シンガーソングライターの藤原さくらが7月15日、東京・日比谷野外音楽堂で「藤原さくら 野外音楽会2018」を開催。彼女にとって初の野音ライブで、チケットは即完売。猛暑にもかかわらず約3000人が訪れ、ビールを片手にライブを楽しむ大人の観客も多数いた。「私の夢だった野音で、それも久々のワンマンでできてうれしいです!」と藤原。アコースティックを中心にした、ゆったりとした楽曲の数々が、涼しい風を運んで猛暑を吹き飛ばしてくれるような、爽やかなライブになった。【取材=榑林史章】

バンド感たっぷりの演奏

ライブのもよう

 ステージには木製の譜面台やテーブルなどが置かれたほか、フラッグも飾り付けられたセットが印象的。数曲歌って「暑いね〜」と藤原。この日は、気温35度の猛暑日で、「休み休み楽しんでね」と冒頭で観客を気遣った。

 この日は、「グルグル」や「The Moon」などミニアルバム『green』からの楽曲と、「I wanna go out」や「maybe maybe」など1stアルバム『good morning』からの選曲、インディーズ時代の「お月さま」や「Ellie」、アニメ『若おかみは小学生!』2ndクール主題歌の新曲「NEW DAY」も披露した。

 このライブのために結成されたスペシャルバンドには、彼女の楽曲やツアーサポートでお馴染みのドラマーmabanua(Ovall)がバンマスを務め、ベースにShingo Suzuki(Ovall)、キーボードは別所和洋(Yasei Collective)、ギターの村中慧慈(wacci)とコーラスのMegも参加。藤原自身も、一夜限りのスペシャルな演奏を楽しんでいた。

 弾き語りで一節歌ってから、カントリー調の楽しげなサウンドが重なっていった「Dance」。「Walking on the clouds」では身体を揺らしながらアコギを弾き、メンバーと見合ってタイミングを取ったりと、バンド感たっぷりの演奏できかせる。「Sunny Day」では会場に手拍子が広がり、海辺をほうふつとさせる爽やかなコーラスでも聴かせた。

 「赤」を歌った際には、「今日みたいに蝉が鳴いてる夏に、すてきな人とコンビニに行って、ハーゲンダッツをねだるような曲です」と、ドラマの日常的なワンシーンを切り取ったような独自の表現で紹介。夏の夕暮れをサンダルで歩いているような、ゆったりとしたシンプルなサウンドで聴かせて、観客もゆったりと身体を揺らした。

笑って“またね”と言える雰囲気が好き

ライブのもよう

 見どころになったのは、中盤のアコースティックセットのコーナーだ。彼女の代表曲「Soup」は、藤原が奏でるウクレレとmabanuaのパーカッションのみというシンプルな演奏で披露。まだ少したどたどしさの残るウクレレの音色が実に心地良く、新しい「Soup」の表現に、観客は手拍子で演奏に参加した。藤原は「ウクレレをやりたいと言ったばかりに…めちゃめちゃ難しくて。でも初めて成功しました!」と、うれしそうにはにかむ。このアコースティックコーナーでは、インディーズ時代のナンバー「Ellie」も披露して、古くからのファンを喜ばせていた。

 後半には、3月に放送終了したBSフジ『ポンキッキーズ』で共演していたPちゃんと“しょうしょう”(春風亭昇々)がゲストで登場。「ここで裏『ポンキッキーズ』をやってしまおう!」と、同番組のエンディングテーマになっていた「Someday」を、2人と一緒に歌った。Pちゃんの「ピィ〜!」という声に笑いが起きるも、期せずして始まった『裏ポンキッキーズ』に、会場の親子連れは楽しそうに手拍子を送った。さらに、9月19日にリリースされる3rd EP『red』から、新曲「NEW DAY」も披露。これは、テレビ東京系アニメ『若おかみは小学生!』2ndクール主題歌として、早くから話題だ。ゆったりとしたムードで、あたたかく可愛らしさもあふれる楽曲で、観客も全員笑顔で楽曲に耳を傾けた。

 最後に「悲しいだけじゃない、笑って“またね”と言える雰囲気が好きです。楽しくバイバイしましょう」と、「bye bye」を歌った藤原。気づけばとっぷりと陽も暮れ、都会の夜空には一番星がぽつり。汗ばんだ肌を、涼しい風がやさしくなでる。そんな夏の夜の空気に、昼間の暑さを気持ちよく洗い流すような彼女の歌声がやさしく溶けていった。

 藤原さくらは、この日に披露した「NEW DAY」をはじめ、劇場版『若おかみは小学生!』主題歌「また明日」を含む全6曲を収録した3rd EP『red』を9月19日にリリース。また、9月29日から全国ツアー『Sakura Fujiwara tour 2018 yellow』を開催する。

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