イチからバンドをやっている感覚、BugLug リスタートで想う心情
INTERVIEW

イチからバンドをやっている感覚、BugLug リスタートで想う心情


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年05月03日

読了時間:約13分

 ボーカル・一聖の事故で存続が危ぶまれた、ヴィジュアル系ロックバンドのBugLugが、昨年5月の日本武道館公演で完全復活した。同年9月からは復活を待ってくれたファンに感謝の想いを伝えようと47都道府県ツアーを実施。そのツアー中に制作したという通算3枚目となるフルアルバム『KAI•TAI•SHIN•SHO』が5月1日にリリースされた。今年の活動スローガンに「がっつきます」を掲げた彼らが送るリスタートとも捉える本作。どのような思いを込めたのか。話を聞いた。【取材=村上順一】

 BugLugは、一聖(Vo)、一樹(Gt)、優(Gt)、燕(Ba)、将海(Dr)の5人からなる。2011年に現メンバーでの活動を開始するも、2016年一聖が事故により活動の存続も危ぶまれたが、ヴォーカル不在という苦境のなか4人で活動をおこなう。2017年の年明け、1曲のみだが一聖のカムバックによりバンドは本来の姿に。その年の5月には日本武道館公演『5+君=∞ 』も成功させ、完全復活とも言える新たなスタートを切った。

 9月からは復活を待ってくれていたファンへのお礼を言うべく47都道府県ツアー『RESTART WITH A NEW LIFE 』をおこない、今年の3月に無事に完遂。そのツアーをおこないながらも制作した通算3枚目となるフルアルバム『KAI•TAI•SHIN•SHO』を5月1日にリリース。ジャンルレスとも言えるようなバラエティ豊かな“BugLugらしさ”が詰まったアルバムになったと話している。

「なんでもかんでもやってやるぞ」

『KAI•TAI•SHIN•SHO』通常盤

——今年のスローガンは「がっつきます」。毎年、スローガンは決めているのでしょうか。

一聖 過去は毎年決めていたんですけど、昨年と一昨年はつけませんでした。というのも、バンドも成長してきたし「自分たちも大人だからかっこよく行こうぜ」という思いもあってあえて。でも、去年は僕の事故から復活したこともあり、今まで通りスローガンを決めた方が良いんじゃないかなと思いました。

優 今は、一からバンドをやっている感覚が強いです。この「がっつきます」という言葉は一聖が持ってきて、昔やっていたことを思い出して、「やってやろうぜ!」という気持ちで付けました。

——この言葉にはリスタートという姿勢も?

一聖 もちろんそれもあります。ヴィジュアル系というシーンのなかで、周りから「BugLug あー、名前ぐらいは知ってる」くらいのところで止まってしまうのではないかなと思いました。なので、自分達が“がっついて”いって「なんでもかんでもやってやるぞ」という気持ちがあれば、2018年は良い年になるのではというところでのこのスローガンです。

——攻めの2018年にしたいという想いも込められているわけですね。昨年から今年にかけて47都道府県を回るツアーもおこないましたが、それも攻めてますよね。

一聖 僕が休んでいる間も、メンバー4人でライブをしてくれていて、応援し続けてくれていたファンとか、みんながいるから僕らがいるということが自分自身も痛感しまして。僕らは47都道府県全てがホームだと思っていて、待っていてくれた人たちにお礼をしに行かなければならないなという思いがすごくありました。

——その47都道府県を回ってみて、得たものや思い出に残ったことはありましたか。

将海 写真が好きで結構撮るので、僕の写真フォルダの画像が増えました。基本自分は写っていないんですけどね。それでも思い出はしっかり写真や動画に残しました。沖縄だけで30枚ぐらい撮ってました。あと、やっぱり夜は楽しいなということです(笑)。みんなでお酒を飲むことがハッピーでした。

——沖縄が特に楽しかったんですね(笑)。燕さんはいかがでした?

燕 昨年武道館で復活して、ライブを出来ていない期間もあったわけで、徐々にライブ感を取り戻していってファイナルの新木場STUDIO COASTは完全体の良い形で終わらせることが出来ました。将海も言ってましたけど、このツアーでお酒がより好きになりました(笑)。

——お酒が皆さんの絆となっている感じも?

一聖 そうですね。みんな好きですからね(笑)。

——それでは一聖さんの感じたことは?

一聖 今回は『RESTART WITH A NEW LIFE 』ということで人生のリスタートということで始めたわけですが、意外だったことが今までついてくれていたヘアメイクさんが、2公演目から違う20歳のメイクさんに変わったんです。その子はヴィジュアル系のメイクもやったことがないような感じだったので、メイクしてもらうのは難しいなと自分は思ったわけです。結果、自分がしたかったメイクには結びつかずライブ前に困った時もありました。

——メイクも重要ですからね。

一聖 そうなんです。でも、そういうきっかけで新しい仲間が増えたのは嬉しいし、いつものメイクさんが戻ってきてくれたりもあって、「みんながいるから良いステージが出来るんだよな」ということが再確認できたツアーでした。僕らも何もかもが当たり前だと思ってはいけないなと。

——確かに慣れてしまうとそれが当たり前になっていってしまいますからね。優さんは?

優 自分たちではその時に見せられるBugLugを、最大限見せられているつもりでした。今客観的に見ると、不完全な状態でツアーを回っていたのかなと感じていて、昨年の武道館は僕らのライブとしては特殊で、良いライブではありましたけど、BugLugらしいかと言われればそうでもなかったのかなと今は思います。

 自分たちが正解だと思っていたものと違う状態でツアーが始まってしまって、それになかなか気づけなかったんです。ツアー中にメンバーと話すようになって様々な方向に向いていたものが一つの目標に向かって、目線を同じにして進むようになって、「BugLugのライブってやっぱりこれだよね」ということが確信を持って出来るようになったので、このツアー48公演をやらなければ見えて来なかったのかなとも思います。それに気づけたこととしっかりと軌道修正出来たことが大きかったです。今までの活動のなかでも重要なツアーになりました。

——一樹さんはいかがでした?

一樹 このツアーを回って、日々ライブで感じたものをこうやって作品に出来たことが、バンドにとってプラスになったことだと感じています。このツアーがなかったら今作『KAI•TAI•SHIN•SHO』の曲たちは産まれて来なかっただろうし、2018年を「がっつきます」という気持ちにもなれていなかったと思います。本数が多くて大変ではありましたけど、回った意味は十二分にありました。

——アルバムはツアー中に制作していたんですね。

一樹 スケジュールの都合もあってツアーと同時進行になってしまいましたね。そのおかげでこういう曲たちが揃ったので、それは運命的なことなのかなと。

——その中でこの14曲、初回生産限定盤に収録されている「[AB]Cosmic (Re-ARecording Ver.) 」も合わせると15曲という曲数ですから。

優 曲数に関してはちょっと意地になっていたところもありますけど(笑)。過去のシングルも入れようという話にはなったのですが、リスタートを切ったということもあり、新しいものを作りたいという思いが出てます。

——昨年リリースされた「新人生」も再録されていますけど、このスパンでレコーディングし直したというのもその思いが強かった?

一聖 今回のツアーで必ず演奏してきたということもあり、その時に抱いた思いというのをアルバムの中に入れられたら、それが一番、リアリティがあるのではないかなと思い、絶対録り直したいなと思いました。

優 ツアー回る前と回った後ではこの曲は違ったので、録り直さないとただシングルを入れただけになってしまうなと思いました。アルバムに収録するんだったら一聖も歌い直すべきだったし、それがしっかりと出来たので、よりこのアルバムが力強いものになったんじゃないかなと。 

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