YOSHI「我が道を行くというのは失敗ありき」確固たる信念に迫る
INTERVIEW

YOSHI「我が道を行くというのは失敗ありき」確固たる信念に迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年03月31日

読了時間:約10分

 シンガー、俳優、モデルなどマルチに活動するYOSHI(17)が3月20日、シングル「VOICE」を配信リリース。「VOICE」はPanasonicの新商品『完全ワイヤレスイヤホン』の CMソングに起用。大阪出身の SOULやR&Bをルーツにもつ新世代15歳のシンガーソングライターHeliも楽曲に参加し彩りを加える。近年メディアでも天真爛漫、破天荒な姿で話題となっているYOSHI。インタビューでは楽曲の制作背景から、音楽やエンタメ、仕事について並々ならぬ野心を覗かせる彼の思考に迫った。【取材=村上順一】

年齢なんか関係なくリスペクトを持って話せば良い

YOSHI

――ここ最近の自分を取り巻く現状はいかがですか。

 わかりやすいくらい景色が変わっていくので面白いです。

――この業界に興味はあったのでしょうか。

 全然この世界に興味はなかったです。でも常に何かしらで我が道を開かなきゃとは思っていて。結局その時は答えは見つからなかったけど。一つ言えることはとにかく僕は好きなことしか出来なくて、嫌いなことはやらないんです。

――これはやりたくないと素直に言えてしまう。

 言えますね。だから、言えない人というのはダサいなと思います。自信があっても言えない人が多くて、僕は世界で一番イケてると思ってるし、自分の音楽も世界で一番だと思ってますから。

――その自信はいつ頃から?

 もう、物心ついた時には何か自信はあった! 根拠はまるでないんですけど。何をやってもトップクラスになれると言うか(笑)。そこからだんだんファッションに興味が出てきて、初めて行ったアパレルショップがライトオンでした。音楽もファッションと並行して好きでした。突き詰めると何かが待っている、というのがずっとあって。

――けっこう努力型だったり。

 どうでしょうね。自分では割と真面目な方だと思ってますけど(笑)。まあ、表面上で判断されてしまうから、そこは伝わらないけど。

――言葉遣いとか?

 そうそう。でも僕らは同じ人間ですよ。ただ年齢なんか関係なくリスペクトを持って話せば良いだけのことじゃないですか。そんな小さいところで気にする世の中もヤバいなと思っちゃう。

――色んな人がいますからね。とは言ってもYOSHIさんは仲間もたくさんいますよね。

 気がついたら多くなってたという感じですけど。それはすごく嬉しいことです。

――今一番大事にしているのは仲間?

 仲間ももちろんだけど、お金では買えないもの、笑顔とか人との繋がりです。土臭くやさぐれた横の繋がりが大切なんです。僕は100%信用出来る人しか付き合わないようにしてますから。僕はもう何事も0か100なんです。大体こうやって話していてもダメだと思われるか、すごいと思われるかのどっちかで。小学校2年生から5年生の時までいじめられていたんですけど、嫌われるかものすごく仲良くなるか。食事もファストフードに行くか、高級フレンチに行くかの大体2択で中途半端が嫌なんです。

――仕事に関してはどう捉えています?

 ヴァージル・アブロー(米・ファッションデザイナー)と出会った後色々な事務所から誘われたんです。でも、そこの上司や先輩にリスペクトがなければ、自分のレベルや仕事のスキルが上がっていっても、最終的には沈んでいくと思っていました。なので、自分の中でちゃんと一人の男として成り立ったら事務所に入ろうと決めていました。

――しっかりビジョンが見えていたんですね。

 うん。昔から自分をプレゼンするのは得意で、単純に自分のことが好きだし、自分のやっている仕事に一番誇りを持ってやっているので。

今の時代はロマンがない

YOSHI

――音楽についてお聞きしたいんですけど、どんな音楽を聴いてきました?

 今はサブスクですけど、昔はYouTubeで音楽は聴いてました。昔は2パックの「California Love」とか、アイス・キューブとか最初の入りはヒップホップでした。でも、最近気がついたのは自分はロックだったんです。聴いている音楽はヒップホップだけど、ライフスタイルはパンクやロック的な感じで。

――邦楽は聴かない?

 ほとんど聴かないですね。聴く音楽は海外のものです。例えばセックス・ピストルズなんて一聴するとただ叫んでるだけと思うんですけど、彼らのハートからとてつもない熱量を感じます。日本だったら矢沢永吉さんやザ・ブルーハーツぐらいかな。矢沢さんなんてもう最高ですよ。

 歌がどんなに上手くても熱量や感情がなければ何も伝わってこない。歌というのは生まれ持った何かがあると思うんです。矢沢さんだって、歌を真似ることは出来ると思うんですけど、矢沢さんにしか歌えない何かがあるんです。そこがアートなんですよ。

――最近の音楽シーンはどう感じています?

 すごく聴く人のレベルが下がっているんじゃないと思います。時代というのもあるけど、昔の音楽が今出てきても、おそらく売れないと思う。本当の意味でのヒット曲がないなって。

――現代はコンテンツの量が昔とは違うから、それで分散している感じもあって、なかなか一つのコンテンツが爆発的に盛り上がるのは難しいかも知れない。

 それはあります。でも、今の時代はロマンがないです。僕はさっきも話したお金では買えない笑顔や熱量が一番で、二番は男としてのロマンなんです。いわゆるステータスというやつです。やっぱり男としてどれだけ稼げるかというのも重要なので。冷静に考えたらブランドのバッグなんて、ステータス以外の何でもないんですけど、それが重要だったりするんです。

――ブランド物や良い車が欲しいというのも、生きる原動力としては悪いことではないですから。

 そうですよね! なんかみんながどんどん下に引き下げられてる気がしてそれが嫌なんです。もっとみんな上がって行かないとダメだと思っていて。それを僕が変えていきたいと思っています。

――憧れているアーティストや偉人とかいます?

 うーん、憧れとは違うんですけどマイケル・ジャクソンやセックス・ピストルズ、7SECONDSはすごいなと思います。マイケルに関しては誰もまだ超えられていないですし。とにかくまずはジャスティン・ビーバーと並べるようになりたい。日本人と言えばYOSHIだと言われるくらいになりたい。肌の色や文化が違くても、同じ人間なんだから助けあおうぜというのを体現したい。

――日本という国はどのように見えてますか。

 日本のエンタメは終わってる、冷め切っていると僕は思っているんですけど、日本はどこにもないほどユニークな国。海外からも注目されている日本は世界一カッコいい国だと思っていて。その日本のカッコよさを伝えるために、僕は道を歩いているだけで振り向いてもらえるような人間にならなければいけないんです。

――日本に誇りを持っていて。

 それもあって本格的に世界へ繰り出したいと思っていて。中国を中心としたアジアンマーケット、ロンドンを中心としたヨーロッパマーケットではレイブパーティとかに来るような、やさぐれた人たちに自分が気に入ってもらえたら嬉しいです。もちろんアメリカもなんですけど、中国のマーケットはすごく熱いので全部持っていきたいなって。個人的にはジャスティンもドレイクもまだアジアには攻めきれていないと感じていて、そこで「アジアといえばYOSHIでしょ!」となるようにしたいです。

――楽曲も世界を見据えたものになっているわけで。

 そもそも日本だけでやろうとは全く思っていなくて。僕のスタートはまずはジャスティンレベルまで行って、そこから権力を得て、どうやって世界を回して行くか、そこからがスターとしてのスタートなんです。

――YOSHIさんは英語も話せるので、世界に出る準備は万端で。

 父が香港人で家で英語で喋っていたから、ヒアリングは大丈夫なんだけど、まだ話すのにはボキャブラリーが弱いかな…。あと、なぜか読み書きは出来なくて、耳でしか覚えられないんです。僕は右脳しか動いてないくらいでもうほとんどがフィーリングで判断してる(笑)。

――曲を作る時もロジカルに考えるよりはフィーリングでどんどん進めていく感じですか。

 もう、フィーリングです。まずは適当にやってみて作っていくことが多いです。僕の頭の中はアートなんです。人生も1枚のアートだと思っていて、どれだけでかいインパクトを残せるかしか考えていないので。

 自分はいつ死んでも良いと思える覚悟で仕事をしてるので。過去は取り戻せないので、後悔をしない人生を送りたいと思っていて。人生は一度きりしかないじゃないですか、それを全力で生きたい。矢沢さんもそういうのが感じられるから好きなんです。

――確か矢沢さんは矢沢永吉というものを演じているみたいなことを聞いたことがあるんですけど、もしかしてYOSHIさんもYOSHIという人物を演じてる部分も?

 どうだろう? そういうのは考えたことはなかったかも。意識はしていないけどYOSHIの瞬間はあるかもしれないです。でも、そんなに変化はないと思うけど。

――何年後かにわかることかも知れないですね。ちなみに10年後など未来についてはどのように考えていますか。YOSHIさんは10年後だと27歳で、ロックスターはその歳で亡くなってる方も多いですけど。

 僕は27歳で死ぬと思いながらも、最終的には長生きしたいんです。その方が伝説になると思っていて、早く死ねば伝説になるわけではないので。それを歌っているのが去年リリースした「COBAIN」という曲なんです。カート・コベインも大好きなアーティストで、リスペクトしてる。

YOSHIの悩みとは

YOSHI

――さて、3月20日に新曲「VOICE」がリリースされますが、タイトルが変わったみたいですね。

 そうなんです。最初は「I HEAR YOU NOW」だったんですけど、「VOICE」の方が良いんじゃないと提案されて「いいよ」って。

――軽いですね(笑)。

 うん。だってそっちの方が覚えやすいと直感で感じたから、特に迷いもなかった。制作もレコーディングもパパッと出来ちゃうんです。ジャムセッションしながら僕がメロディを書いていく、もうノリでしかないスタイルで作っていて、眠くなったら寝て、起きて「もう一曲作るか」みたいな。

――具体的にはどのように進んでいくんですか。

 一緒に作ってくれているMatt(Cab)が僕のアイデアを吸い出してくれる感じなんです。ギターのD&Hちゃん、MATZがサウンドをいい感じにしてくれて、BBY NABEちゃんはメロディも歌詞も書いてくれるし、全てを一人でやっているわけではなくて、チームで作った作品なんです。

――「VOICE」でYOSHIさんが一番注目して欲しいところは?

 出だしの<I hear you now>のところです。そこでみんなの心に刺さるか刺さらないかが勝負だと思うんです。とにかくまずは最初だけでもいいから聴いて欲しいかな。

――今作では15歳のシンガーソングライターHeliさんというゲストボーカルが入ってますね。一緒に歌ってみていかがでした。

 すごく良い人で、もう「僕が全力で引っ張っていってやる」、と思いましたよ。特に年齢は気にしないんですけど、自分より歳が下の人と仕事をするのは珍しいかな。自分がドラマ『僕だけが17歳の世界で』の撮影中だったこともあって、そんなにしゃべれてないんですけど。

――音楽の話とかはしなかったんですね。でも、同年代くらいでYOSHIさんと音楽の話が合う人は少ないかも。

 Heliちゃんとは音楽の話はしなかったので、合うかどうかはわからないです。でも、本当に同年代で音楽の話が合う人はいないっすよ。僕の友達の年齢の幅は広くて10代から78歳までいるので、音楽の話をする時は出来る人とするかな。

――78歳の友達とはどんな方なんですか。

 銭湯のおじいちゃんと『カロリーメイト』のCMに出た時に知り合った、大塚製薬のレジェンドなんですけどマジで最高ですよ。

――そういえば58歳の女性に告白したと聞きました。

 年齢とか関係なく人に惚れてしまうんです。生き方が格好良かったりすると好きになって、その人と結婚したら後悔しない人生を歩めそうだなと思って。

――人に惚れる、いいですね。ちなみにYOSHIさん今悩みはありますか。

 う〜ん、服を買うお金が足りないということと、最近恋愛をしてないので、恋愛をしたいです。悩みはそれぐらいしかなくて、仕事に関しては「楽しく死ぬ気でやろうぜ」という感じなので。

――最後にファンの方にメッセージをお願いします。

 憧れても僕にはなれないし、僕も君にはなれないから、お互いにパワーを感じ取って、刺激しあいながら頑張っていきたいです。我が道を行くというのは失敗ありきだと思っていて、でもその先にはデカいものが待っていると思うんですよ。それを信じてみんなも突き進んで欲しくて、一回きりの人生、楽しんでいこうということを伝えたいです。

(おわり)

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