ブレてる暇さえない。だからブレない
――「WeArePartyMonster feat.BLACK JAXX(DJ DRAGON & 武田真治)」も、ロックンロールがベースになっていますね。
これはDJ DRAGONさんと話ながら、「今こういう感じが好きなんだけど」って、参考音源やビートのアイデアを交換しながら進めていった曲です。
MVを撮った時に思ったんですけど、武田真治さんはすごくプロフェッショナルな方で。どの角度から撮っても、格好良く映れる見せ方をすごく知っているんですね。DRAGONさんの作ったビートも、すごく格好いいし。すぐ書いてすぐできたという感じで、これこそ理屈じゃない感じで、いろんな垣根を越えられたと思います。
――Zeebraさんとの曲「衝撃 feat.Zeebra」は、スケールの大きなトラックに乗せたZeebraさんのラップの仕方や声が、いわゆるZeebraさんとは違っていて、それが衝撃的でした。
お互い新しいアプローチをしたいと思っている中で生まれたもので、昔からやっている感じのままではその延長になってしまうし、先が読めてしまうと言うか。ビートに対するZeebraさんのああいったアプローチがあって、それに対して僕がアプローチするみたいな形で、けっこうな回数をやりとりしてできました。最終的には「良かったよ」と言ってもらえて、僕もホッとしましたね。
――Zebraさん的にも、新しいものを出したいという気持ちが。
そうかもしれないです。でも何かを狙うみたいなものは、ここまでくると意味がなくて。理屈じゃなくて、正直に言うと、やっているうちにこうなったという部分もあるんですけど…。ただ、アルバムにこの曲が入っていると入っていないとでは、大違いと言える存在感を放つ曲になりました。パンチが効いていますね。
――「ブレてる暇なんか無ぇ feat.いとうせいこう」も、あるとないでは大違いでしょうね。
『OyaG』というトークイベントに出演していただいたことがあって、その時のトーク中に、せいこうさんから「ブレてる暇なんか無ぇよ」というワードが、ふっと出てきて。「今の格好いいね!」という感じで、タイトル先行でできた曲です。
みんなだいたい「ブレたくない」と言うけど、せいこうさんはそれを「ブレてる暇さえない。だからブレないんだ」と。ブレないという結果は同じでも、切り口が他とはちょっと違うのがさすがです。
せいこうさんには、「今まででいちばん格好いい、いとうせいこうを見せてほしい」とお願いして、ラップをしていただきました。大先輩に対して、「言うねえ!」って笑われそうだけど、思い切って挑戦するみたいな形でお願いして。結果、ご本人もエキサイトして臨んでくれたので、よりガチンコ感が出ましたね。
僕が24〜25年やってて、せいこうさんは30年以上やっていらして。それを足して50年以上のキャリアってことにしちゃうみたいな、乱暴な計算だけど、そのくらいのものはあるよねって歌っています(笑)。