手話はカタカナ表現が難しい
――どのような反応だったんですか。
TATSU ライブが終わってから、入り口の所で立っているとどっと人が来て(笑)。ステージの上では練習した手話が話せるんですけど、日常会話は全く分からないんですよ。笑顔で話しかけられても、分からないので逃げました。でも逃げるのがずっと続くのも良くないじゃないですか。
だから「僕は手話が上手くないないので、すみません」という手話を覚えていたたんですけど、間違えて覚えていて「僕は手話のプロです」という意味になっていたり(笑)。「すみません」と「プロ」の手話がすごく似ているんですよ。余計にみんな喜んで話しかけてれました(笑)。そこから真剣にやらないと、と思って。今度は手話サークルに通い始めました。それからは、話しかけられてもある程度答えられるようにまでになりました。
SHINGO サークルに通って勉強はするんですけど、それよりも毎回その後にある食事会で手話のほとんどを覚えましたね。フリートークで交流しながら少しずつ。実践ですね。
――声と手話のコミュニケーションで差異を感じる部分はありますか。
TATSU やっぱり手話で会話する方が難しいですね。カタカナで人の名前、例えばモーツァルトとかシューベルトとかは手話がわからないんです。だから指文字みたいに1文字1文字表現していくので時間がかかる。僕はカタカナ系の手話が難しいんです。
SHINGO 手話は目と目を合わせるというのがすごく大切。普段僕自身はシャイなんですけど、手話で会話をするときはしっかり見ていますね。あとは、普通に話すよりも思った事をすごくズバズバ言ってくる。手話だと少し言いづらい事も、逆に伝えやすいというところもあるのかもしれません。
TATSU 最初は「え!?」って思いました(笑)。少し疲れている時に手話ダンスを教えるレッスンで「今日顔変だよ。疲れてるの?」と聞かれたり。手話だとストレートに思った事を伝える。
SHINGO すごく練習して作品を発表した時に「どうだった?」と訊いてみたら「まあまあかな」と言われて。もう少し褒めて欲しかったなと(笑)。でも、あとあと手話を勉強していくと、「まあまあ」は結構いい言葉だという事がわかったんです。そういう誤解に気付きくこともあります。
――海外でも活躍されていますよね。手話ダンスをアポロシアターで披露された時はいかがでしたか。
TATSU アポロシアターでは、53分くらいのパフォーマンスをしたんです。その時のダンスの構成は「アニメーション」と呼ばれるロボットダンスみたいなもので惹きつけて、その後にアクロバット、最後に英語の歌をアメリカの手話で手話ダンスを披露しました。そういう驚きと凄さと感動みたいなバランスが良かったのかもしれません。手話は日本よりもアメリカの方が全然メジャーです。
例えばエミネム(米ラッパー)、チャンス・ザ・ラッパー(米ラッパー)も手話通訳を自身のライブに取り入れたりしています。ウィズ・カリファ(米ラッパー)なんて手話通訳のラップバトルみたいな番組をやっていますからね。だから手話に関してアメリカは進んでいます。ただ、僕らが手話をやり始めた頃はまだそうでもありませんでした。
僕も昔から手話ラップはやりたいと思っていたんです。自分でも何回かやったんですけど、しっくりこないので、日本で活躍しているラッパー輪入道くんに声をかけました。手話ラップを考えて輪入道くんに手話ラップをやってもらった「新時代」という楽曲もMVを制作したので、後日公開予定です。日本で初めて手話ラップをやるのが輪入道くんになると思いますね。彼は片耳が突発性難聴なんです。彼の『わにゅう道場』(ライブ配信サービス「FRESH LIVE」内)という番組に出演させてもらったことがきっかけで、意気投合して。すでにライブでは何回かやっています。
――日本と海外で手話の認知に差がある事についてはどの様にお考えですか。
TATSU 2020年に向けて、僕はもっと手話がアメリカみたいにメジャーになって欲しいと思っています。僕たちもパラリンピックの応援サポーターもやらせて頂いているので、こどもの頃に1度は手話に触れてみて欲しいと思い、学校公演を続けています。中学校や高校でアンケートを取ると「手話の公演はつまらないと思ってた」という答えが返ってくることがありますが、僕らのライブを見ると「手話って格好いい」と言ってもらえるんですよ。
ただ、それは触れてこなかっただけ。実際にパラスポーツも体験してみると楽しいですし。車いすラグビーも心配になるくらい激しくぶつかるんですけど、生で見るとすごく楽しい。なので実際に触れてみれば色々と変わってくると思います。


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