INTERVIEW

矢作穂香

結構決めたら突き進もうと――、「こん抱き」莉子との共通点


記者:桂 伸也

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掲載:18年10月01日

読了時間:約13分

 女優の矢作穂香が主演を務めるドラマ『今夜、勝手に抱きしめてもいいですか?』が今秋より配信・放送される。ツイッター上での“つぶやき”をもとに描かれ、絶大な人気を誇る恋愛小説が原作。BOYS AND MENの水野勝や、近年ドラマなどで多く活躍する俳優・中尾暢樹など話題のキャストも集い、この秋注目のドラマとなることも予想される。今回は主演の矢作にインタビュー。役柄に共感するところが多いという本作に対して、矢作が抱いた思いやドラマ撮影への取り組みなどを、自身の音楽に対する思いとともにたずねてみた。【取材=桂 伸也/撮影=冨田味我】

注目の女優、矢作穂香

 『今夜、勝手に抱きしめてもいいですか?』は、文筆家で写真家の蒼井ブルー氏による、ツイッター上での“つぶやき”をもとに、三津留ゆう氏が執筆した小説作品が原作。東京のシェアオフィスとシェアハウスを舞台に、一途な思いを貫こうとする主人公の女性を中心とした、5人の男女による恋模様を描く。

 矢作が主人公・佐伯莉子を演じるほか、キャストには彼女の初恋相手であるカメラマン・市原柊二役に水野、莉子に密かな恋心を抱く進藤新役に中尾、莉子のルームメイトで、密かに新に心を寄せる親友・雨宮佳乃役に加村真美、柊二のエージェントを務める女性・深井翠子役に入山法子らが名を連ねる。メガホンをとるのは、二宮崇氏、瀧悠輔氏のダブル監督。また本作は主題歌にCOLOR CREATION「Blue Star」、エンディングテーマには尾崎由香の「オトシモノ」が起用されている。

 矢作は、2009年よりファッションモデルとしての活動をスタート。2013年にはドラマ『イタズラなKiss~Love in TOKYO』(フジテレビTWO)、2015年には映画『クレヴァニ、愛のトンネル』で主演を担当するなど、徐々に注目を集め始めていたが、さらなるステップアップを目指し、2015年にニューヨークへ半年ほどの留学をし、2016年に帰国。2017年には大林宣彦監督が手がけた映画『花筐/HANAGATAMI』でヒロインを務めるなど、今後の活躍がさらに期待される女優として、その活動の幅を広げている。

原作から深く共感した作品

――このドラマですが、正統派的なラブコメディーという印象です。矢作さんご自身も、普段はこういったストーリーの原作小説などは読まれたりするのでしょうか?

 時々読むことがあります。今作は、蒼井ブルーさんのツイッターを最初に見ていたので、最初からその“原作”のほうを知っていました。

矢作穂香

矢作穂香

――原作をもともとご存知でしたか?

 はい、蒼井ブルーさんはずっと知っていました。友達がすごく好きで、よくツイッターでリツイートしていて、“お勧めだよ”って言われていました。

――蒼井ブルーさんの作品は、どのようなところが魅力なのでしょう?

 例えば恋愛のハウツーみたいな感じというか…男女間の気持ちや、“あ、そうそう!”と共感できる部分が多い気がします。

――どの作品からもそんな雰囲気がありますか? “それ、分かるぅー!”みたいな感じで?(笑)

 そうなんです。“分かるぅー!”みたいな。あと“うわー! なんかいいなぁ!”とか(笑)

――では、こういったラブストーリー作品は大歓迎と?

 もう大好きです! 洋画とか、自分が見るものはほとんどがラブストーリーです。やっぱり何か疑似体験じゃないですけど…恋愛感情は、人それぞれだと思いますし、それを嘘としてでも経験として描くのって面白いなって思います。

――そうでしたか。主人公・莉子の“小学校のときに好きになったお兄ちゃんを、20歳過ぎても未だに…”というエピソードは、すごいなと思いましたが…(笑)。

 私も当初、すごいと思っていました。台本を読んだ時や、撮影中に莉子ちゃんを思い浮かべる時に、小学生の時からずっと好きだということは確かに印象的でしたが、自然な感じもしたんです。でも今、客観的に落ち着いて考えてみると、“本当にすごいことだな”って思います(笑)。

――意外に役をやっているときには、それほどビックリはしなかったけど、というような…。

 演じているときは、それを“莉子ちゃん、可愛いなあ”くらいに思っていたんですけど。

矢作穂香

矢作穂香

――その一方で、ドラマ冒頭でいきなり付き合おうとした男の人を振っちゃうというドライな感じもあり…(笑)。

 意外と莉子ちゃんは、波乱万丈なんです(笑)。実はあまり男の子に優しくない女の子というか(笑)。それくらいに自分の心に素直なのかな、と思います。演じているときは、難しさというよりも、面白さのほうがありました。

――かなりキャラクター自体に共感されている感じですね。実際にこの莉子というキャラクターは、矢作さん自身と比べると、どんな性格の人間だと思いますか? 似ているところもあるのでしょうか。先程のお話では、莉子はすごく一途な女の子だ、ということですが、矢作さんも一途なところが?

 結構決めたら“こうだ!”と突き進もうとするところは、私にも似ているかと思います(笑)。恋愛じゃないですけど、このお仕事もそうですし、以前クラッシックバレエをずっと習っていたのですが、その時はほかのことが手につかないくらい、すごく熱中していたこともあります。その意味では、“決めたら真っ直ぐ”という性格にちょっと共感しました。

――この莉子という人間は“私じゃなきゃできない!”くらいに?(笑)。

 そういうと相当自信過剰にも聞こえますが…(笑)。でも、確かに近い感じというか「私だったらこうできるかもしれない」ということは頭に思い浮かびました。他の方がやったら、また違う莉子ちゃんになっていたと思いますし、それぞれの良さが出てくると思うけれど、私がやることによって私らしい莉子ちゃんになっているんじゃないかな、と思います。

――なるほど。また劇中では、他のキャラクターとの距離感が、それぞれに微妙な感じで見えてくるのが面白いですよね。

 そうなんです。いろんな恋模様が、いろんな矢印の方向で向いていますよね。

――ちなみに劇中では、水野勝さん演じる柊二、中尾暢樹さん演じる新という二人のキャラクターが、莉子のほうに矢印を向けている、あるいは向けられるという格好になりますが、矢作さん個人としてはどちらの方がタイプでしょう?

 う~ん、それは現場で雑談をしているときに話していたんですが…、「私は新のほうがいい!」って、現場でずっと言っていました(笑)

――そうでしたか。ストーリー上では、全然目もくれない感じですが(笑)。

 客観的にですけど、助けてくれたりとか、いつも気に掛けてくれたりとか。そばにいてくれたらすごく頼りになるな、と思いました。

――でもストーリー上ではそれに気づかない。なんて莉子は罪な奴なんでしょうね(笑)。

 いや~本当に申し訳ない! と思っていました(笑)。優しさは伝わっているんだけれど、いまいち気づけてなくてごめんね、という感じです。本当に楽しくて、共演者との仲の良さもテレビの画面から伝わってくるんじゃないかなと思います。

――矢作さん自身の恋愛物語を描くとしたらどんなものにしたいと思いますか?

 私はハッピーエンドが好きなので、ハッピーエンドになってくれたら良いなと。

――何があっても?

 そう、何があっても。何かしらのハッピーエンドになってくれたら(笑)。

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