ロックバンドのUNCHAINが26日に、約1年3カ月ぶりのオリジナルアルバム『LIBYAN GLASS』をリリースする。今作はキャリア22年にして初めてドラムの吉田昇吾が作曲に挑戦、その曲がリード曲になった。彼ら自身も「超びっくり」という出来事だが、それよってメンバー全員が作詞・作曲をおこなえることが証明できた。いわば今作は、彼らの音楽性が更なる広がりを見せる起爆剤となる。人の力によって表現する音楽とそうでない音楽を融合した彼らのスタイル。常に新しいアプローチを続けて邁進する彼らの“現在”のサウンドをインタビューで迫った。【取材=平吉賢治/撮影=冨田味我】
UNCHAINのルーツ・ミュージックを辿る
――シティ・ポップ、ソウル、ジャズ、フュージョンと、UNCHAINの音楽からは様々なルーツを感じますが、みなさんは普段どんな音楽を聴いているのでしょうか。
谷川正憲 みんなバラバラだと思います。一人ひとり好みが違って、それぞれが自由に持ち寄って、という感じです。僕はソウル、R&B、ゴスペルなどです。
――一番好きなソウルミュージシャンは?
谷川正憲 スティーヴィー・ワンダーです。
――本作の楽曲にもスティーヴィーを感じるトラックがありますね。吉田さんはどんな音楽を聴きますか?
吉田昇吾 けっこう幅広いと思うんですけど、バンドだとブリング・ミー・ザ・ホライズン(英ロックバンド)とかが最近は好きですね。ジャズとかはあまり聴かないですけど。フュージョンはちょいちょい聴きますね。
谷浩彰 僕はこれと言って…ベースがいいなと思った音楽ですね。ファンクも聴きますし、HIP HOPも。特にこれだというのはないかもしれないです。
――最初に衝撃を受けたアーティストは?
谷浩彰 X JAPANです。あとLUNA SEAとかも。
谷川正憲 中学生の頃から一緒なんですけど、当時そのあたりの音楽をやっていたんです。
――そのままその方向性にはいかなかったのですね。
谷川正憲 当時から雑食の傾向がありまして。ライブのときはLUNA SEAとTHE BLUE HEARTSのコピーを一緒にやったりとか。
谷浩彰 お客さんも特に違和感なく聴いてた(笑)。
――UNCHAINはカバー楽曲もたくさんありますが、どれも“UNCHAINらしく”なるんですよね。「リズムやフレーズがないとその曲じゃない」という部分をスパっと変えたりしていて。
谷川正憲 そうですね。けっこうリズムを変えたり、リハーモナイズしたり。イジくり回すのが好きですね。ただ、歌の良さは消えないようにしていて。どんなにイジってもメロディは活きる感じは意識しています。
――コードも自在に変えているという印象があります。UNCHAINの楽曲は一貫して歌謡曲やJ-POP的なコード進行がなかなか見当たらないんです。
谷川正憲 そうかもしれないですね。やっぱり洋楽志向で。インディーズデビューのときも全部英語詞でやっていたりしたんです。昔は特に、日本っぽくならないように、歌謡曲っぽくならないようにしようと思って作っていました。