声優で歌手の山崎エリイが10日に、東京・EX THEATER ROPPONGIで自身2度目のソロコンサートとなる『山崎エリイ Concept Concert 2018「millefeuille harmony」』をおこなった。この日、おこなわれたステージのコンセプトは “昭和のアイドル”。今でも歌い継がれる往年の昭和のアイドルの有名曲と、山崎の持ち曲をまさに“ミルフィーユ”のように交互に挟み込んで披露するというプレミアムなステージとなった。【取材=桂 伸也】

昭和、今、そして山崎。

 山崎は2011年に『ホリプロタレントスカウトキャラバン』に参加、ファイナリストの10人に選ばれ事務所からスカウトを受けて声優デビューを果たした。また2013年からは事務所の同期メンバーとともにライブイベントをおこなうなどの歌手活動も開始。2016年にはファーストソロアルバム『全部、君のせいだ。』をリリースし、2017年には初のソロコンサート『山崎エリイ First Live 2017「Teenage Symphony For You」』を開催した。この日は2度目のソロコンサートとなる。

山崎エリイ(写真提供=アー写.com(R) )

 定刻を少し過ぎた頃、突然会場には山崎からのアナウンスが。開始の挨拶とともに、この日のコンセプトが告げられ「まずはこの曲!」その声とともに会場には前奏が流れ始め、ステージの後方中央から山崎が現れた。その粋な計らいにあおられ、観客は最初から総立ち状態となる。

 ステージは松田聖子のヒット曲「夏の扉」でその幕を開けた。山崎の歌声で、伸びやかに、そして表現力も豊かにたどられるメロディー。そこには“昭和の歌”などという隔たった認識などもはや消失し、山崎自身のプレイとして観客はその歌に引き込まれていった。

 ステージは続いて「アリス*コンタクト」からピンク・レディーの「ペッパー警部」へ。まさにミルフィーユのように重なっていくナンバー。その歌と歌の間に挟み込まれる敷居のようなものは、そこには無かった。

 しっかりとメロディを歌い上げながら、ステージを左へ、右へ、そして観客に手を振りながら、パフォーマンスもしっかりと決める山崎。さらには「空っぽのパペット」から「Lunatic Romance」、途中に中森明菜の「DESIRE -情熱-」まで、一転してダークでクールな雰囲気の曲もしっかりと歌で表現する。MCで見せるあっけらかんとしたイメージとは180度異なり、その歌には並々ならぬ情熱が感じられた。

 さらにステージ中盤には、ピアニストの大坂孝之助をステージに招き入れ、ピアノとのデュオタイムに。この初の試みに山崎は、当初「だって、すごく声が響くんだもん! 怖い!」などと緊張の様子を見せていたが、荘厳なイメージの前章から入るザ・ピーナッツの「恋のバカンス」から、その声を臆することなく響かせ、聴く者を魅了する。

 さらに、日傘を手に独り舞台を演じるように、ドラマチックに歌う「雨と魔法」から、観客の手拍子が力強く後押しする松田聖子の「天使のウィンク」と、ピアノとボーカルというシンプルな組み合わせでも、しっかりと自身の世界観を作り、会場を盛り上げていった。

「幸せのひとかけらになれたら」

 ここで一度、山崎はステージを降りる。会場には再び山崎のアナウンスが。前回のファーストソロステージでは、ここで山崎のこれまでの生い立ちが語られたが、今回は山崎自信が描いたという、歌の妖精にまつわる一つの物語が語られ、興奮に包まれた会場をクールダウンしつつ印象的なひと時を作り出していた。

ライブの模様(写真提供=アー写.com(R) )

 そしてステージは後半へ。ピンク色のドレスにお色直しをした山崎は、チョコレートの入ったバスケットを手に、ステージからフロアへ。そして一足早いバレンタインデーとばかりにフロアを歩きながら、チョコレートを観客に向けて投げ入れる。ここで披露されたのは、国生さゆりの「バレンタイン・キッス」。

 観客と山崎の、楽しい時が過ぎていく。そしてアクティブな8ビートの「Dreamy Princess」から、ステージはラストスパートに。観客もそれを感じ取ったかのように、再び総立ちになって山崎の声に応える。

 テクノ的なカラーも見えるポップな「ドーナツガール」に、ピンク・レディーの「S・O・S」、さらに工藤静香の「MUGO・ん…色っぽい」へ。何度聞いても感じられることだが、サウンド的なカラーを除いては、山崎が歌うことで、自身のオリジナルナンバーと昭和の楽曲との境が見えなくなる。そこには山崎自身の歌の実力と、歌に傾けた情熱、そして自身の持つイメージなど、山崎の持つ全ての要素がそう見せているようでもあった。

 そしてビート感の強い「Zi-Gu-Za-Gu Emotions」で、ステージはいよいよ終わりを迎える。さらに続くアンコールでは、ファーストソロアルバムのタイトル曲「全部キミのせいだ」で、観客との掛け合いまでしっかり決め、観客への思いを込め、初めて自分で作詞したという楽曲「Pearl tears」でそのステージに幕を下ろした。

 最後に山崎は「皆さんの幸せのひとかけらになれたら」という言葉とともに、この日2度目のソロステージを迎えることができた喜びを語りながら、観客の一人ひとりに笑顔を振りまいてステージを降りた。

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