身の回りにあるすべてがラブソング
――歌詞の面でご自分の経験も引っ張り出して、そこに重ねたりしましたか?
カバーを歌う時はいつもそうです。特に、歌詞ですごく共感できる言葉があれば、過去の経験や当時の感情を思い出しています。「あの時、こう思っていたな」とか。今回も悲しかった恋愛経験や、別れを思い出しました。でもそれを乗り越えて、私は今ここにいる。だからこの曲を通して、出会えて良かったという感謝の気持ちや、さよならから始まる新しい出会いもあるということを、聴いてくれる方にも伝えたいと思いました。
――MVは、思い出がフラッシュバックするような映像で、切なさと温かさが滲んでいる感じですね。
今回は制作内容や衣装を決める段階から私も積極的に参加して、ビデオの監督さんと細かく相談しながら、制作しました。仰っていただいたようなフラッシュバックのシーンは、“キラキラの中に隠れている切なさ”を表現したくて、このような内容に仕上げました。
――海とかいろんなシーンが出てきますけど、それだけたくさんロケをしたということですよね。
そうなんです。海辺で日の出のシーンを撮る予定でしたので、朝3時に千葉の海に行き、その後埼玉で草原のシーン、都内で屋上シーンなどと1日かけて撮影してした。今回は、ありのままの私を見せたかったので、衣装には私服や私物のアクセサリーを使ってこだわりました。
――カップリングには、秦基博さんの「アイ -Re-edit Ver.-」、SUPER BUTTER DOGさんの「サヨナラCOLOR ‒Remastered-」、Rakeさんの「100 万回の「I love you」-Re-edit Ver.- 」を収録。それぞれの曲には、どんな思い入れが?
「アイ」は、歌詞を読んだ時に、「こんなに深い愛をまだ自分は経験していないんじゃないかな」と思って。解釈するのにとても悩み、色々考えされられた楽曲なので、レコーディングはとても印象に残っています。
「サヨナラCOLOR」は学生時代に何度も聴いて、たくさん助けられたことがあるので、とても思い入れの強い曲です。ライブで歌っていると、当時を思い出していつも泣きそうになります。
「100万回の「I love you」」は、ライブで必ず歌っている、大好きな曲の1つです。Rakeさんのライブを観たことがあるのですが、この曲を歌っているとき会場が一つになっていたことを覚えていて。それがきっかけで好きになり、いつかカバーをしてみたいと思っていました。
――たくさんカバーしている中で、この3曲を選んだのは?
直球の“LOVE”もあれば、深い“愛”もある。このEP1枚で、いろんな形のラブソングを楽しんでほしいと思ったのがきっかけです。昨年リリースしたラブソングカバーの中から、改めて聴いてもらいたい3曲を最終的に選びました。
――基本的にラブソングを歌っているそうですけど、自分にとってラブソングはどういうものですか?
私にとっては、「ラブソング=ライフソング」だと思っています。究極を言えば、生きていること自体、そこには愛があると思っていて。だから男女の恋愛だけでなく、家族や音楽への愛とか、身の回りにあるすべてのことから“ラブソング”は生まれると思って、歌詞を書いたりカバー曲を選んだりしています。
――いつぐらいからそういう考えに?
自分の想いを届けたいと思って作詞を書き始めたので、その頃から今のような考え方になったのだと思います。
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