単調ではなかった10年、吉田仁美 新鮮と驚きに満ちたハードル
INTERVIEW

単調ではなかった10年、吉田仁美 新鮮と驚きに満ちたハードル


記者:佐伯敦史

撮影:

掲載:18年06月29日

読了時間:約11分

ターニングポイントだった「イェイ!イェイ!イェイ!」

吉田仁美(撮影=冨田味我)

――曲順はご自身で決めたのでしょうか?

 はい! タイアップ曲をメインに選曲したということで、アゲアゲなナンバーが増えてしまい、小休憩できるようなバラード曲をどこに置くか、とか、キャラクターソングの扱いをどうするか、など考えると中々決まらず大変でした。

――キャラクターソングと言えば「魚心くんソング」(幻のオリジナル・ヴァージョン)が気になります。

 この曲は『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』というテレビアニメのイメージソングで、劇中に登場するローカルアイドルたちがよく歌っていたのですが、実は私が「大空みゆき」役で(※編注=作中での登場シーンはない)彼女の持ち歌、という設定なんです(笑)。「幻のオリジナル・ヴァージョン 」というのはそういう意味です。

――曲順の考案には相当苦労されたみたいですね。

 曲によって歌い方がかなり違いますので、違和感がいい意味であるように、どう並べるかは本当に悩みました。でも「KI-ZU-NA~遥かなる者へ」を1曲目、新曲の「a little star」を本編最後に、そしてボーナストラックの「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」を最後に持ってくることはディレクターと意見が一致していました。

――収録曲の中で、特に印象に残っているものはありますか?

 「Ring My Bell」と「イェイ!イェイ!イェイ!」ですね。「Ring My Bell」は今まで一番歌わせていただいてきたというのもありますし、それまでは「歌のお姉さん」というイメージが強かったと思うのですが、この曲でようやく「アーティスト」として認識していただけるようになったのではないかと。

 「イェイ!イェイ!イェイ!」ですが、ちょうど喉の調子が悪い時期がありまして、この曲を含めた『プリキュア』のオーディションで「この曲を歌えなかったらもう一生アーティストとしては、やっていけないだろうな」と覚悟していたので、本当に大きなターニングポイントだったと思います。

――新曲「a little star」は三浦誠司さんが作詞を、大森俊之さんが作曲・編曲を担当した、優しい歌声が印象的なバラードソングです。

 今回のアルバムでは新曲を1曲入れたい、という話をディレクターから提案されまして、「作詞・作曲者は誰がいい?」と聞かれたんです。そこで、秘めていた想いをぶつけさせていただきました!

 大森俊之さんは私が16歳のときに『うたっておどろんぱ!』で歌のお姉さんをやらせていただいていた頃から師事しておりまして。私の歌があまりにもひどくて(苦笑)、毎回すごく時間をかけてレコーディングしていただいてました。そんな、今でも感謝の気持ちが絶えない大森先生にわがままを聞いていただきました。

 三浦さんには『そらおと』の第1期EDテーマ「そばにいられるだけで」の作詞を担当していただきました。ほかにも『ファイテンション☆テレビ』という番組で私が歌った「未来ヒコーキ」という曲も手がけていただいたり、デビュー直後からお世話になっているので「ぜひ!」ということでお願いしました。

――バラード曲にした理由を教えていただけますか?

 先ほども少し申し上げましたが、収録曲がテンション高めのものが多いということで、落ち着いた曲をもう少し増やしたいという気持ちがありました。

 10年を振り返りつつ、これからのアーティスト活動へ向けての想いが込められた曲にしたい、ということで「今の私よりも少し大人っぽい曲にしてください」とおふたりにお願いしました。最後の「夢のつづき綴る歌を」という歌詞は、三浦さんのこの曲に対する「いつまでも歌い続けられる曲にしたい」という気持ちが詰め込まれているようで大好きなフレーズです。

 私が今こうして歌い続けることができるのは、支えてくれた日本コロムビアのスタッフさん、マネージャーさん、そしてファンのみなさんひとりひとりのおかげだと思っていまして。

「みんなに届けたい、というよりは聴いているたったひとりのあなたに届けられるような小さな歌がいいです」とお願いしたのですが、それが見事に表現された楽曲で、大感激です!

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