バラードだけど感じるビート
――ジェイキューは、ギャグマシーンだったと。そんな人から、こんなにも心に響くバラードが生まれるなんて、何だか信じられませんね…
北山陽一 そのギャグマシーンが、歌うとこれまたすごくスウィートな声なんですよ。
村上てつや 彼は言っていましたよ。「シャウトして感情を伝えることはイージーだ。ナチュラルにエモーションを伝えることを、僕は大事にしている」と。
実際に今回のレコーディングでも、「こうして欲しい」というディレクションはほとんどなかったけど、唯一あったのは「もう少し抑えてほしい」ということ。できるだけナチュラルな表現の中で、スウィートさを保って伝えてほしいというもので。
安岡 優 歌詩を書いて鼻歌で聴かせたときも、「そうそう、その感じ。鼻歌くらいの感じがいい」と言っていて。
――シャウトせずナチュラルに、しかし気持ちの上ではエモーショナルにと。ただ歌の中で、<満たされない感情さ>のところは、唯一感情が露わになっていると思いました。
黒沢 薫 ここは、僕も歌っていて好きなところです。もともとジェイキューからもらったデモが、そうなっていて。きっとここはポイントだろうなと思って、意識しました。安岡の歌詩もバチッとハマって、印象的になりましたね。それにカラオケとかで、みんなマネして歌いたくなるんじゃないかと思って。
――それやっちゃいました(笑)。<さっ>って、声に出してマネしたくなるんですよね。
黒沢 薫 まんまと(笑)!
――歌詩は安岡優さんですね。
安岡 優 もともとジェイキューが英語で書いていたものがあって、「Enough for Us」というタイトルで、「僕と君に愛が満ちあふれているから、僕の心は満たされている」という内容でした。そこで、日本語の歌詩を書く時に何か象徴となるものが欲しいと思って、満たされていることの象徴として「ヒカリ」と付けました。たとえば月は、太陽の光を受け止めているから輝いているわけで、僕の愛も受け止めてくれる相手がいるから光るんだ、と歌っています。
――もともと英語の歌詩がハマっていたメロディーに、日本語を当てるのはけっこう難しいですよね。
安岡 優 そうですね。R&Bの場合は、歌詩自体がビートの大きな要素になっていて、特にブライアンとキューのコンビが作る楽曲は、どんなにスローな曲であってもビートが必ずあるんです。18年前に「永遠に」をレコーディングした時も、あんなにもバラードの曲だけど、それを聴きながら踊っちゃっていたくらいでした。
彼らにとっては、バラードもアップテンポも、どちらもダンスミュージックで体が揺れる音楽なんです。そのビート感を損なわないように、日本語を乗せていくことが必要でした。それを上手く表現できたのは、歌う立場の感性が役立っただろうし、ここ10年ダンス☆マンさんと制作した経験が活かされたと思います。
――また最後のところは、ピアノと歌だけになって。そこがまた雰囲気が変わっていいですね。
黒沢 薫 そことイントロは、ジェイキューが来日した時に作り足したところです。「ここが空いてるから、アレができるね」って。
──アレとは?
黒沢 薫 「永遠(とわ)に」の最後にもそういう部分があって、“キャナルコーラス”と読んでいますけど、「永遠(とわ)に」を作曲した妹尾 武さんが作ったものには、もともとはなかった部分で。今回もそういうことができたらいいねと思っていたので、「ここはアレの出番ですね」って感じで。
――ある種、「永遠(とわ)に」のオマージュするような。
黒沢 薫 ことさら意識したわけではなかったけど、作っている人が同じですし、自然とそういう発想になりました。たとえば「DAWN~夜明け~」も彼がアレンジしてくれたけど、コーラスを重ねて違った風合いを出していくのが、彼の持ち味でもあるので。
北山陽一 一緒に作る過程は、お互いに鼻歌でアイデアを出しながらキャッチし合ってまとめていった感じですけど、イントロとそのアウトロを足せたのは経験として大きかったですね。
安岡 優 ゴスペラーズが5人いることを想定して、それを活かしきったボーカルアレンジだと思います。


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