音楽は“ゆらぎ”、竹島 宏 大切なのは歌手だというプライド
INTERVIEW

音楽は“ゆらぎ”、竹島 宏 大切なのは歌手だというプライド


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年08月24日

読了時間:約15分

ダンスを踊る予定は全くなかった「恋町カウンター」

――デビューされてからボイストレーニングをされたり?

 そうですね。若い時にあまりやっていなかったので。現在は週に2~3回通っています。

――デビューされてからはずっとトレーニングしている感じでしょうか。

 途中、通わなくなったことがありました。それには理由があってトレーニングしてあまりにも画一的な発声になってしまうと声や歌がまろやかになりすぎるというものなんです。ゴツゴツとした岩みたいな角がその人の味になっていて、それが全部取れてしまうとあまり良くないみたいで。そういう風に言われたことで一時期、歌うだけのトレーニングに切り替えた時がありました。そうこうしているうちに体も変わってくるし、ちょっと声に自信がなくなって。そうなると歌を歌っていく勇気もなくなって来るので、またボイトレ(ボイストレーニング)を復活して、そこから色んな先生に教えていただきながら今も続けているという感じです。

――その岩みたいな角を取らないというのがポイントですね 。

 そうですね。20代の頃の突き抜ける良さというものがあると思うんです。そこを経て30代に入ってどんどん表現も変わってくるという意味では、ボイトレは効果的なことがあると思います。それによって引き出しが増えていくということも多いので。耳も年齢とともにどんどん衰えていくと思うし、体のバランスのタイムラグというのが発生してくると思うので、これから先はメインテナンスということも含めて、先生に聴いてもらうというのは重要かなと思います。むしろ、これからの方がボイトレは大切になってくるなと感じています。

──自分では気づきにくい変化を確認するのにも重要なんですね。さて、「恋町カウンター」のような歌謡曲と演歌では歌い方のベクトルは変わるのでしょうか。

 僕の中ではストレートボイスと滑らかな声というのがあって、その割合みたいなものは変わるかもしれません。あとはリズムの取り方は違います。

──リズムはすごく重要だとよくお聞きします。今回“恋町ダンス”という振り付けもおこないながらの歌唱なのですが、竹島さんは実はダンスは苦手だとお聞きしました。映像を拝見させて頂いた限りでは苦手だとは思えなかったのですが。

 きっと映像の撮り方が上手かったのではないかなと(笑)。今だにダンスは苦手で、股関節が固いんです。「もう少し柔らかくなるといいよね」と良く言われるんですけど(笑)。

──では、この恋町ダンスのお話が出た時はちょっと憂鬱な心境にも?

 最初はダンスを踊る予定は全くなかったんです。サビでワンポイント振りがあったら良いなという感じで振り付けの先生にお願いしました。僕も踊れる訳ではないので、「簡単で楽しい踊りでお願いします」とリクエストさせて頂いて。でも先生が「恋町カウンター」をずっと聴いていたら、ガッツリ振りを付けたくなってしまったみたいで(笑)。そこから出来るところだけ踊ってくれれば良いというところからスタートしました。僕もせっかく作ってもらうなら、出来るところだけじゃなく全部頑張りたいなと思って。でも僕にはダンスの基礎がなかったので大変でした。

──このダンスが「恋町カウンター」を更に印象的なものにしていますよね。この曲はそれもあって今までにない広がり方を見せていると思うのですが、キャンペーンなどで全国を回られてみて感じたことはありますか。

 恋町ダンスが皆さん引っ掛かっているんだなというのは最近感じます。前作の「月枕」でも新しいお客さんが来てくれていたのですが、「恋町カウンター」では、確実に僕のことを知らなかった人も来て下さっていて。それもあって、ダンスってすごいなと思いました。たまたまテレビなどで恋町ダンスを踊っているのを観て、気になって調べて来てくれたり、友達に勧められて踊っていますとか様々な声を頂いています。

──視覚的にもインパクトがあって、そこに日本人に馴染み深いメロディが乗っていますからね。ちなみにこの曲を歌うに当たって難しいところどこでしょうか。

 普通の歌謡曲ではあまり聞かないようなメロディラインだったり、正確に歌おうとすると難しいところがあるかもしれません。コード(和音)から大きく外れているわけではないので、音を外すということはないと思いますけど。そういうところも踊りながら歌ってみるとカバー出来ると思います。むしろ、踊って歌った方が正確にピッチは取れるかも知れないです。

──ダンスはリズムだけではなく音程にも影響するんですね。さて、今回「恋町カウンター」のCタイプがリリースされましたが、新曲の「スキャンダル」はまた情熱的な愛の歌に仕上がってます。歌い始めからパンチがありますけど、最初にこの歌詞を読んだ時どう思われましたか。

 最初頂いた時、実はあまりピンとこなくて、すごく浮世離れした歌詞だなと思いました。でも、実際歌ってみると面白い歌だなと感覚が変わりました。この「スキャンダル」に関しては自分とは別の人格で歌っています。そうしないとこの歌を歌うことは出来ないなと思いました。役者さんみたいに相手があって気持ちを作っていくという感じではなく、全部自分で作り込んでいかなければいけなくて。すごく気を付けないと浅い、軽い歌になってしまうこともあります。逆にその浅さがちょうどいいこともあるんですけど。サラッと歌ったとしてもワンコーラスの中でどこがメインディッシュなのかということを意識して歌わないと歌が流れてしまう、平面的な歌になってしまうということもあるので、そういうところは気をつけた方が良いのかなと最近思います。

──そのメインディッシュはサビじゃないこともあるのでしょうか。

 はい。サビ直後だったりすることもあります。

──それをご自身の中で見極めて歌われているんですね。

 それが凄く難しくて、お恥ずかしながら気づけない時もあります。そういう時はレコーディングの時に作詞・作曲家の先生やディレクターさんたちとお話ししながら確認していくという感じになります。

──ちなみに「スキャンダル」ではどのあたりがメインディッシュになりますか?

 僕の中では<女は〜>で始まるところや最後の<好きだから 好きだから>というところです。ここでどれだけなりふり構わず叫べるか、心の叫びを乗せられるかです。この曲は歌う人によって声の使い方によって伝わり方が違うと思うんです。僕の場合はお客様に投げかけるようなイメージで歌わせてもらっています。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事