YOSHI「生きていることが一番の芸術」ティーンのポップアイコンの素顔に迫る
INTERVIEW

YOSHI

「生きていることが一番の芸術」ティーンのポップアイコンの素顔に迫る


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年09月15日

読了時間:約12分

 シンガー、俳優、モデルなどマルチに活動するYOSHIが8月28日、2020年第二弾、第三弾シングルとなるオリジナル楽曲「WEEKEND」と「YAKINIKU GANGSHIT feat. Nasty C, MIYACHI」を同時リリースした。YOSHIは2019年5月に1stアルバム『SEX IS LIFE』をリリース。同年9月に公開された映画『タロウのバカ』(大森立嗣監督)で主演を務めた。今年に入ってもカロリーメイトのCMで話題となった名曲カバー曲「MY WAY」、panasonicのCMテーマソング「VOICE」をリリースするなど精力的に活動している。インタビューではコロナ禍での過ごし方や彼の音楽のルーツについて話を聞き、17歳という若さでポップアイコンとして人気を集めるYOSHIの素顔に迫った。【取材=平吉賢治】

全てをアートとして見ているYOSHIの視点

――コロナ禍となってリモートコミュニケーションが増えましたが、感覚的にどう思いますか。

 いいなって思うところもあるんですけど、やっぱり電波上だから感情が全力では伝わらないからそこがちょっとなって思ったり(笑)。「俺の言いたいこと伝わってるのかな?」みたいな。

――ちょっとした間や空気感の共有が難しいですよね。

 そうそう。ラグもあるし。

――YOSHIさんの作品ではHIP HOPが比較的多いという印象でしたが、以前のインタビューではロックもけっこう聴くとお話しされてましたね。(米バンド)ニルヴァーナや(英バンド)セックス・ピストルズなど。

 そうなんですよ! 僕は音楽に興味があるというよりも、結局作っている人が好きで。ニルヴァーナもセックス・ピストルズも好きだけど、彼らが発している人間性だったり言葉だったり、そういうところから「聴こう」ってなるんです。音楽って結局音楽じゃないというところもあると思っていて。特にロックは、上手いとか上手くないとかじゃなくて魂の叫びだから好きなんです。

――他にはどんなロックを聴く?

 オーバーグラウンドな音楽も好きなんだけど、どちらかというとアンダーグラウンドに興味があって。

――これまでの作品を聴いたりMVを観る中で、YOSHIさんが(米バンド)ソニック・ユースのシャツを着ている場面があったので、オルタナティブな音楽も好きなのかなと想像していたんです。

 ソニック・ユース聴いてますよ!

――YOSHIさんの年齢の頃に、ソニック・ユースなどのどちらかというとアングラ寄りの音楽を聴き始めて、最初は理解できなかったのですが、なぜか何度も聴いてしまっていました。

 そこなんですよ! 結局、昔の音楽って最初は理解できないなって思うところもあるんですけど、魂的に聴くと「なんかいい曲だな」と伝わってくるんです。

――ギターのノイズサウンドなど、最初は何がよいのかわからなくても、とにかく格好良いと感じたりしますよね。

 わかるわかる! あの無邪気な感じというか型にはまっていないのが。今の時代は多少はファンのために、という感じもあるじゃないですか。でも僕はけっこう「それはちょっと」と、思うところもあって。昔って誰のことも考えずやってる自分自身をを全力で見てくれっていうような感じだったからこそのオリジナリティがあったじゃないですか?

――確かに突き抜けている部分があらわになっていた時代だったと思います。

 そういうのもあって、今の音楽業界とかエンタメ業界とかちょっと物足りないなと思うところもあるんです…あくまで僕は、ですよ。でも僕は昔の色んなアーティストに憧れは抱かないですよ。憧れてもニルヴァーナにはなれないし。もちろんニルヴァーナも僕にはなれないし。誰が一番好きかって言ったら僕自身なので。

――今、そういったスタンスの人は少ないと思います。

 僕は最新のものを取り入れるのは大切だと思いますが、どちらかというと古き良きというか。昔からの曲調やスタイルを引き継ぐというわけではなく、単純にオールドスクールな考え方というか。そういうのをずっとやっていきたいなと。アンダーグラウンドって無法地帯みたいなものじゃないですか?

――確かに、決まりがないことによる自由さ、オリジナリティが生まれるシーンと捉えられますね。

 日本ってアンダーグラウンドの中だけで盛り上がっちゃってるから、オーバーグラウンドに出てこないように感じるんですよ。日本って見た目よりも技術が先行しているというか。でも僕は日本という国が凄く好きで。それこそニューヨークに行った時に思ったことは、友達から「お土産買ってきてよ」と、言われた時に「何のお土産買おう?」となるんですよ。でも日本だったら伝統の品とかいくらでもあって、物作りの技術も凄いし。そういうのって凄いなって思うんです。

――日本に対してのリスペクトがあるのですね。前回のインタビューでは「年齢なんか関係なくリスペクトを持って話せば良いだけのこと」と、仰っていましたが、とても感銘を受けました。

 そこに関しては意識していることでもなんでもないんですけど、色んなスポーツでも礼に始まり礼に終わるじゃないですか。そこが大切だと思っているんです。こういうインタビューとかでも、いくらはっちゃけていたとしても最初と最後にちゃんとするのが大事だなって思うんです。

 僕は敬語が使えないわけではないんですけど、別に敬語じゃなかったとしても相手に対して「今日はよろしくね」という気持ちがあれば別になんでもいいと思うんです。タメ語だと相手との距離の縮まり方も早いし。僕は本当に年齢とか気にしたことがないので。僕は2003年に生まれましたけど、自分の生まれたい年って決められないじゃないですか。自分で生まれる年を設定できるとしたら年齢差というものがあるのも分かるんですけど。

――考えたこともなかったことです…。

 決められないってことは年齢もクソもないんですよ。70歳、50歳、30歳の友達がいたとしても、みんな同じ人間なんですよ。どんな職業だとしてもキャリアを持っていたとしてもお金持ちだったとしても…みんな同じただの人間なんです。だから仲良くしようぜって話しなんです。相当シンプルですよ(笑)。

――確かに、そういったマインドの人が多いと楽しく過ごせそうですね。

 僕は生きていることが一番の芸術だと思っていて。毎日生きていたら、ふざけんなと思うこともあったり幸せにご飯を食べたり、その日のアトラクションが楽しかったりとか色々あるけど、それをまず「思えていること」って、自分がこの世界で一分一秒生きているからこそ感じられることじゃないですか? 「それって芸術じゃない?」って最近思ったんですよ!

――芸術的かつ哲学的ですね。

 僕は哲学的なんです。全部をアートとして見ているので。いや、哲学的かな…ずっと昔から途方もない正解もないようなことをひたすら考えています。それで、寝る前にポエムを書くんです。「今日はこういうことがあった」とか、わかりやすく書いて、最後にこれで何を言いたいのかというのを具現化させるんです。僕はシンプルなので「結局は人間だぜ」という話しなんです。僕は本当に基本的には人にしか興味がないんです。

――ポエムというかたちで言いたいことを具現化させるのは素敵ですね。

 あんまり語彙力がなかったんです。それよりもファッション的エネルギーというか、「この気持ち、わかる?」という感じで伝えていたんですけど、一部の人にしか通用しない伝え方だと最終的には壁がきてしまうじゃないですか? 仕事などにおいてちゃんと誰にでも伝わる言葉で言わないと。だから小説などを読んで語彙力をつけたりポエムを書いたりと。そうするとプレゼンとかをする時にもちゃんと伝わるんです。

――前回のインタビューからもう一点、「小さいところで気にする世の中もヤバい」と話していましたが、今もそう思う?

 大きく言うと、同じ人間なんだしラブ&ピースで生きようよというのが一番具体的な答えなんです。世の中には色んな人がいて、例えばずっと厳しい人っているじゃないですか、特に会社とかだと。そういうのはあまりよくわからなくて…もっと大きな愛で包んであげることが大切なのかなって。

150%ネガティブと思う理由とは

「WEEKEND」ジャケ写

――コロナ禍自粛期間中は退屈だった?

 めちゃくちゃ退屈でしたよ…コロナ禍になって世界が変わって、自分の仕事も減って、だけど別にそれで死ぬわけじゃないですか。だからちゃんと自分のアートや哲学的なことだったり「自分がどういう人間なのか」というのを毎日考えていました。だから僕はある意味、いい時期という捉え方もできました。こんなこと言っていいのかわからないですけど。

――コロナ禍自体は決して歓迎できるものではないが、自分とちゃんと向き合う時期でもあったのかもしれないということですね。

 そうそう! 本当にそうなんですよね。

――新たに気づいたことなどはあった?

 僕は今まで太陽みたいな人間だと思っていたんですけど、全然違くて月みたいな人間だなって思ったり。というのは、みんなからよくポジティブと言われるんですけど、僕はポジティブでもなんでもなくて。

――意外ですね。YOSHIさんはとても明るいイメージがありましたが。

 たぶん150%ネガティブです。けど、ネガティブすぎてポジティブに見えるんです。

――どういったところがネガティブだと思う?

 僕は自分に厳し過ぎるんです。周りに対しては適当なんですけど、自分では自分のことを首絞めちゃうというか。

――例えば自分の作ったものに対しての基準が厳しかったり?

 わかりやすく言うとそんな感じです。でも今作は納得いってます!

――今作のジャケットでYOSHIさんがさかさまに写っている意図は?

 ぶっちゃけ言うと“とにかくサイケデリックなジャケット”にしたいと思って(笑)。

――YOSHIさんにとってサイケデリックとはどんな感覚でしょう。

 人が見て「カッコいい! カワイイ!」と思うんじゃなくて、最初に「うわ! 何これ? 気持ち悪い」という感覚が最初にくるのが、僕はサイケデリックだと思う。一般層を飛び抜けている感じというか。だから僕自身も凄くサイケな人間だと思うし。

――なるほど。サイケデリックとは一般的には幻覚のような感覚という捉え方もあると思いますが、そうではない?

 そういうのじゃないんですよね。芸術的で一般層にはなかなか伝わらないけど、クセになるからみんなついて来ちゃうような。それこそ、さっき言ってた「ソニック・ユースを最初聴いた時はわからなかったけど、なんかずっと聴いちゃう」という感覚ですよ!

――凄くピンときました。最初は受け付けなかったけど後をひく感じですね。

 そうそう! 一発目はわかんなくてもだんだんわかってきて良くなってくる感じ。

――そういう感覚を引き起こすものってアーティストじゃないと作れないですよね。

 本当にそう思います。アーティストが作った魅力的なもの、アーティストという存在そのものの魅力にみんなついてくるというか。

――なるほど。さて、「WEEKEND」「YAKINIKU GANGSHIT feat. Nasty C, MIYACHI」はHIP HOPのクールな作品ですが、HIP HOPは好きな音楽?

 HIP HOPいいですよ! これ知ってます? (スマホからドレイク(米アーティスト)の楽曲を紹介してくれる)。ドレイクって曲は格好良いし、けっこう破天荒らしくて面白いですよ(笑)。

――そうなんですね。常にアンテナを張ってるんですね。「YAKINIKU GANGSHIT feat. Nasty C, MIYACHI」はどんな印象?

 あれはノリでしかないです。それこそ「RIDING ON TIME」を作っていた時に、そのメロディを作ってくれた友達と話してて、僕が「Gangshit! いけてるね!」みたいなことを言ってたことがあって。

――タイトルにも含まれている“GANGSHIT”というフレーズはスラング?

 特に意味もないんですけど、この曲のタイトルだったら「そういや今日焼肉行きたいね!」みたいな。それで<YAKINIKU GANGSHIT>ってなったんです!

――「GANGSHIT」は「うぇーい!」みたいな感じ?

 そうかも(笑)。意味合いもなく何も考えずにレコーディングしたら出来た曲。

――フィーチャリングのNasty Cさん、MIYACHIさんとのコラボは楽しかった?

 楽しかったですよ! 最初Nasty Cが日本に来た時に会って凄く仲良くなって。それで「録ろうよ」となって、やったらマジでいい曲が出来て! そこからこの曲にもう1人ラッパーを入れたいねってなった時に、プロデューサーのMatt Cabと仲良いMIYACHIがいて、それで一緒にやろうとなったんです。

――歌詞を書き進めていく点で今までと変わったことは?

 まだみんなに手伝ってもらいながらって感じもあるんですけど、かなり自分の言葉でできたから良かったなと思ってます。

カウンターカルチャーというスタンス

――お話ししていると、YOSHIさんは凄く色々と思考する方なのだなという印象を受けました。最近の世の中の風潮について、これはあまりよくないと思うことはある?

 基本全部よくないと思います。はっきり言って最悪な世の中だと思います。よい意味でも悪い意味でもめちゃくちゃ世の中便利になったじゃないですか。別に頑張らなくても生きていける時代というか。昔って頑張らないと生き残れない時代だったけど、今ってなんとなく適当だったとしてもなんとかやっていけるから、それがいけないなと思うんです。それで本気になれる人だったらいいんですけど、そんなによい世の中じゃないから…僕自身ってカウンターカルチャーなんです。だから「なんだよこんな世の中」っていうのがあって。「それってなんなんだよ」というのはカウンターじゃないですか。僕はそういう感じです。

――では逆に、最近の世の中でよいなと思うことは?

 これもよい意味でも悪い意味にもなるけど…スマホで簡単に連絡できるのはいいなって思いますけど、スタンプ一つで感情を伝えられるというのはあまりいいことじゃないなって思うんです。ちょっと際どいところなんですよ。基本、いいことだと思うけど、もうちょっと難しい世の中にしてくれた方がという感じも…エンタメとかも昔の方が輝いていたように思いませんか?

――なるほど。どうして今はそうではなくなったと感じますか。

 日本って厳しいんですよね。法律にしてもそうだし。日本は本質的なところで言うと世界中で一番いい国だと思うんです。でも、本質的なところって、ある程度才能がないとわからないというのもあるかもなって思ったり。

――さきほどYOSHIさんは150%ネガティブと仰っていましたが、それは物事の本質にたどり着くまで深く考えることが多いからではないかと感じました。それは痛みを伴う行為でもあり、気づいたらつらいということにも気づくというか。

 そうですね。けっこうつらいと思う人間なので。

――最後に、これからYOSHIさんは音楽を通してどんなことを伝えていきたいでしょうか。

 自分の本質。でも理解されなくてもいいんです。僕の音楽を聴いて、音楽として気に入ってくれる人もいれば、自分の人間性を本質的に理解してくれる人、感覚的に僕を知ってくれる人とか、色んな人がいると思うんです。それは、個人の受け取り方なので僕がどうこう言うことではないと思います。

――YOSHIさんの色んな面のお話しが聞けました。ありがとうございます。

 全然! ありがとうございます。よかったです!

(おわり)

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