音楽グループの竜馬四重奏が3日、東京・日本橋三井ホールで『THE LIVE SAMURIZE -FINAL-』公演をおこなった。このライブは昨年10月にリリースした2ndアルバム『SAMURISE』を引っ提げた、初の全国ツアー最終公演。アンコールを含み全19曲を2部制のステージで展開。竜馬(ヴァイオリン)、雅勝(津軽三味線)、翠(篠笛)、仁(小鼓ほか打楽器)が織り成す、和洋折衷サウンドが時にダイナミックに、時に繊細に響き渡った。彼らのステージは「一つひとつが繋がってきたなと思います」という竜馬の発言が象徴していた様に、オリジナリティ溢れる彼らの更なる飛躍を感じさせた。同公演の模様をレポートする。【取材=小池直也】

歌がなくても、聴こえてくる歌

竜馬

 おごそかなSEが響き、仁によるナレーションが流れる。これに続いてメンバーがステージに登場。開幕は「焔」から。ヴァイオリンの優雅な調べに篠笛と三味線と鼓の響きが混ざりあう。続く「風神」は竜馬と雅勝が繊細にユニゾンして観客の心を捉える。照明もリズミカルに楽曲と同期していた。

 2曲披露してから竜馬がMC。マイクをとり「竜馬四重奏としては、ワンマンライブの最大キャパシティですが、お陰さまで完売でございます!」と本公演満員御礼の感謝を伝えると、大きな拍手が送られた。

 メンバー紹介をおこなってから「YAMATO」を披露。篠笛の綺麗な戦慄が先行してから、テクノ感のあるビートがイン。さらにサビではヴァイオリンと篠笛がハーモニーを作りだした。一方で雅勝は弦を叩き、疾走していく。

 「津軽じょんがら節」では、雅勝が緩急をつけながら独奏し、大きな拍手を得ると、きれいなピアノのイントロから「花は咲く」へ。東日本大震災復興支援ソングであるこの曲だが、竜馬四重奏のカバーはまるで歌が聴こえてくるかの様な温もりを帯びていた。

 そこから「乱拍子・急の舞」、「TSUBAKI −紅−」と楽曲を並べる。再度のMCでは、過去にブルネイで「We Are The World」を演奏した思い出などが4人によって回想された。

 そして竜馬が「一緒に盛り上がってください」と呼び掛けて「幕末ファンク」を演奏する。90年代を思わせるポップなサウンドでメンバーたちはノリノリ。ヴァイオリン、篠笛、鼓、三味線とソロを繋いだ。

 ここで、第1部ラストの「さくら」に繋ぐ。ヴァイオリンのイントロ部分で他3人が手を左右にふってオーディエンスを煽る。そこからビートが鳴らされると明るい曲調に。きれいなメロディが紡がれていった。仁も扇子を振るパフォーマンスを見せ、第1部が終了。

唯一無二のオリエンタルサウンド

雅勝

 休憩を挟み、映像が流れてから「疾風迅雷」で演奏再開。仁と雅勝によるデュオパフォーマンスだ。中間部では雅勝が拍手を求め、観客を巻き込んだ。エンディングは2人でジャンプして魅せる。

 「空域の乱」は紫を基調とした照明が情熱的なサウンドに華を添えていた。ヴァイオリンが艶っぽくて、壮大なアレンジも聴きどころ。

 さらに翠が「皆さんの心の景色を思い浮かべながら聴いて頂けると嬉しいです」と伝えて「HIDE AND SEEK」へ。かくれんぼというタイトルどおり、呼び掛けと応答が曲中にたくさん散りばめられている。伸びやかな篠笛の音色が響いた。

 パーカッシブなリフが提示されて始まったのは「夜明け」。グルーヴするヴァイオリン、三味線、篠笛に対して直感的にリズムを打つ仁が対比的な一曲だった。

 それから「皆さん、よろしければ一緒に踊りませんか?」と、竜馬が「Venus」で観客をダンスに誘う。その言葉に導かれてオーディエンスが立ち上がり踊り出した。踊りながら弾くメンバーたち。仁はサングラスをかけてお茶目に振る舞った。

 さらに早いテンポの「Rising Sun」で畳み掛ける。仁が煽ってステージの上も下も熱が増した。オーディエンスもクラップで演奏に参加していく。

 竜馬が「去年この会場が満席になるなんて考えられませんでした」と改めて観客に感謝を届ける。そして「ヴァイオリンと和楽器が聴こえたら竜馬四重奏しかいないので、このオリエンタルサウンドを応援してください」と語った。

 さらに、竜馬は「皆さんの笑顔と僕らの発展を誓って、この曲で終わります」とMCを締めると「大地」を演奏。シンプルながら琴線に触れる展開。ひとつ一つの音にビブラートを込める竜馬の指から万感が伝わってきた。そして最後の1音が弾けて、エンディング。深々とお辞儀をしてメンバーは退場した。

一つひとつが繋がってきた

 ほどなくしてアンコールが発生。するとツアー中のショットと思われるスライドが映し出され、客席に竜馬四重奏メンバー4人がサプライズ登場。「Oriental Bird」を披露した。目の前で演奏する彼らに観客たちが目を輝かせる。

 エンディング後、メンバーそれぞれが挨拶。翠は「お客様が一緒に曲を育ててくれている気がします。これからも楽曲を愛してもらって、竜馬四重奏を応援して頂きたいです」とコメント。

 仁は「全国6カ所、本日ファイナル。これら全てがスタッフのお陰なんです。何より足しげく通ってくれる皆さん、初めていらっしゃった皆さんのお陰なんです。引き続きご支援、ご贔屓のほど宜しくお願い申し上げます」とスタッフと観客に感謝。

 雅勝は「海外にも僕らの事を熱心に応援してくださって、段々と色々なところに浸透していくのが嬉しくて。もっと日本国内も回っていこうと思っていますので、応援宜しくお願いします」と呼びかけた。

 そして、竜馬は「一つひとつが繋がってきたなと思います。『SAMURIZE』ツアーとしてはこれで一区切りですが、竜馬四重奏はまだまだガンガンいきます」と意気込んだ。

 そのまま竜馬が「まだまだ盛り上がっていきますか!」と煽ってアンコール再開。「ハルカカナタ」は疾走感のある曲で、観客もタオルをまわして盛り上がる。篠笛とヴァイオリンのバトルも見応えがあった。雅勝も観客席になだれこむ。

 最後はキャノンも発射される豪華な演出で「RYDEEN」を披露。会場全体が最後まで熱を帯び、最後は4人の乱れ弾きでステージを締めくくった。

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