身近な経験を曲に
——他に推し曲などありますか?
すざき 僕は「Creamy Shake」ですね。ちょっと問題作なんですよ。内容は好きな人をデートに誘いたい男の子の話で。舞台は某ファストフード店で、ファストフードに夢中になりすぎて女の子をないがしろにするという内容になっているんです。シェイクに見立てた、エロい要素もありますね。あと最後の部分で僕のこだわりのフレーズを入れたかったんですけど、大人の事情でピー音が入っています。これが気になる人はライブに来てください。
けんと 初めてじゃないですか。メロコアの曲でピー音があるのは。
すざき 曲が短いのは、出来上がった時にスピード感のある曲だったので長くしてもなと思ったからですね。ショートチューンでいいなと。
こだま 僕は「Call dad mom」は先ほどの様にリズムにも思い入れがあるんですけど、何よりも歌詞がアレなんですよ。
けんと モジモジしないではっきり言ってみい。
こだま 僕が今年30歳で実家住まいなんですけど、それをいじられている内容なんです(笑)。多分最後は僕のフルネーム呼んでいる様な。
けんと たまたま彼とかぶる内容が歌詞になっているので、リリースを嫌がっているんですよ(笑)。
——「Dear my Friend K」では、唯一てつやさんが作曲を担当していますね。
てつや これだけ愚痴が出てくるという事は、もちろんけんとさんのKですよ。
けんと 僕がボロカス言われているという。
てつや けんととすざきがあるオーディションで歌ネタを披露して落選したんですよね。こちらは応援してたんです。その後スタジオであるコピー曲を4人で練習していたら、けんとが「もうやらんでいいやん。はよ帰ろうや」とずっと言っていて。
けんと 意気消沈していたんですよ。
てつや そうしたらすざきが「いや、頑張ろうや」と。文化祭の女の子が男子に言う様な感じだった(笑)。それは<すぐにNo No No 言ってないでやってみろ>という歌詞にも書いています。
けんと だから曲の後半、僕がラップでアンサーしているんです。
すざき そんな事言ったら「Walk」だって遅刻する人の歌なんですけど、これはけんとの事でもありますからね。
けんと 遅刻を肯定する曲だから、認めたんやと思ってました。
すざき それはお前の思考やろ(笑)。
——みなさん身近なところから曲を着想される様ですが、それが個人的な範疇を越えて社会に向いている様な印象も受けます。
すざき 題材は身近なところからが多いですね。前作も実体験を入れたりもしていましたし。
てつや 「Call dad mom」もずっと親のすねをかじっている人への歌にもなると思いますし。こだまへの曲ではありますけど(笑)。
——曲の作り方は皆さんメロディ先行、歌詞先行どちらですか?
すざき 僕はメロディからですね。
けんと 僕も。
てつや 僕はコード進行から。紙の上でコードを決めてから考えていきます。
すざき 曲のイメージとか「こういう曲にしよう」という雰囲気はありますね。それが具体的にある方がスムーズにいきますけど、イメージが薄いと出来上がってからタイトルに悩む事もあります。
けんと 僕はタイトル最後に付けますね。
てつや 僕も最後です。
——ちなみにお笑いのネタを考えるのと作曲は近いところがありますか?
けんと 歌ネタとかでは活きたりしますけど、曲を真剣に考えるという事はないですね。
すざき 歌ネタはアホっぽい事が多いですし。
けんと 感覚は違うかもしれません。以前バンドの設定のコントとか音楽をフリにしたコントも結構ありましたけどね。ライブハウスで人のライブを観て思いつく事もありましたし。
すざき でも正直バンドのライブする直前とお笑いのライブする直前は全然違う気持ちです。緊張はするんですけど、ジャンルが違うというか。
けんと 何ですかね。お笑いの舞台の方がすべるときはすべるし、ごまかせない。音楽もシビアだとは思いますけど、すべってる時は誰がどう見てもすべっているので。その時は傷つきますしね。ウケたらそれは嬉しいです。ただ、音楽は4人で音を出す楽しさが確約されていると個人的には思います。さらにお客さんを盛り上げられるかどうかは別ですけど、そこが違うところだなと。
——こだまさんとてつやさんはラニーノーズをどうお思いですか? 音楽とお笑いを掛け持ちする事をよく思わない方もいらっしゃるかもしれませんが。
こだま かなり実験的というか、今までにないと思うんですよ。しっかり音楽をやって、CDも事務所から出させてもらっているお笑い芸人はあまりいない。だから面白いと思っています。
てつや 僕は「二股かけるなよ」と思っていたら、今こうして続けている事はないと思います。ただ、こいつらはきっちりお笑い芸人だし、きっちりバンドマンなので。だから僕は気持ちよくできています。
けんと ふたり(てつや、こだま)も面白いですからね。4人でバンドセットを使ってネタをやるお笑いのワンマンをやった事もあります。