見られることへの意識、乃木坂46若月佑美 デザイナーとしての顔
INTERVIEW

見られることへの意識、乃木坂46若月佑美 デザイナーとしての顔


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年10月04日

読了時間:約9分

故郷にインスピレーション

――ところで故郷の体験がアートのインスピレーションになっていますか?

 なっています。良い意味で東京に来た時の静岡とのギャップがすごくて。あの時のあった自然は当たり前ではなかったんだなとか。自分が毎日朝、窓を開けて見えていた富士山が今は見えないとか。そういうところで改めて大事さを感じて、そういうのを残していくことは写真でもできると思いますが、自分の中にあった富士山はどうしても描くことでしか表現することができないので、そういう意味では今でも自然をよく描きます。よく「二科展」に出品した作品でも花とかも多くて、それは昔あって今にないものをどうしても残して描きたいという思いがあるからです。

若月佑美

若月佑美

――帰省した時に想像力が高まったり?

 亡くなってしまったんですが、祖父がすごく絵を描く人で。祖父が描く絵は身の回りのものが多かったんです。ずっと畑仕事もしていたんですけど、近くにある竹林を描いたり。昔はそれをなんとも思っていなかったのですが、大人になった今その絵を見ると、「これってあそこのあれだな」とか「地元のあれだな」というのが分かる。家に飾ってあるのを見るとこういう描き方もあるんだなと気づく点もあります。

――海外で影響を受けた作風や刺激になった体験などはありますか?

 海外には興味がありまして、ただアメリカ圏ではグアムがせいいっぱい。ニューヨークとかに行ってみたいと思うんです。ブロードウェイもありますし、芸術面がすごいと聞くので、そこに行って学びたいとも思っています。それと、スペインに写真集の撮影で行きました。そのなかでミハスという町があるんですけど、壁一面真っ白でお皿が飾ってあったんですよ。「お皿って飾るものだっけ?」って。それがすごく素敵で。でも本来お皿は盛り付けるものだし、そこで初めて飾るものとして置いても良いんだということを感じました。

 真っ白は、空白といいますか、ゼロという印象があります。絵ではどうしても色で埋めたくなる。だけど、これだけ真っ白になると逆にお皿という小さなものでも映えるんだなということを感じられたので、そこが自分の概念を壊してくれました。絵を描く上でも、私は黒が好きで、一番ほかの色を引き立たせるのは黒だなと思って背景も黒にしがちなのですが、海外に行って白は素敵なんだと思えたので、今後はもっと明るい色を頑張って使っていこうと思いました。

若月佑美

 このインタビューを終えた数日後に乃木坂46からの卒業を発表した若月。ファンの間でも生真面目で知られ、何事にも全力で、真摯に向き合う姿勢はグループ内外からも共感を得ている。その姿勢はインタビューでもひしひしと伝わってきた。様々な経験や思いなどを得て生まれるアート。彼女が描く未来はどのようなものなのか、今後の更なる活躍を期待したい。

(おわり)

この記事の写真
若月佑美
若月佑美
若月佑美
若月佑美

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事