INTERVIEW

志田彩良

ドラマ『君の花になる』で新たな一面「とことん嫌な女に見えたら」


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:22年11月29日

読了時間:約7分

 志田彩良がTBS系火曜ドラマ『君の花になる』で8LOOM(ブルーム)のたまり場となっている銭湯の娘・池岡奈緒役を好演中だ。元高校教師の主人公・仲町あす花(本田翼)が、崖っぷちのボーイズグループ「8LOOM」の寮母となり、彼らとともにトップアーティストになる夢に向かっていく物語。志田が演じる奈緒は、「8LOOM」とはグループ結成時からの付き合いで気心知れた間柄。メンバーの佐神弾(高橋文哉)を気にかけている。志田と言えば日曜劇場『ドラゴン桜』(2021年)での“東大専科”生徒役の好演が記憶に新しい。また主演を務めた『かそけきサンカヨウ』では幼い頃に母と別れ早くに大人にならざるを得なかった少女を繊細な感情表現で見事に演じ話題になった。今回演じる奈緒はこれまでとは異なる男勝りの性格で、役者としての新たな一面が期待できる。志田自身はどのように臨んでいるのか。【取材・撮影=木村武雄】

現場は学びの場

――活動の原動力は「悔しさ」と話されていましたが、そう感じる場面はあったんですか?(動画を参照)

 小さい頃から負けず嫌いな性格で、このお仕事でもオーディションなどで同世代の子たちのお芝居を見て悔しいと思ったり、結果が悔しいものだとそれが原動力となって「もっと頑張らないといけない」という気持ちになります。このお仕事を始めてからずっとですね。今でも現場で素敵なお芝居されている方を見ると悔しいなと思って、モニターでその方のお芝居を見て勉強させていただいています。

――『かそけきサンカヨウ』では素晴らしいお芝居をされていました。複雑な感情が抱える難しい役柄でしたが、実際のお芝居はどうでしたか?

 すごく難しかったです。今泉力哉監督とは何度もご一緒させていただいていたので、自分一人で悩むというよりは、監督や共演者の鈴鹿央士さんたちと相談させていただきながら演じていました。

――立場的にも難しい役柄で、感情の機微を見事に表現されていました。あの作品で得たものは?

 今泉監督の現場は毎回楽しくて、出させていただく度にお芝居がもっともっと好きになるんです。その作品でもまた自分の引き出しを増やしていきたい気持ちになりましたし、今後今泉監督に恩返ししていけるようにもっと頑張って活動していきたいなと思いました。

――今泉監督作に限らずご自身にとって作品はどういう「場」ですか。

 自分が成長する場だと思っています。共演者それぞれにお芝居のやり方があって、一人で台本を読んでここをどうしようかと思っている時に、現場で共演者の方が演じられているのを見て「そういう風に演じられるなら私はこうしてみようかな」とヒントをいただけたり、現場でしか得られないものがたくさんあると思っています。

志田彩良

8LOOMを見守る

――そうした経験を経て迎えた今回の『君の花になる』ですが、演じる「池岡奈緒」はどういうキャラクターだと捉えていましたか。

 バイクに乗ったり、DIYが趣味だったり、男性寄りの活発な女性という印象でした。クランクインから監督に「女子な部分は全部捨てて演じてほしい」と言われ、座り方もあぐらをかいてみたり、足を上げて座ってみたりと、そう見えるような仕草は考えながら演じています。8LOOMのメンバーとか男性が多い現場なので、みんなの喋り方や仕草を観察して取り入れています。

――その8LOOMのメンバーとは結成当時からの知り合いで寮にも行き来する間柄ですが、距離感はどう意識されていますか。

 あまり入り込み過ぎず、外から見守っている存在でありたいと思っていました。なので撮影中もその輪に踏み込むというよりは、わちゃわちゃしているのを見守っている感じです。奈緒自身もきっとそういう気持ちでいると思うので皆を見守っています。

志田彩良

一緒に作り上げたキャラクター

――銭湯でアルバイトしているという設定でもありますが、ビジュアル面はどうですか? これまで演じてきたキャラクター像とは異なる印象です。

 ビジュアルは、プロデューサーさんたちもすごくこだわって作ってくださいました。衣装合わせが2回あること自体、私にとって初めての経験で、すごく愛情を持って作ってくださっているのは現場が始まる前から感じていました。

 実は出演が決まった時点では役柄が決まっていなかったんです。どういう設定にするかなど、プロデューサーさんたちとお話をさせていく中で一緒に作っていった感じでした。バイクに乗る設定もその時の話し合いの中で決まりましたし「かっこいい女性にしたいね、じゃあかっこいい女性ってどんな人なんだろ」と考えた時に、「スポーツ」という話も出たんですけど、「バイクに乗っている女性ってかっこいいよね」となって決まりました。

 髪も染めてみようという話も出たんですけど、周りとのバランスや、衣装合わせをしていく中で「奈緒はバイトもしているし黒髪のままにしよう。でもちょっと変わった感じにしたいからウルフヘアだったらかっこよくなるかな」って。今までは、決まった役柄を演じていたんですけど、今回のように役柄から作っていくというのは初めてでしたし、自分自身としても大切な役になっています。

――銭湯でタイルを掃除する場面も。

 撮影しました!モップの使い方が最初、間違っていたみたいなんです(笑)。奈緒の性格を考えてガサツにやっていたら「それはほうきのやり方だよ」と監督に言われて(笑)「モップってどうやって使うんですか?」というところから始めて、それで横から強めにやっていたら「モップは前だよっ」て(笑)。

――面白いですね(笑)でも力加減でもキャラクター性は表現できますね。

 モップのシーンは感情的なシ-ンの後だったので、より強めにやりました(笑)

志田彩良

あざとさを表現

――キャラクターは撮影前からディスカッションを重ねて作り上げたという事ですが、撮影中も細かいところは足していったんですか?

 ハグをするシーンがあって、最初上に手をまわしてハグをしていたんですけど、プロデューサーさんから「下に手をまわした方があざとく見えるから、そっちでいこう」となって。

――奈緒にあざとさはあるんですか。

 奈緒自身はあざとさを意識しているわけではないんですけど、視聴者の方から見たときに「そのシーンはちょっとあざとく見えた方がいいんじゃないか」と。あす花(本田翼)に見せつけるみたいなシーンだったので「下からの方が女性的なあざとさが表現できると思う」とアドバイスをいただきました。

――そういう細かいところをパズルのように足していくとキャラクターがより多面的に見えてきますね。

 色んな一面があって、好きな人にツンツンしちゃう一面だったり、自分に想いを寄せてくれている人にもツンツンしたり。「ツン」の使い分け…?みたいな(笑)。結構難しいんですけど、演じていて楽しいです。

――現場の雰囲気はどうですか。

 「8LOOM」の皆も仲が良いですし、本田さんも和気あいあいとした現場の雰囲気を作ってくださって、本当に温かい現場です。

初挑戦の役柄

――これまでの作品と比べて「ここを楽しみにしていた」というものはありますか?

 今まで奈緒のような役を演じたことがなかったので、そこは演じていて楽しいですし、観てくださる方にも「この子嫌だな」と思ってもらえたらいいなと楽しみながら演じています。

――かき回すという意味では結構重要な役割ですね。

 観てくださる方が奈緒のことを「邪魔だよ」と思うシーンが何カ所かあると思います。とことん嫌な女に見えたらいいなと思って。

――でもご自身は役を愛さなきゃいけないというのもありますね。

 演じている側からすると、好きだから故にこうしてしまうところが可愛いなと思って台本を読んでいました。

――男性から見てもちょっとかわいいなと思ってほしいですね。

 いや~、たぶん男性から見てもかわいくないと思います。嫌な感じになっていると思います(笑)

――ご自身にとっても役者としての幅を広げる挑戦ですね。

 今回、自分的には一切かわいさは求めてなくて、弾くんが好きっていうだけで真っ直ぐに演じています。

理想像

――将来像は?

 常に現状には満足せずに上に行きたいなとは思っています。そのために常に努力をしないといけないですし、いろんな物を見て引き出しをどんどん増やしていかないといけないなって思います。

――理想の芝居や理想の女優。

 具体的な方はいないんですけど、ビジュアルもそうですし、毎回観る度に「違うな」と思ってもらいたいです。「この役を演じているこの子は誰だろう?」と調べた時に「あれにも出ていた子だったんだ」ってなったらいいなって思っています。お芝居だけではなくて、見た目からもその役に入り込んでいて自分とは全く違う人と思われたらいいなと思います。

――今回のドラマでも前情報がない方が観た時に「奈緒って志田さんだったんだ」ってなったら理想ですね。

 それが理想です!

(おわり)

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