現在、tvk(テレビ神奈川)とファミリー劇場で再放送されている特撮ドラマ『帰ってきたウルトラマン』をたまに見ることがある。『ウルトラマン』シリーズは、小さな頃に初代のウルトラマンの前、『ウルトラQ』から、そのシリーズが一区切りついた『ウルトラマンレオ』まで、全話に登場した怪獣を丸々暗記してしまうほどに好きだった。

 それほどまでにインパクトの強いものだっただけに、例えば、カラオケなどに行き誰かが冗談でこのシリーズの歌を歌い始めると、幼い頃のワクワクした気持ちが甦る。そこで、今回はそんなヒーローモノ特撮シリーズ、その主題歌というものを考えてみたい。

 『帰ってきたウルトラマン』の主題歌は、<君にも 見える ウルトラの星>そんな、身近に話しかけてくるようなフレーズで始まる。このフレーズが、どれだけ多くの少年の心をガッチリつかんできたのだろう…そんな思いを巡らせずにはいられないが、近年のヒーローシリーズの主題歌はどうだろう?

 近年のヒーローモノ特撮ドラマは、ストーリーがかなり複雑になってきており、中でも正義/悪というテーマに関して、かなりシリアスに切り込む傾向がある気がする。それが悪いというわけではない。むしろ、シリーズの初期に見られた勧善懲悪的な前提を、果たして本当にそうなのか? と改めて疑わせてくれる、という側面もあると思う。

 だが、やはり小さな子供たちにワクワクするような瞬間を与えてくれる、そんな機会が、ある意味少なくなっているというのも正直寂しい気もする。その雰囲気は主題歌にもある。かつては、主題歌から気分がスカッとなるような瞬間を感じながら私は大きくなっていった、かつてはそんな気もしていたのだが…

 先日、東京でおこなわれた映画『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』完成披露上映会の取材で、歌手のMay J.が主題歌「絆∞Infinity」を歌うのを見た。同曲は、詩人で作詞家の森雪之丞氏が作詞を担当。May J.は公式ブログで「歌詞がストーリーに驚くほどマッチしていて、鳥肌が立っていました」と綴っている。

 幼い頃にはウルトラマンシリーズに親しみ、「憧れも抱いた」という彼女。この日は二人のウルトラマンを背に、高ぶる気持ちを思い切り吐き出すように、両足を肩幅より少し広く広げて力強く立ちながらの熱唱を見せ、声援と拍手喝采を浴びていた。曲のラストに見せたシャウト気味のメロディフェイクには、横で見ていた俳優の石黒英雄も少し驚いたような表情を見せていたが、それはMay J.の気迫に押されたのではないか。

 そんな様子がステージで見られ、歌詞の内容とは裏腹に、幼い頃『ウルトラマン』を見たときのワクワクするような気持ちを思い出したひと時でもあった。【桂 伸也】

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