世界と日本の音楽の違い
――「詩踏み」は2016年にリリースされた楽曲で、今回はライブバージョンが収録されています。改めてこの曲ができた当時の心境を教えてください。
この頃からライブで映えるような曲を作るように意識していました。音源よりも、凄く勢いがあるので、そういうことがよく分かる曲になっていると思います。
――メロディーに関してはバロックの様なクラシカルな雰囲気があるように感じます。そういう美意識みたいなものに関しては?
個人的にはクラシカルな旋律やコード進行は好きですね。
――バッハやリストなどは美しい旋律だと思いますが、日本の歌謡曲も美しい旋律が多いと聞いたことがあります。
そうそう。独特の良いメロディーだと思います。外国人のミュージシャンに聞くと、「メロディーに関しては、作り方が分からない」と言われますね。一流の作曲家とかに聞いても、逆立ちしてご飯食べるくらいの意味不明な感じらしいですよ(笑)。
――本当ですか。意外ですね。ブラックミュージックなどの影響もあってリズムが主体になっていることもあるんですかね。
それもあるかもしれないですね。話を聞くと、サビが作れないらしいですよ。コードもずっと一定らしいですね。日本だと、サビでガーンと盛り上がるじゃないですか。逆に日本人からすると、ダンスミュージックのような音楽を作ることは難しいんじゃないですかね。
――日本の音楽は世界でも珍しいというか、オリジナルなものなんですね。2020年には東京五輪もあり、世界が注目すると思いますが五輪に絡めて何かやりたいことなどありますか?
日本の音楽って世界でも胸が張れる音楽だと思いますよ。だけど、オリンピックに関しては全く興味ないんで、意識してないですね。五輪は、むしろやって欲しくないですね(笑)。会場とか建て直しで、やる場所なくなって会場取るのも大変です。
――確かに会場が取れない問題もありましたからね。
そうなんですよ。
痛みが再び
――DIR EN GREYさんの曲ですが、過去を振り返っても、メッセージ性が強烈ですよね。社会に訴えたいことなどを曲に込めているのでしょうか?
いや、社会に訴えるつもりはないのですが、昔から“痛み”を表現するというのがテーマとしてあるので、内面の痛みを出している感じですかね。
――心をエグるというか、そういう印象を受けました。2014年の『ARCHE』をリリースした時に「原点回帰である『痛みを表現する』というところに立ち戻った」と話していましたが、『ARCHE』のリリースはターニングポイントだったと思いますか?
そうですね。20年近くやっているので、痛みが再び(笑)。
――初めは自身の痛みを表現するところから始まったと思うのですが、20年間表現していく中で、いつしか人のためになっていたといった様な曲を届ける目的の変化はありましたか。
いや、根本的には何も変わっていないですね。自分たちが思うように表現してきて聴いてくれる人はどう感じても構わないというか。なので、社会に向けてはないですね。
――曲は痛みをテーマにしているものだということですが、できた時にこういう想いで書いたとか話合ったりしたりするのでしょうか?
いや、もう感じたままで。それぞれ解釈があると思いますが、レコーディング前って一切バンドで合わせないんですよ。「人間を被る」もつい3日前に初めて全員で合わせたんですよ。ツアーのために。その時に、ここはもっとこう、ということは言ったりしますけど。
――では、曲を作った時と実際にメンバーに合わせた時とでは、全然曲のイメージが変わったりしますか。京さんのボーカルのあわせ具合などで。
そうですね。多々あります。合せてみないと分からないですね。
――「Sustain the untruth」(2014年)の時はセッションしながら合わせていったと話していたのですが、この曲はレコーディング前に合わせて?
そうです。レコーディング前に1回合わせて、みんなの解釈を確かめる感じで。今回は全然時間が無さすぎて、やっていないですけど。
――理想はやはりレコーディング前に合わせるやり方?
そうですね。多分全部それやっていると、10年くらい掛かります(笑)。
――ミュージックビデオも「鱗」など、とても過激ですよね。MVに関してはどういう風に制作されていくのでしょうか。
MVはその都度、監督さんと話して。話し合いの元で作っていく感じですね。作るからにはインパクトあるものをとは思っていますね。
――義足だったり、中世の悪魔のようなキャラクターだったりメッセージ性の高い作品に見えるのですが、どういった過程であのような表現が登場するのでしょうか?
話し合いの中で、ふとした時に湧き出るインスピレーションですね。











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