間本当にありがとうございました。若月はとても幸せでした」と語り、最後はマイクを使わずに生声で「ありがとうございました」。

手紙を読み上げる若月

 人に優しく気遣いがあり、男前でいて女子のような一面もある。生真面目な若様は最後まで若様らしく、ステージを後にした。【取材=木村陽仁】

セットリスト

SE Overture
 Dance Opening Act
01.狼に口笛を
02.音が出ないギター
03.まあいいか?
04.告白の順番
05.ボーダー
06.失恋お掃除人
07.低体温のキス
08.Rewindあの日
09.会いたかったかもしれない
10.ガールズルール
11.ロマンティックいか焼き
12.制服のマネキン
13.帰り道は遠回りしたくなる

EN01.失いたくないから
EN01.ダンケシェーン

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