頼りがいのある人でありたい、SHE’S 自信が生んだ確信の言葉
INTERVIEW

頼りがいのある人でありたい、SHE’S 自信が生んだ確信の言葉


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年08月07日

読了時間:約13分

頼りがいのあるアーティストでありたい、挑戦だった「歓びの陽」

――今作「歓びの陽」はどういったテーマで書こうと思ったのでしょうか。『モンストグランプリ 2018 チャンピオンシップ』大会イメージソングになっていますが。

井上竜馬 「モンスト」のイメージからは外れ過ぎないように書こうとは思っていました。一番大きく打ち出したのはサビで。ここまでこられたのは一人だけじゃなくて、僕だったらバンドメンバー4人だけでもなくて、もっと多くの人々がいてくれたからということを伝えようと。「自分が一人でしかない」ということはよっぽどのことがないと言っちゃいけない人生を歩んできたと思うし。

 リスナーの方にも今までは「あなたと一緒に遠くまで行こう」といったことを歌ってきたんですけど、ツアー中に書いていたこともあって“もっと頼りがいのあるアーティストでありたい”と思って<どこでも連れてくよ>と歌っています。

井上竜馬

井上竜馬

――井上さんは26歳(8月3日には27歳)ですが、若くして確信めいたことが言えるのが凄いと思いますが、それは渡英などいろんな経験を積んできたからでしょうか?

井上竜馬 実は今まで、確固たる言葉を歌詞にすることはできませんでした。でも、それができるようになったのはいろんな人に認めてもらえて自信が持てたからだと思います。今でも自分に自信はないし、嫌いなところも多いんですけど、自分の中で一つずつ意志を作っていくみたいなことは人と関わってできることだと思います。それがバンド活動をやることで出来ているし、能動的にいろんな人と関わってその時その時に感じたことを曲にしている感じですね。

――最近では若い実業家に話を聞く機会があります。彼らに共通するのはリスクを考えるよりも、これがやりたいからやる、そのために必死になるという感じで。皆さんはどうですか?

井上竜馬 どうでしょうか…。バンドをやる上でリスクを考えたことはないですね。いつまでにどこでワンマンをやるといった目標はありますが。そこまである程度のプロセスを考えたりはしますけど。でも、それは全部がうまくいったらの話で…音楽はいつどの曲が売れるかなんて誰も分かりませんしね。CDが売れない時代と言われていますけど、売れているアーティストもいるし。

 着実にやれることを一つずつやっていくというのがSHE'Sのスタイルです。背伸びして大きな会場を押さえたりというよりかは、しっかり歌を届けるために良い曲を作って、ライブをしてツアーをしてより多くの人に聴いてもらえるようにという感覚ですよね。

――その過程で音楽を届けるという意識への変化はありましたか?

井上竜馬 露骨にあったと思います。最初はSHE'Sもアングラで、暗い音楽をやっていて、海外の音楽に影響を受けていたので歌詞も全部英詞だったし、自己満足に近い感覚でした。ほとんどコピーバンドみたいな感じで。どこかを目指してやっているわけでもなかったんです。でも、『閃光ライオット2012』でファイナリストになって、日比谷野音で3000人近いお客さんの前で演奏した時に「音楽で飯食っていきたい」という話をして、バンドとしても同じ方向を向いてやれるようになって。そのタイミングで、日本語詞で書くようになっていましたね。

――去年上京されていますが、それも大きかったと前回のインタビューで話していますね。

井上竜馬 環境の変化はやはり大きいですね。触れる文化も違うので。大阪は都会ですけど、やっぱりローカルコミュニティーなんですよね。東京ほど色んなジャンルの文化がクロスしてはいない感じなんです。その差はこちらに来て感じて、歩いてそういう文化を体験できるのはいいですね。

――『プルーストと花束』くらいからポップスの色が濃くなっているような気がしたのですが、音楽性としてはいろいろと試していく方向でしょうか?

井上竜馬 そうですね。その時にやりたい音楽をやっています。僕がいろいろとやりたいタイプなので。今回の「歓びの陽」もけっこう挑戦でした。

――中野サンプラザでこの曲を聴いた時も、EDMを大胆に取り入れてSHE‘Sとしての斬新さを感じましたが、こうして音源として聴くと改めて驚きました。

井上竜馬 ライブは生感があると思うんですけど、より海外ポップスの音が主軸なので。

――メンバーの皆さんは初め聴いた時どう思われました?

服部栞汰

服部栞汰

服部栞汰 竜馬が最近はそういう音楽を聴いていることも知っていたし、デモは竜馬が作っていて今のAメロのノリの感じとかは元々あったので、別に嫌な感じはありませんでした。何かSHE'Sで新しいことをやりたいのかなと。どうなるんだろうという期待はありました。

――SHE'Sとしてはそこからどの様に音作りをしていくのでしょうか?

服部栞汰 百田留衣さんの手が加わって、自分のイメージしていたものとさらに変わってきたので、例えば、ギターはサビ前まで入れないとか、2番でカッティングを入れる、SHE'Sらしさによせることを意識して弾いていました。

木村雅人

木村雅人

木村雅人  メインのリズムは出来上がっている状態なので、自分はフレームとかを考えていくという感じですね。

広瀬臣吾 もともと生のベースも入っていたのですが、最初からシンセベースも入っていたので、その共存をどうするか考えましたね。均一感とふわっとローが多くて乗れるといった、シンセベースにはシンセベースの良さがあるので、その良さを活かせて違和感のないように弾きました。

――この曲はSHE'Sにとってどのような位置づけの曲になったと思いますか。

広瀬臣吾

広瀬臣吾

広瀬臣吾 表現方法の幅として選択肢の一つになると思います。

――前作でもこのような曲の傾向は少し見られたと思うのですが、今作でハッキリと出来上がったなと感じました。

服部栞汰 サビでSHE'Sらしさを出すということは意識しました。僕は70~80年代のハードロックや90年代の邦楽に影響を受けたんで、それが自分の持ち味かなと。今回はアンプを変えたりしてさらに違いを出しました。

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井上竜馬
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広瀬臣吾
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木村雅人
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