7人組ボーイズグループのiKONが7日、東京・日本武道館で全国ツアー『iKON JAPAN TOUR 2018』の東京公演をおこなった。同ツアーは8月の福岡・福岡国際センター公演を皮切りに、7会場17公演をおこなう6度目のジャパンツアー。彼らにとって武道館公演は2年ぶり。2daysでおこなわれたライブ、2日目は約1万3000人のファンが駆けつけ彼らに大きな声援を送った。その模様を以下にレポートする。【取材=桂 伸也】

KONならではのステージの幕開け

iKON

 人気グループBIGBANGの系譜を継ぐボーイズグループとして2015年にデビューした彼らは、日本でも『第31回日本ゴールドディスク大賞』でニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞し、「日本レコード大賞最優秀新人賞」とともに日本で新人賞をW受賞。デビューから大きな注目を集め、日本においても要注目のグループ。

 フロア、1階席、2階席と座席はほぼビッチリと埋まったこの日の日本武道館。ステージには赤い斜めの線で構成されたデザインが背面に映され、その両サイドに設置されたスクリーンには、これまで発表されたiKONのミュージックビデオが、観衆の気持ちを煽りステージのお膳立てをしていた。やがてMVが「APOLOGY」から「DUMB&DUMBER」に移ると、会場は突然“ゾーン”に突入する。まだフロアには客電が照らされた状態にもかかわらず観衆は赤いペンライトを振りはじめ、サビのパートでは大合唱になった。

 iKONのことを知らない観衆であれば寝耳に水、何事かと驚くことだろう。しかし、まるで先に申し合わせたようなこの観衆の行動は、徐々に人数を増していき、明るい場内にも関わらず赤い色の波が皆の気持ちを大きく揺さぶっていく。

 そしてリズムの勢いが極まったところで会場は暗転、「キャー!」という絶叫が束になって会場中に鳴り響く。その声が静まると、何か大きな金属の塊同士がぶつかるような重々しいノイズが、徐々に会場を支配しはじめる。

 やがてその音はオーケストラの重厚なサウンドと重なり、荘厳な雰囲気を会場に醸していった。続いてスクリーンには、iKONのメンバーの名前と顔が一人ずつ映し出されていく。来るべき時の到来に観衆の興奮は高まり、スクリーン上の顔が変わるたびにまた大きな声を上げていった。

 楽曲のイントロに乗せて、誰かの声が聞こえる。ステージ上に作られた一段高い櫓の上。その中心に立つ一人の男性にスポットが当てられる。リーダーのB.Iがサングラスを掛け高らかにラップを披露する。そしてステージは徐々に明るくなると、そこには7人のメンバー全員がいることが明らかに。そして赤いスパンコールのジャケットを羽織った彼らがしたの下のステージに下りるまで、絶叫のような歓声が会場を包んだ。

 オープニングナンバーは「KILLING ME -KR Ver.-」。少し憂いを含んだ切ないメロディーが、四つ打ちのリズムに乗って、観衆の胸に直撃する。対して彼らのシャープで一糸乱れぬダンスパフォーマンスに、会場中が文字通り“踊らされていた”。

個性的な7人だからこそのiKON

会場の様子

 一方で序盤はまさしく容赦ない展開を見せた。「KILLING ME」と比較すると、少しワルな雰囲気でヘビーなビートを打ちならす「BLING BLING」から、ギターのサウンドがさらに気持ちをあおっていく「RHYTHM TA REMIX (Rock Ver.)」へ。B.IとBOBBYのエモーショナルなラップに、iKONの曲のアウトラインを形作るJAYとJU-NEの歌。

 さらにハイトーンで甘い雰囲気を漂わせるDKと、対照的にアクティブな流れを作りだすCHANとSONGのボーカル。それぞれが独自の個性を持ちながらも、聴こえてくるそのサウンド。それはiKONだからこそのサウンドと言えるだろう。

 特にB.IとBOBBYのラップは、サウンドの中でのアクセント的な存在というよりより、どちらかといえばiKONのサウンドのイメージに大きく影響する。ヒップホップ的なカラーの中にエモーショナルなテイストを強く与え、リズミカルでアクティブな雰囲気を醸し出す。そのサウンドに乗せ、見せる迷いのないダンスパフォーマンス。誰もが“カッコいい”と感じさせるその姿に、観衆はもう釘づけで猛烈な熱気を振りまき、JAYも思わず「秋なのに、ここはまだ夏だよ」と熱い盛り上がりに、声を上げていた。

 猛烈な勢いで展開した序盤から、中盤に向けてはゆったりとしたビート、あるいはサウンドなどを取り入れ、スタイルも7人からソロ、ユニットなどとバラエティに富んだ布陣で、さらにステージを盛り上げる。ステージ背面のスクリーンに映し出されるグラフィックを駆使した演出など、スケール感豊かなそのパフォーマンスに観衆は総立ちし、席を温める間もないほどに、彼らのステージの一挙一動にずっと集中。その一方でメンバーによる親しさいっぱいの、ジョークをふんだんに絡めたMCではひと時ほっこりと、この日の“iKONのステージを見に来た”という事実、そして幸せを目一杯に実感していた。

 終盤は、ステージのスクリーンに映し出された「LOVE SCENARIO」の映像から始まった。一方映し出された字幕では「いっしょに歌ってみましょう!」の文字が。徐々に観衆の声が揃いはじめると、いよいよクライマックスに向けた7人が、白のシャツをベースとしたファッションで登場、「LOVE SCENARIO」でお膳立てを図る。さらまたこの日は「GOODBYE ROAD -KR Ver.-」を披露、その歌声とダンスに大きな歓声が送られる。

 そして、訪れたクライマックスではステージスタート直前に流れたヘビーでアゲアゲなナンバー「DUMB&DUMBER」へ。もうこれ以上にない、と言えるほどの熱気が会場を漂い、最高潮の盛り上がりを見せる。「僕たちiKONは、皆さんがいないと歌えない」そんな観衆へ、JAYが語り掛ける。そして再び訪れた日本武道館のステージへの感謝を告げ、続いたラスト曲で7人はステージを降りる。

 しかし観衆はアンコールといわんとばかりに「LONG TIME NO SEE」のサビの一節を合唱しはじめる。その思いに大いに感動したのか、彼らは2度のアンコールを実施。12月22日、23日に大阪・京セラドーム大阪でおこなわれるツアー最終公演でスペシャルなステージを披露することを約束し、この日のステージに幕を下ろした。

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