CDパッケージとしての魅力、そこから生まれるコミュニケーション
先月、CDの存在意義というコラムを掲載しましたが、書きながら、改めてCDというモノの価値を考えさせられました。音楽は聴くものですが、アート作品でもあり、ジャケットや歌詞カードは眺めるという楽しみもあります。
先日おこなった取材で、パッケージとしての魅力について、あるシンガーソングライターと話す機会がありました。もらったCDをその場で開封したところ、CDが収まっている部分に衝撃的な写真が。同席したライターとカメラマンとでそれを見入り、そして、そのシンガーソングライターに経緯を尋ねました。
そのシンガーソングライターは経緯を明かすとともに「パッケージには思いがけない楽しみがあります」とも話していました。その時に、これはダウンロード配信ではなかなか味わえないなと痛感しました。副産物ですが、些細なことから会話が生まれコミュニケーションに繋がったとも思います。
単純にCDのフィルムを剥がし、ケースを開けるという行為だけでもワクワクしますし、話を聞けばそのパッケージにもアーティストのこだわりが強く出ているところでもあります。それはCDに付属する帯にも反映されています。
昔、ジャケ買いを楽しんでいた時はその帯に書いてあるキャッチコピーも重要なファクターでした。なかなかそれも秀逸なものが多かったと思います。もちろん聴いてみたら自分の思っていたイメージと違ったものも多々ありましたが…。
配信でももちろん、キャッチコピーなどはありますが、文字の羅列ではどうも心に刺さりにくい感じがしています。デザインの中にその言葉が入っていることが、意味合いをさらに強くし、ビジュアルとしても捉えやすいと思いました。
最近は帯にキャッチコピーが書いてあるCDをあまり見なくなった気がします。90年代には結構書いてあったと思うのですが…。改めて確認して見るといつからか帯が細くなって、インパクトがなくなったと感じています。
個人的には良い音で聴きたいという願望もあるので、2016年にリリースされたX JAPANの『Jealousy』のリマスターCDや、デフ・レパードのアナログ盤のように、盤を購入するとハイレゾのダウンロードクーポンがついてくるものが、もっと普及してくれると嬉しいですね。互いの良いところを補いつつ、楽しめる環境がもっと増えたら…と思います。【村上順一】
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