諦めない――、両腕の無い演奏家 ジョナタ・バストスの揺るがない思い
INTERVIEW

諦めない――、両腕の無い演奏家 ジョナタ・バストスの揺るがない思い


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年11月22日

読了時間:約7分

自身にとってのピアノとギターとは

ジョナタ・バストス

――世界各国をまわって驚いたことや印象に残っていることはありますか?

 昨年の『ParaFes 2017』が終わってすぐにポルトガル、今年の1月にはアルゼンチンをまわって、そして、母国・ブラジルでもたくさんお仕事をさせていただいた1年でした。文化の違いというのが一番大きくて、例えば日本だと挨拶がすごくフォーマルで他の国はない驚きがありました。日本というのは世界各国から見てもユニークな文化を持っている国だと思いました。

――様々な人とコラボレーションされていますが、日本人ミュージシャンと海外のミュージシャンで違いを感じましたか?

 昨年は、木下航志さん、今回は酒井響希くん(盲目の小学生ドラマー)という日本のミュージシャンと出会いましたけど、大きな違いというのはあまりないです。演奏してみて、ものすごくリスペクト出来る2人でした。それもあって、日本の音楽にも興味が出てきたので、今後は日本の伝統的な曲などを弾いてみたいと思いました。

――日本のもので知っている曲はありますか。

 まだそんなに知らないんですけど、『ParaFes 2017』に出演させていただいたこともあって日本国歌の「君が代」は知っています。これからもっと勉強したいと思っています。

――日本の文化で知っているものはありますか。

 アニメを多少観ます。『ドラゴンボール』や『NARUTO-ナルト-』、『ポケットモンスター』はブラジルでも人気があるので知っています。特に『ドラゴンボール』は日本では昔からあるアニメだと思いますけど、ブラジルでは今すごく人気があるアニメなんです。

――『ドラゴンボール』は日本でも国民的作品なので、いずれジョナタさんが『ドラゴンボール』の曲を弾いてくれたら嬉しいですね。さて、昨年おこなわれた『ParaFes 2017』は両国国技館という大きな会場で、観客も多かったのですが緊張はされましたか。

 すごく大きな責任があったのは自覚していましたが、当日は冷静でした。自分のモチベーションや、乗り越えてきたことなど思い出して、冷静を保つようにとしていたので、楽しくパフォーマンスさせていただきました。今年もまずは冷静になれるように努力します。冷静を保つのに本当に特別なことはしていなくて、好きなことや家族のこと、ギターのことを考えたりすることが多いですね。

――ギターのことを考えるというお話ですが、ジョナタさんはピアノとギターを弾かれますが、各々の楽器は自身にとってどのような存在ですか。

 ピアノはセンシティブなものであって、なめらかに心のなかに入ってくるものというイメージがあります。ギターは反対に、強さ、パワフルなイメージがあります。だけど、ギターは自分と会話しているかのような感覚があります。聴いてくれる皆さんにもそれが伝わったら嬉しいなと思っています。

――気分によっても弾きたい楽器が変わってきますね。

 そうですね。落ち着きたい時にはピアノの美しい音色とハーモニーが最適ですし、ストレスを発散したい時はギターが良いかも知れないです。ギターはパワフルな音なので、自分の向上心を高めたい場合にも良いと感じています。

――今のご気分ですと、どちらを弾きたいですか。

 ははは! 今はゆっくりと落ち着きたい感じなので、今の気分ならピアノですね(笑)。

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