きゃりー、サバプロ、RHYMESTER、向井太一、ノンストップで駆け抜けた音の異文化交流
Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
レッドブル主催の音楽イベント『RRED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018 - SOUND JUNCTION』が23日、東京・渋谷でおこなわれた。このイベントは、レッドブル・ミュージック・フェスティバル実行委員会が「音楽の解放区」をテーマに、約1カ月にわたっておこなう計11イベントの第2弾だ。【取材=桂 伸也】
昨年に引き続き、今年で2回目の開催を迎えたこのイベントは、ジャンルの違う4つのアーティスト、ユニット、バンドが会場に設けられた4つのステージでそれぞれのライブを展開、それぞれライブの機会を二順させる構成となっている。一順目はミニライブ、二順目はそれぞれの趣向を凝らしたライブパフォーマンスを展開するという贅沢な趣向を施しており、まさに“音の合流点”といえる様相を呈したイベントだ。
今年はRHYMESTER、向井太一、きゃりーぱみゅぱみゅ、Survive Said The Prophetといったジャンルもサウンドも全く異なる面子が出揃い、ヒップホップにソウル風、ポップスにエクストリームなロックと、バラエティに富んだ布陣で、この日会場に訪れた1000人ほどの観衆を大いに賑わせた。
様々な音がノンストップで交差する、まさにスペシャルな場所でのひと時
会場となるホールに入ると、ちょうどホールの4隅の部分にそれぞれステージが設けられ、イベントのスタートを待つ観衆は、そのステージのどこからイベントはスタートするのか? とワクワクした気分をその表情に見せる。そして予定時間を5分ほど過ぎた頃、会場は暗転しいよいよスタートの時を迎えた。
ここで、意表を突く出来事が。暗くなった会場の中、天井に設置されたプラズマビジョンにイベントスタートをイメージしたデザイン映像が流れ、待ちわびた観衆の気持ちをさらに煽っていく。そして程なくステージの一つに、MCを担当するラッパーのあっこゴリラが登場し、この日のスタートを華々しく告げた。
あっこゴリラが登場した対角のステージ、そこからUtamaruが「おい! こっち! こっちだよ!」と観衆の目を向けさせる声が聞こえる。意表を突かれた観衆の意識が一気にステージに集中する中、トップバッターのRHYMESTARの面々は登場し、「B-BOYイズム」で一気に興奮のイベントを煽っていく。MCではUtamaruが「一発目だからとか、お目当てじゃないからと出し惜しみしないで! みんな大人でしょ!」と煽ると、観衆はその言葉に深く同調するように興奮に包まれ、大きく振り上げた腕を上に、下に振りながら彼らの音に深く身を浸す。そんな観衆に対して、UtamaruとMummy-Dは激しく鳴り響くビートに止まらぬラップを乗せ、自身のパッションを打ち込んでいった。
そしてRHYMESTARの興奮のステージが覚めやらぬ中、間髪いれずに頭打ちのビート音がその対角のステージより響いてくる。高く突き抜けるような歌声で、ソウルソングを聴かせてくる向井太一の登場だ。軽快なビートに体が文字通り“動かされていく”ステージ。RHYMESTARの聞かせる強いビートも心地よいが、ダンサブルでファンキーな向井の曲のビートも外せないところだ。ドラマチックさすら感じられる曲の中、向井はセクシーな雰囲気も醸すパフォーマンスと共に、エモーショナルな歌を披露し、観衆を魅了した。
向井のいたステージの、ちょうど隣に登場したきゃりーぱみゅぱみゅの登場も、向井のステージの終了から息つく暇もないタイミングで始まった。先にステージに登場していた2人のダンサーが、ノリのいいビートでダンスを披露する中、きゃりーは“Clap Your Hands!”と叫びながら登場、歌い始める前から自身もリズムに合わせて飛び跳ね、観衆の興奮をさらに煽っていく。ファッショナブルなスタイルもポイントの、きゃりーのステージの醍醐味であるが、この日は鶯色のシンプルなワンピースで登場、ダンサーとの息の合ったダンスパフォーマンスとキャッチーでポップな歌で観衆を大いに楽しませた。また、26日にはニューアルバム『じゃぱみゅ』をリリースするきゃりーは、この日は特別に「演歌ナトリウム」「キズナミ」の2曲を披露、新たなサウンドへの期待感をさらに煽っていた。
そして、そのきゃりーのステージの興奮を一気に吹き飛ばすように登場したのが、対角のステージに登場したSurvive Said The Prophet。厳かさすら感じられる入場のSEより、ド迫力のドラム、ギターサウンドが一気に会場に充満する。きゃりーの見せた可憐なイメージに向けてYoshが叫ぶ。「“Kawaii”の後に、ロックじゃダメですか!?」その声を全力で否定する観衆たち。ここまで登場した3つのアーティスト、ユニットからはガラっと変わったワイルドなサウンドが会場の雰囲気を一変させるが、5人のそのパッションは、勝らぬとも劣らずといった強力な熱気を振りまく。骨太のエクストリームなロックサウンドをベースに、バラードチックな「Follow」などを織り交ぜた、バラエティに富んだ楽曲、そしてしっかりと歌心を見せるYoshの歌声でしっかりと観衆を魅了し、1st roundの幕を下ろした。
プレミアムな趣向がさらに展開する2nd round
2nd roundもまた、間髪いれずに始まった。このセクションのトップバッターは、Survive Said The Prophetの対角のステージに登場、青のドレスにお色直しをしたきゃりー。このステージではゲストとしてプロデューサーの中田ヤスタカをDJとして迎え、ポップな楽曲にゴージャスな雰囲気を彩ったステージを展開した。
続いてそのすぐ隣のステージには、ゲストとしてあっこゴリラを迎えた向井が。デュオで先程のステージからは一風変わったヒップホップな風味の、あっこゴリラと向井のコラボ楽曲「ゲリラ×向井太一」にてステージを展開。かと思えば、続いたRHYMESTARが、バックバンドを従えステージを披露。強烈なインパクトを持つ2人のラップに、ファンキーなバックバンドのプレーが色彩感を与えていくかのよう。こんなクロスオーバーな展開が見られるのも、このイベントの醍醐味といえよう。
最後はSurvive Said The Prophetによるバラードナンバー「Flavor Of Life」。1st roundでもその片鱗を見せていたが、そのドラマチックな曲構成の中、Yoshのメロディアスで情熱的な歌声が、パワフルなバンドサウンドに後押しされて鮮烈な印象をもたらす。その歌心たっぷりのメロディが、“これからもこういった趣向のイベントが、続かないだろうか”と思わずにはいられない余韻を残して、盛大なイベントをしっかりと締めくくった。
セットリスト
1st. round
RHYMESTAR
01. B-BOYイズム
02. ゆれろ
03. 梯子酒(Red Bull Ver.)
04. Back & Forth
05. Future Is Born
向井太一
01. FREER
02. FLY
03. Siren
04. 眠らない街
05. YELLOW
06. Great Yard
07. 空
きゃりーぱみゅぱみゅ
01. にんじゃりばんばん
02. もんだいガール
03. 演歌ナトリウム
04. キズナミ
05. インベーダーインベーダー
Survive Said The Prophet
01. Fool's gold
02. found & lost
03. When I
04. Follow
05. Network System
2nd round
きゃりーぱみゅぱみゅ(SP演出:中田ヤスタカ)
01. 音ノ国
向井太一(ラップ:あっこゴリラ)
01. ゲリラ×向井太一
RHYMESTAR
01. 人間交差点(Acoustic)
Survive Said The Prophet
01. Flavor Of Life