じんとは何か、自問自答を続けた5年半 譲れなかった本心
INTERVIEW

じんとは何か、自問自答を続けた5年半 譲れなかった本心


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年11月07日

読了時間:約16分

音楽が人間の近くにある時代

――音楽が複合的な芸術になってきているという気がします。歌詞があって、音があって、そして映像がある。プロモーションビデオは昔からありますが、それを更に結び付けたのは、ニコニコ動画から生まれたもの、いわゆる「歌ってみた」や「ボカロ」などが大きいとも思います。そのあたりはどう思いますか?

 確かに音楽は色んな瞬間にあるなと思います。例えばアニメーションを観ていて流れる音楽や劇伴など、普通に演技をしているバックで流れる音楽も、凄く複合的だと思うんですけど、間違いなく音楽が効果を発揮している瞬間だと思うんです。ニコニコ動画で映像に合わせた音楽、MVの文化ってもちろん昔からありますけど、特に若い子たちがCDじゃなくてMVが観たいと思い始めたのは、僕も含めてあのあたりが強かったなと。ライブに行きたい、MVで観たい、みたいな時期だったと。複合的になってきているといえばそうなのかなと思いつつ。

――映像は映っているから形になっていると思うのですが、音楽は形にできないと思うんです。それをチャレンジしているような気がします。

 この前に出した新曲も、言葉だけ読んだら入ってこないというか、「そういう人もいるんですか」みたいな。音楽に乗せてとなると、叩き込まれる感覚になっていくというか、そういう効能が音楽にはありますよと、それは別に解明されている訳ではないというか。それは僕がそう思ったからそういうやり方をしたというだけで。少なからず、人が何かしらの反応を起こしてくれるというのは自分としても楽しいことで。

 確かに残らないというか、音楽って儚いというか…。例えば絵とか僕は凄いなと思うんです。絵って見せられたら一瞬なんですよ。一秒もかからないで「感動した」「素敵な絵!」となる。音楽って何かしら音を鳴らす機械とか装置的なものと時間の制約の中でやらなくちゃいけないというのがあって、ちょっと手間がかかるというか。存在しないものだから再生しなきゃいけないという。音楽ではそこが逆に面白くもあり、難しいところでもあると思うんです。

 スマホが普及したおかげで別にイヤホンとかで曲を聴けるじゃないですか? 凄く音楽が聴きやすくなった時代だなと思っていて。今は音楽が人間の近くにある時代なんだなと思っていて。ここから色んな音楽と人間の付き合い方というのを、色んな形を提示する人がいたり、勝手に生まれたりというのがあるんだなと。自分もそういうがのどんどん面白がってやっていきたいなというのがありますよね。

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