音楽は“ゆらぎ”、竹島 宏 大切なのは歌手だというプライド
INTERVIEW

音楽は“ゆらぎ”、竹島 宏 大切なのは歌手だというプライド


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年08月24日

読了時間:約15分

音楽は“ゆらぎ”

竹島宏(撮影=冨田味我)

──コンサートとレコーディングではスタンスは変わると思うのですが、レコーディングでは歌う回数など制約を決めていたりしますか。

 僕はないですね。聴いてくれている人たちが納得してくれたらそれが一番良いかなと。自分よりも周りの方たちの判断を重視しています。僕の場合、興奮して歌っているので、冷静に判断が出来ないと思っていて。客観的に選んでもらったテイクの方が、自分でも気づかなかったところに気づけることもあると思っています。

──歌っているときに一番大切にされていることは何でしょうか。

 どんな状況で歌う時も自分は歌手なんだというプライドを忘れないことです。自分は歌手として歌っているということを忘れなければ、その時の最善の表現が出来ると思っています。あと「自分はこういうのを求められているから、こうしておけばいいんでしょ」というようなことは自分はしたくはなくて。もちろん全てが自分の気持ちと合致はしないかもしれないですが、そこにも歌手としてやるべき意義というものは見いだせる思うので。そういうものを失わないで積み重ねていければということを、この16年間思いながら活動してきました。

──自分をしっかり持つことが重要なんですね。さて、現在「恋町カウンター」が話題となっていて、年末のNHK『紅白歌合戦』も視野に入ってきていると思うのですが。

 日本の音楽業界の歴史の中でずっと君臨し、シーンを牽引し続けている凄い番組ですから、それに出演することが出来たら嬉しいですよね。もし、選んで頂けたら喜んで出演させて頂きたいなと思っています。デビュー以来ずっとその思いは変わらないです。

──歌を始めた当初は紅白までは考えていなかったのでしょうか。

 思い込みだけで活動していたときは、人生設計に『紅白歌合戦』に出るということは書いていたと思います。ここ数年、紅白について聞かれることが多くなってきたこともあって、そういうステージで歌えるような歌手になるという目標は作っておかなければと、ここ2、3年強く感じています。ファンの皆さんからも紅白で歌う竹島宏を観たいという想いがひしひしと伝わってきてますし、応援してくださってくれている皆さんのためにも紅白に出させて頂きたいという想いは強いです。

──出演を期待しています。最後に竹島さんにとって音楽とはどういうものでしょうか。

 “ゆらぎ”です。音というのは揺れているから相手に伝わるんです。自分の中にもゆらぎがないと音楽を起こせない、自分の中にゆらぎがあるとそこに音楽が生まれてくると思っています。歌を習っている先生から「音楽はビートが重要だから」と教えて頂いて、自分も「確かにそうだな」と気づいたのがアフリカの方たちと仕事をさせて頂いたときなんです。彼らは打楽器で音階のない楽器を使っているのですが、そこには確実に音楽が生まれていて。

 なぜそこに音楽が生まれてくるかというと、リズムを叩いたあとの残音も含めて点から点へ繋いでいくものが直線ではなく蛇行したものなんです。これがあるから音階がなかったとしても音楽がそこに生まれます。そこにみんな感動して、底の方に沈んでいた気づかなかったものが覚醒されると思っていて。そういうゆらぎがあるものに皆さん感動されていると思います。

──意外なお答えでびっくりしました。

 はは(笑)。きっと「音楽とは?」と聞かれて「心の中の○○です」と答えるんじゃないかと思ったと思うんですけど、僕のなかでは音楽はゆらぎなんです。

(おわり)

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