祖母に送った曲が泣けると話題、ミサンガ 曲に込めた孫の想い
INTERVIEW

祖母に送った曲が泣けると話題、ミサンガ 曲に込めた孫の想い


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年04月06日

読了時間:約10分

曲順によって変わる世界観

 反響を受けて再リリースされたメジャー盤には「はじめまして、ばぁちゃん。」のほかに、既存曲の「明日の君へ」「ありがとう」、そして新曲の「さくらみち」が収録されている。この3つの曲についても話を聞いてみた。

東京でのライブのようす

高尾和行「2曲目の『明日の君へ』はインディーズ盤のカップリングです。『はじめまして、ばぁちゃん。』の歌詞に<もし僕に子供が生まれたら>というのがあります。僕はまだ結婚もしていなし、子供もいないけど、ばあちゃんに見せたい子供ってどんな感じだろうというのを膨らませて書いた楽曲になっています」

(記者)歌の1番は子供ができたことを連想させる詞で、2番は<君はどこにいるのか>や<雲の上から見ているの?>という歌詞から子供が離れてしまったということを感じさせました。

高尾和行「そうです。1番は夢のなかで見た腕で抱いているイメージです。それを表現するために歌詞の1番に<君の夢を見た>というのを入れました。『あ、夢だったんだ』と。2番はその夢でみた子供はいまどこにいるんだろうということを想像するようにしました」

(記者)収録曲順にも狙いはありますか?

佐藤裕亮「『はじめまして、ばぁちゃん。』から『明日の君へ』はそういうつながりがあって。3曲目の『ありがとう』は昔から歌っていた曲ではありますが、学校を卒業するタイミングで友達に歌った曲です。今回メジャーデビューが決まってもちろん友達にも感謝していますし、ずっと応援してくれる人たちにも感謝の気持ちを届けたいと思い収録しました。4曲目の『さくらみち』はメジャー盤として新しく出すCDなのでなにか新曲を収録したいなと。福岡の街の桜風景、そして春に向けてのリリースだったので、新曲の新しい部分をお見せできたらいいなと思って収録しました」。

(記者)「さくらみち」はどういう思いで作られた曲ですか?

高尾和行「桜の印象を、出逢いと別れとは良く言いますけど、『ありがとう』はプラス、春な部分です。対してこの『さくらみち』は対照的な部分と言いますか。僕が思う桜は『うわ~綺麗だな~』という綺麗な景色の裏側にある過去というか、ちょっと暗い部分が人間にはあると思っていて、そういう陰の部分を、桜が舞っているというイメージの世界観で表現したいと思いました」

高島直也

(記者)歌詞に<指先に握った桜道>とあります。<指先>とすることで描写が限定されてくると思いますが、これはどういう想いでこの言葉を選ばれたのでしょうか?

高尾和行「それは男の子と女の子の不器用な感じと、女の子のちょっとした弱さ、小ささや弱さを表現するためにわざと小さい表現にしています」

(記者)確かに恋人同士という印象もありましたが、「指先を握る」表現からは小さな子供が親の指を握っているようにも感じました。

高尾和行「確かにそうですね。その目線で捉えると切なくも聴こえますね」

 ミサンガの楽曲は特に、聴く人の状況によって捉え方が変わる不思議な力がある。それも魅力の一つだ。1曲1曲が独立した世界観を有しているが、前後に並ぶ曲、いわば曲順によってその曲の性格、世界観は変わってくる。今回のシングルは、「はじめまして、ばぁちゃん。」と流れていく過程から「子供」というキーワードが筆者には想い浮かんだが、その解釈は様々だ。そうした背景から4曲入りのシングルにしてコンセプトアルバムのような作りともいえる。

佐藤裕亮「人によって様々な捉え方をしてもらえるのは僕らにとっても嬉しいです」
 彼らが幅広い世代から支持されている要因には、こうした言葉の解釈の広さが挙げられる。さてメジャーデビューした彼ら。九州から全国へと活動の領域も広がっていく。今後、どのような活動をしていくのか。

高尾和行「僕が思うのはこの曲(はじめまして、ばぁちゃん。)に偶然出会ってくれたら何かを感じてくれると思うので、この曲を持って色んな方に出会いたい、出会っていきたいと思っています」

高島直也「作った側と聴く側とでは曲の見方が変わってくると思います。その1曲に対して皆にこう思ってほしいというのではなく、聴いてくれた人それぞれの人生にあてはめて、その人なりの解釈で聴いてもらえたら嬉しいです」

高尾和行「12年、インディーズでやってきて何回もくじけそうになったこともありました。でもこの3人だからやってこられたというのがあって、苦しい時に3人で言っていたのは「どんなことがあろうと3人で爺さんになっても歌おうぜ」ということです。そこが最終目標でもあります」

 人々に寄り添う彼らの音楽。満開を迎えた桜が風に吹かれて遠くへと舞うように、彼らの音楽は今、九州から全国へと広がりを見せている。

(おわり)

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