単調ではなかった10年、吉田仁美 新鮮と驚きに満ちたハードル
INTERVIEW

単調ではなかった10年、吉田仁美 新鮮と驚きに満ちたハードル


記者:佐伯敦史

撮影:

掲載:18年06月29日

読了時間:約11分

 歌手、声優、舞台などで活躍中の吉田仁美が27日に、歌手生活10周年を記念したベストアルバム『10rder』(ワンオーダー)をリリース。個人名義以外にもユニットソングやキャラクターソング、アルバムのために新録した新曲、さらにボーナストラックとして現在放送中の特撮テレビドラマ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のOPテーマ「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」など、10年間をギュッと凝縮した一枚となった。元来おしゃべりが大好きだという彼女は、この日のインタビューでも身振り手振りを交えつつ、アルバムへの想い、そしてきたるリリースイベントやアニバーサリーライブ、ラジオ番組について存分に語ってくれた。【取材=佐伯敦史/撮影=冨田味我】

単調、平坦ではなかった10年

吉田仁美(撮影=冨田味我)

――ベストアルバムをリリースすることになったきっかけは?

 私の方からお願いしたんです。今年はちょうど同じ日本コロムビアさんの大先輩である水木一郎さんがデビュー50周年だったり、節目を迎えられる方が多くいらっしゃるんですね。そこで「私も祝って!」みたいな感じでアルバムの制作をおねだりしました(笑)。

――『10rder』というタイトルはどのような理由から付けられたのでしょうか?

 元々は10周年ライブのタイトルとして考えていました。他の案もいろいろ提出したのですが却下されてしまいまして…(笑)。31歳のバースデーライブのサブタイトルが『3k you for 1derful Rendezvous』だったのですが「今回もそんな感じでつければいいんじゃない?」とアドバイスをいただいて、その路線でいこうと思いました。

 「order」は「お願い」という意味だったり、10のべき乗(数学用語)という意味もあるらしく、10、100、1000…とどんどん増えていくイメージがとてもいいな、と思い、つけさせていただきました。もちろん語呂がいいというのもあります!

――改めてこの10年を振り返ってみていかがですか?

 芸能活動として考えるとすごく楽しかったです。でも、アーティストとしての10年間は全然単調、平坦ではなかったですね。デビュー曲はテレビアニメ『我が家のお稲荷さま。』OPテーマ「KI-ZU-NA~遥かなる者へ」で、その後『プリキュア』シリーズや『スーパー戦隊』シリーズの主題歌を歌わせていただいたり、幅広く歌わせていただいてきました。腰を据えて歌う、というよりは「あっちも頑張るし、こっちも頑張る」という感じで。

 シリーズを通して多くのファンがいる作品に対しては「受け入れてもらえるかな?」という気持ちがありつつ、一緒に盛り上げていきたいという思いもありつつ、これから出てくるプリキュアヒロインや特撮ヒーローたちにもいい形でバトンをつないでいきたい、という願望もあったり、中々にハードな10年でした。

――様々なハードルを越えてきたからこそ今の自分がある、と。

 そうですね。でも、勘違いしてほしくないのは「ただつらいだけのハードル」というわけではなく、毎回新鮮と驚きに満ちたハードルを用意していただけたのはすごくありがたい、ということです。

――声優としての活動は歌手活動に影響を与えました?

 アルバムのなかにもキャラクターソングを入れさせていただいたのですが、キャラクター、役との出会いによって広がっていく歌の表現の仕方があるのを感じまして。うまく伝えるのが難しいのですが、キャラクターだと大きく演技ができる分、私の中にある引き出しが増えました。

――デビュー曲の「KI-ZU-NA~遥かなる者へ」をヒトミソラとして一緒に歌唱したイズミカワソラさんや、テレビアニメ『そらのおとしもの』(通称『そらおと』)で声優の早見沙織さんと組んだユニット・blue dropsなど、ユニット活動もされてきました。

 実は「KI-ZU-NA~遥かなる者へ」はレコーディングをした段階ではイズミカワさんとふたりでのユニットになるというのが決まってなかったんです。今思うとこの曲は「ヒトミソラ」として歌うことにより初めて完成するんじゃないかと思うくらい、深みのあるコーラスがついて感動しました。

 ちなみにこの曲は結果的に『我が家のお稲荷さま。』のイベントで一度歌わせていただいたきりになってしまったので、デビュー曲ということもありますが、すごく思い出深いナンバーとして心に残っています。

 イベントでグッズを購入してくださった方にふたりの寄せ書きサイン色紙をプレゼントしたのですが、恐らくそこでしか手に入らなかった激レアなアイテムになったのではないかと思います。ソラさんのサインがすごくシンプルであっという間に書き終わってしまったので、私のところで列が詰まる…みたいなこともありました。今となってはいい思い出ですね(笑)。

 早見沙織ちゃんとはイベント等で歌わせていただく機会が多かったです。主題歌を歌うアーティストはアニメのスタッフさんやキャストさんとお話する機会があまりないのですが、作品のイベントが頻繁に行われていて、一緒にリハーサルをする機会も多く、たくさんお話できて。『そらのおとしもの』はみんなで作った作品だな、という印象がすごく強いです。

――とりわけ、blue dropsとしてたくさんの楽曲を歌われました。

 「Utopia Blue」という曲が収録されていて、テレビアニメが終わってからかなり経ってレコーディングをしたのですが、この曲は私と沙織ちゃんに対して「これまで『そらおと』がんばったね」というご褒美ソングだと勝手に思っています(笑)。

 三浦誠司さんは1期のEDテーマ「そばにいられるだけで」からお世話になっている方で、私や沙織ちゃんの名前やこれまで歌わせていただいた楽曲のタイトルがちりばめられていたりして、すごく感慨深いです。

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