RIZE、雷神降臨 怒涛のサウンドで魅せたツアーファイナル
新曲4曲を含む全20曲を全身全霊のパフォーマンスで熱演したRIZE
来年結成20周年を迎えるロックバンドのRIZEが11月27日に、東京・Zepp DiverCity (TOKYO)で全国ツアー『RIZE TOUR 2016 “RIZE IS BACK”』のファイナル公演をおこなった。20周年へ向けての幕開けとなったツアーは11月8日の宮城県Rensaを皮切りに全8公演を開催。ツアーファイナルとなった東京公演は、「カミナリ」や「ONE SHOT」、さらに新曲4曲を含む全20曲を、全身全霊のパフォーマンスで熱演。会場も一体となり凄まじい盛り上がりを見せた。
昨日の自分を追い越したいだけでやってきた
会場は血気盛んなオーディエンスによって超満員。ステージにはRIZEの家紋が堂々と掲げられていた。定刻を少々過ぎBGMが徐々に大きくなり、そして暗転。大歓声のなかメンバーがステージに登場した。JESSE(Vo.Gt)が「RIZE IS BACK!!」と投げかけ、「PARTY HOUSE」でライブの幕は開けた。ヘヴィかつダンサブルなナンバーによってクラウドサーフィングも起き、序盤からアクセル全開のメンバーとオーディエンス。この先が思いやられるほどの盛り上がりを見せた。「ONE SHOT」では腕を掲げながら、リズムに合わせ飛び跳ねるオーディエンス。フロアは波打つ人によって圧巻の光景が広がった。
「東京の神様、36年間お邪魔してますけど、今日は宜しくお願いします」とJESSEが地神に祈りを捧げ「KAMI」へ。熱気を巻き込むような凄まじいグルーヴが渦巻く。KenKen(Ba.Vo)も長い髪を振り乱しながら、アタッキーで骨太なベースサウンドを放つ。そして、一体感のあるオーディエンスの手拍子が響くなか「GET THE MIC」へ。<GET THE MIC♪>のシンガロングも荒々しく響き渡った。「American Hero」、「Television Song」で鼓膜が震えるのがわかるほどの爆音で展開。続いて、「トランプ大統領に捧げます」と「Dear Mr.President」を送り出した。金子ノブアキ(Dr)が叩き出すラウドかつ軽快なリズムで新しい渦を作り出していく。
ここでまさかの新曲3連発。東京全体にまで響いていきそうな<TKC>のシンガロングが印象的だった。そして、JESSEが満員の会場に向かって「なんでこんなに集まるんだよ。来なくていいよ」と真逆の感情を話し、「そんなお前らが大好きでしょうがねえからよ、新曲もう一曲やらせてください」と告げ更に新曲披露。イントロでのKenKenのスラップがけたたましく響き、パワフルなキメへと導かれるナンバーにテンションはさらに高まっていく。リリースへの期待が高まる楽曲群はライブのハイライトのひとつとなった。
「不安定なスキルもない時代からやり続けて、昨日の自分を追い越したいだけでやってきて、20年続けられて、そんなに難しいことじゃないということを証明しています」とメッセージを送り、「けれどもやめる方のがもっと簡単。やめたくないのに先に死んでしまったバンドマンや仲間、死にたくないのに子供いて先に天に逝っちまった親、次の曲、3分ちょいの中で全部供養します」と述べて、レクイエムとも言える楽曲「GHOST」を届けた。KenKenもベースをチェンジし、さっきまでとは違った音色で楽曲を彩る。
こんな馬鹿正直なバンドが必要なんだ
ここで「この歌で救われたという人と心が痛む人、2パターンの人がいて、今日を皮切りに価値観が変わってくれたら嬉しい」と語り、「heiwa」へ。ステージに向かって手を差し伸べるオーディエンス。感情を乗せたJESSEの歌声が会場全体に浸透していく。「10年前に書いた時はやべえ曲書いちまったなと思ったけど、一生歌えるのかなと思ったけど…思わしてくれてありがとうございます」とJESSEは感謝を告げると、会場からは大歓声が巻き起こった。
「こんな能天気でポジティブシンキングなバンドが今の時代にいらなかったら、俺らはとっくに解散していたでしょう。Zepp DiverCityソールドアウト、みんながRIZEを求めているということは、こんな馬鹿正直なバンドが必要なんだということなんでこんな曲を持ってきました」とJESSEが語り「何でもない日の祝い方」を披露。そして、「昔の曲を聴いてRIZERのためにしか書いてなかったということがわかりました」と告げ「天と地の狭間に生きる少年」へ。JESSEもフロアに降り最前で歌を届ける。高まるエネルギーによって会場の室温はどんどん上がっていくのを感じた。
まさに刀のような切れ味のあるサウンドを聴かせた「日本刀」、会場の熱量をさらに高めた「Gun Shot」、本編ラストは「カミナリ」と怒涛のナンバーで攻め立てる。「カミナリ」ではクラウドサーフィングで前方に来たオーディエンスをステージに上げるJESSE。ラバーバンドを返しに来たというオーディエンスに歌わせる場面も。そして、JESSEもギターを持ったままフロアにダイブし、人並みに飲まれながらもギターをかき鳴らす。雷神のごとく雷のような轟音を撒き散らし、本編を終了した。
アンコールではタオルを掲げ戻ってきたメンバー。ここでサポートギターの下畑“Rio”良介(Gt)のバースデーサプライズを実施。RIZEらしいラウドな「HAPPY BIRTHDAY」を奏で、誕生日を祝った。そして、アンコール1曲目は新曲を披露。
「この20年間毎日がGOOD DAYだと思って生きてるよ。誰も損しねえから。損すると思う奴は俺に言ってこい!俺はそいつの目を見て損しねえからって言ってやるよ」と強く言い放ち、ラストはスピーディーな「Why I'm Me」でボルテージはマックスに。壮絶な盛り上がりを見せる光景の中、ライブの幕は閉じた。
最後に「この家紋をよく覚えとけ」とステージに掲げられたフラッグを指すJESSE。そして、JESSEはフロアに降り、オーディエンスと触れ合いながら感謝を示し、ステージを後にした。
オーディエンスとバンドが一体となった熱いライブであった。激しいサウンドの中に込められたメッセージを浴びながら、互いのエネルギーをぶつけ合い一つのステージを作り出す。そこに余計な邪念など存在はしないと思えたほどのライブであった。結成20周年の一歩を踏み出したバンドはどのようなステージを魅せてくれるのだろうか。(取材・村上順一)
セットリスト
『RIZE TOUR 2016 "RIZE IS BACK"』 11月27日 東京・Zepp DiverCity (TOKYO) 01.PARTY HOUSE |