第10回AKB48世界選抜総選挙の開票イベントが16日、愛知県名古屋市のナゴヤドームで開催された。それに先立ち、AKB48グループメンバーによるコンサートも実施された。世界にまたがるグループの熱気をパフォーマンスに込め、万雷の観衆を熱狂させた。この日の模様を以下にレポートする。【取材=小野眞三/撮影=桂 伸也】

松井の肩を抱き寄せる横山

横山由依とゴンドラに乗って登場するも涙(撮影=桂 伸也)(C)AKS

 まずはオープニングアクト。メンバーが選んだ聴きたい楽曲がセットリストに組み込まれた。7位からを順に披露され、1位はAKB48の「初日」とAKB48 チーム8の「47の素敵な街へ」が並んだ。

 10時半からはコンサート本編が開幕。メンバーそれぞれがリクエストした楽曲の中から、「1票」だけ入った曲を披露するという趣向でおこなわれた。(※楽曲名の後のカッコはリクエストしたメンバー)

 オープニング映像が流されたのに続き、1曲目は松井珠理奈がリクエストした「記憶のジレンマ」。HKT48宮脇咲良、AKB48横山由依、NMB48白間美瑠、そして松井の4人が熱唱。だがオープニングアクトのステージ上で突然倒れるというアクシデントに見舞われていた松井はここでも歌うことができず涙を流した。同じゴンドラに乗っていた横山が、松井の肩を抱きしめた。

コンサートのもよう(撮影=桂 伸也)(C)AKS

 AKB48やSKE48、NMB48などグループの垣根を越えた混成パフォーマンス。「涙売りの少女」(AKB48大家志津香)、「誰のことを一番愛してる」(AKB48佐藤美波)、「結晶」(HKT48岩花詩乃)、「心の羽根」(SKE48上村亜柚香)、「快速と動体視力」(SKE48森平莉子)を順に歌い上げ、ここでMCに入った。

 司会の音頭を取ったのは横山。「始まりましたー!!」と一大イベントの幕開けを高らかに宣言すると、松井が呼応。観客に名古屋の人がどれくらいいるかを呼びかけると多くの人がペンライトを振る。「こんなにいる!」と大きな声で喜んだ松井の姿には、自身が所属するSKE48の地盤である名古屋開催への強い意思が込められているかのようだった。

海外グループも

コンサートのもよう(撮影=桂 伸也)(C)AKS

 そして、海外グループのTPE48、BNK48がそれぞれ挨拶。開票イベントの当日投票がおこなわれる旨の説明がされた後、一気に16曲を歌いつなぐハードなパフォーマンスが始まった。

 NMB48が「虹の作り方」(NMB内木志)を披露すれば、NGT48は「2人乗りの自転車」(AKB48田北香世子)を歌唱。STU48は「ペダルと車輪と来た道と」(AKB48谷口もか)を熱唱し、AKB48 チーム8は「ラッキーセブン」(AKB48田屋美咲)を激しく演じる。観客もまた、スタンダップの姿勢でステージの熱気とリンクした。

 AKB48の山内瑞葵、谷口めぐらによる「希望について」(HKT48石安伊)、AKB48高橋朱里らの「10クローネとパン」(高橋朱里)ではバックダンサーも加わり華麗なステップを披露。続いてはSKE48が「なんて銀河は明るいのだろう」(SKE48西満里奈)を歌い出すと歓声のボリュームは一段と上がった。

コンサートのもよう(撮影=桂 伸也)(C)AKS

 パフォーマンスは続く。NGT48荻野由佳や宮脇らで構成されたメンバーで「この涙は君に捧ぐ」(AKB48久保怜音)を歌唱し、松井も元気に踊る。AKB48による「ゼロサム太陽」(横山)に次いでAKB48研究生選抜(ドラフト3期含む)が「はにかみロリーポップ」(STU48今村美月)をキュートな衣装で軽快に歌った。

 ここで再びSKE48が登場。「兆し」(STU48福田朱里)のイントロが流れ出すと、ビートは高まり、観客の合いの手も激しさを増す。歌い終わりにはSKE48の高柳明音が「みんなでこの選挙を盛り上げましょう!」と呼びかける。続くNMB48の「妄想マシーン3号機」(NMB48坂本夏海)ではメンバーそれぞれの「あなたの心にホームラン!」などの“妄想コメント”が観客席に届けられ、“推しメン”はドッと沸く。

 NGT48加藤美南、菅原りこらの「あとで」(NGT48山田野絵)、HKT48の「希望の海流」(NGT48日下部愛菜)、AKB48の「僕のYELL」(AKB48水野愛理)のパフォーマンスが熱気を引っ張った。

ホーム開催に感無量――SKE48

コンサートのもよう(撮影=桂 伸也)(C)AKS

 コンサート2度目のMCでは、赤いタキシードを着た松井らSKE48がステージに登った。「この衣装見たら名古屋のみんなは分かってくれるよね」と呼びかける松井に、ファンは大声援で返す。披露したのはSKE48が7月24日にリリースする「いきなりパンチライン」。松井をセンターに、赤い衣装に包まれたメンバーはアグレッシブなダンスを披露した。

 地元・名古屋で選抜総選挙が開催されることを横山から尋ねられたSKE48斉藤真木子。「10回連続で総選挙に出てるんですけど、ホームで開催できるのが初めて」と感無量の様子。そして、これまでの他の開催地での経験を経て「『自分たちも絶対負けないのに』って思ってたのが実現できてうれしい」と喜びの声を寄せた。

 さらに、横山はSKE48から速報10位に入った一色嶺奈、速報12位の荒井優希に感想を聞く。2人ともびっくりしたことを述べつつ、自らの“推しメン”が座る席が盛り上がっていることを喜んでいた。

 ここからは全員が登場し、観客席を回って“推しメン”と触れ合う。「僕だけのvalue」(HKT48渕上舞)、「大人列車」(HKT48冨吉明日香)、「永遠より続くように」(AKB48岡田梨奈)を歌い、松井も“推しメン”の前で元気な姿を見せた。「引っ越しました」(AKB48向井地美音)、「出逢いの日、別れの日」(AKB48橋本陽菜)の計5曲を全員(BNK48、TPE48以外)のパフォーマンスが彩った。

世界に広がるグループの輪

コンサートのもよう(撮影=桂 伸也)(C)AKS

 そして、最後の楽曲として用意されていたのは「Teacher Teacher」。歌唱前に横山は、ステージ上にHKT48の指原莉乃、AKB48兼NGT48の柏木由紀、NMB48の山本彩、AKB48の村山彩希を呼び込むと、観客席も大声で歓迎の意を示す。

 すると、指原は「ゆきりんがね、止められちゃったんだって」と柏木に話を振る。柏木は「ナゴヤドームの入り口で「パス見せてください」と言われた様子。以前にもストップをかけられたことのある柏木の自虐エピソードに、メンバーとファンは大きく沸いた。

 セクシーなダンスで「Teacher Teacher」を歌い切ったメンバー。ただ、観客席からは「アンコール」の声が寄せられる。すると、ステージ上の画面には映像が映し出され、総勢593人のメンバーから、WRD48(ワールド48)の16人が発表された。

 そのメンバーは、横山、松井、白間、宮脇、荻野、AKB48の馬嘉伶、野澤玲奈、岡田奈々、小栗有以、STU48の瀧野由美子、BNK48のチャープラン、ジェニス、ミュージック、TPE48陳詩媛、陳詩雅、邱品涵。そのセンターには、BNK48でキャプテンを務めるチャープランが抜擢された。

コンサートのもよう(撮影=桂 伸也)(C)AKS

 WRD48が披露したのは「恋するフォーチュンクッキー」。日本語だけではなく、タイ語、台湾語でも歌われる異色のステージを実現。歌い終えたチャープランは、大役を終えてホッとしたのか涙をこぼし、松井は優しく頭をなでた。

 コンサートの大トリは「ヘビーローテーション」。松井はファンに「やっと声が出せるよ!」と力強くコメント。観客席からこの日一番の合いの手が入るなか、グループ全員でパフォーマンス。およそ3時間のハードワークを完走し、大歓声のなかメンバーはステージを去った。

 午後から開催された『AKB48世界選抜総選挙』では、松井が悲願の女王の座を射止めた。地元・名古屋での開催という中で、この日のコンサートは彼女の強い気持ちが全面に溢れだすステージとなった。

 そして、AKB48グループはその一人ひとりが一生懸命なパフォ-マンスを見せることで、グループの熱気を観客に伝え、一体感を呼ぶステージを実現。世界に広がるグループの輪をより強固なものとし、未来に続く確かな道を作った。

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