キャラクターで歌ったこと大きい、Pile 歌手活動10年振り返って
INTERVIEW

キャラクターで歌ったこと大きい、Pile 歌手活動10年振り返って


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年08月23日

読了時間:約12分

先のことは未知

──今回のベスト盤収録曲で、印象に残っている曲は?

Pile

 よくシンガーさんのドキュメンタリー映像で、思うように歌えなくて悔しくて泣いちゃうみたいなシーンがありますけど、私はそういうのが全くなくて。レコーディングで苦労したこと自体が、ほとんどないんです。だから曲とかレコーディングよりも、MV撮影で覚えていることのほうが多いかもしれないですね。

──印象的なのは、どの曲のMVですか?

 「Lost Paradise」かな。アッパーのロックサウンドの曲なんですけど、「Pileってロックだよね」っていうイメージが付いた時の曲で、MVには武道館やツアーで演奏してくれたバンドメンバーの方たちにも一緒に出て頂いたんです。いつも1人で出て撮っていたことが多かったので、仲間と一緒に出ている感じが楽しかったです。

──廃墟っぽいところで撮影していましたよね。

 そうそう。ちょっとホラーに出てきそうな場所でした。先日とある映画を観ていたら、「ここって、MV撮ったところじゃない?」っていうシーンがあって。サスペンスっぽい映画だったんですけど、「“ロスパラ”を撮った廃墟のところだ!」って、気づけて嬉しかったです。

──実際に怖いことはなかった?

 私、けっこう霊感が強くて、行けない場所があるんです。この先は行っちゃダメな場所、みたいな。その撮影場所の廃墟でも、奥のほうには行けなかったですね。

──10年で一番影響を受けたものは? やっぱりファンの存在でしょうか。

 そうですね。イベントやライブをたくさんやらせて頂く中で、大学を卒業して就職しましたと教えてくれる人もいて、そういう話を聞くと長く続けてきたんだなって実感します。誰かの人生の何年間に存在し続けることって、なかなかないことじゃないですか。だからそれは、すごくいい体験をさせてもらえているなと常に思っています。何年間に渡ってイベントで定期的に会うとか、ずっと心の中にいるなんて、普通はないですよね。

 長い人とは、もはや友だちみたいな感覚でしゃべっちゃいます。「大学に受かりました」と報告してくれていた高校生が、今度は「就職が決まりました」って。そういうのは、すごく嬉しいです。

──まるで甥っ子の成長を見守る、親戚みたいな感覚ですね(笑)。

 本当にそんな感じです(笑)。ファン同士でカップルになった話も聞きますし、すでに子連れで来てくれるようになった方もいますし。付き合ったけど別れたという話もあったり、みなさん自分たちのことを全部話してくれるんです。恋愛相談を受けたりもしますしね。

──10年で自分が成長した部分、変わった部分はありますか?

 成長したのは、アクシデントやハプニングには強くなったことかな。たとえばアジアでライブをやった時のことなんですけど、開演までは場内に客入れのBGMが流れてるじゃないですか。開演してその音は消えるんですけど、1曲目の「チェックメイト」が始まったと同時にアジアンテイストのBGMも一緒に流れてしまったということがあって。「おかしいな?」と思いながらも、止めるのも変なので普通に歌いましたけど。現地のファンの方は、「チェックメイト」のニューバージョンだと思ったかもしれないです(笑)。

 他にも色々ありましたけど、マイナスなことがあったらそれをプラマイ0に戻すんじゃなく、それ以上のプラスになるように考えるようになりました。アクシデントはないにこしたことはないんですけど、こうしてお話するネタにもなりますしね(笑)。

──変わっていない部分は?

 変わらないのは、相変わらずステージに出る直前までずっとしゃべっていることかな。ひとりで楽屋にいると暇で、逆に気持ちが落ちちゃうんですね。それで、誰かとしゃべってる流れで、そのまま「行ってきます!」ってステージに立つという。

 だから、常にキャッキャしてますよ。それで、その日のその時のテンションを、ライブに込めるんですよ。たとえばムカついたことがあったら、それを力に変えて歌うみたいな。「VENGEANCE」とかは、そういう気持ちを乗せたほうが、より伝わると思うんですよね。だからロックな曲が何曲か続くような時は、「感情をぶつけちゃいましょう!」って感じでやってます。

 あと、会場の大きさに関係なく、どんなライブでも楽しいのも変わらないです。来てくださった方に得をした気持ちになって帰ってもらうことを一番に考えているので、それにはワンマンもイベントで数曲しか歌えない場合も、どれも自分が同じテンションで楽しんでいることが大切だと思うんです。そう思えるのは、ライブが好きだし歌うことが好きで、楽しいという原点を持ち続けているからだと思います。

──15周年はどうしますか?

 まず10周年を迎えられたこと自体が驚きなので、先のことはまだ未知ですね。続けていけるなら、これからも続けていきたいし。少なくともライブ活動は続けていたいです。野外フェスとか出たいですね。夏フェスも出たことがないので。アニメじゃないところのフェスにも出てみたいです。

(おわり)

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