王の首獲る一手、EINSHTEIN & 言xTHEANSWER 若手ラッパーの野望
INTERVIEW

王の首獲る一手、EINSHTEIN & 言xTHEANSWER 若手ラッパーの野望


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年01月31日

読了時間:約10分

 人気と実力ともに若手TOPクラスのラッパーと呼び声の高い、EINSHTEINと言xTHEANSWERがタッグを組んだEINSHTEIN & 言xTHEANSWER
(アインシュタイン・アンド・ユートゥザアンサー)が1月31日に、デビューアルバム『Two Pawns』をリリース。

 EINSHTEINは、2013年から『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』に出場して好成績を残し、2016年にはテレビ朝日系『フリースタイルダンジョン』にチャレンジャーとして出演。2017年にソロで配信リリースしたEP『19’s MAP』は、iTunesランキング国内1位を獲得した。一方、言xTHEANSWERは、高校生のときからすでに3枚のアルバムをリリースし、数々のバトルに参戦。2016年に開催された『第10回高校生ラップ選手権 オールスター戦』では全国人気投票1位を獲得して、日本武道館のステージに立った。

 そんなスタイルも個性も異なる二人によるデビューアルバム『Two Pawns』は、「遊びの延長のなかで、その日のテンションのままに作った曲を収録。KINGの首を獲りに行く、一手となる作品」と話す。一見するとヤンチャそうだが、実は好青年の彼らに話を聞いた。【取材・撮影=榑林史章】

違いがあって歯車が噛み合う

――もともとは別々に活動をされていたんですよね。

EINSHTEIN & 言×THE ANSWER『Two Pawns』ジャケ写

言xTHEANSWER はい。出身地は、僕が北海道でアイン(EINSHTEIN)が大阪と、離れていて。2015年の『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』がきっかけで知り合い、そのときは敵同士でバトルしていたんですけど、「昨日の敵は今日の友」みたいな感じです(笑)。

EINSHTEIN 僕は昨年1月に上京したんですけど、上京したタイミングがほとんど一緒で、毎日一緒に遊んでいて、遊びながら何となく一緒に曲を作るようになって。そうしたらメジャーレーベルさんから出せることになって。だから今の状況が、本当に驚きですね。

言xTHEANSWER ありがたいし、夢があると思います。きっとみんなも頑張ってやっていれば、僕らのようにチャンスが巡ってくるかもしれないっていう。

――それぞれでも活動していますが、二人でやることで、どんなところに意義を感じていますか?

EINSHTEIN お互いにソロも並行してやっていて、CDもリリースしています。でも上京したタイミングで、新しい面を見せたいという気持ちもありました。ソロではすでに自分の色を出しているので、違う色をいきなり出すのは少し難しいと思っていて。

 でも、二人だと自然と違う色も出せるし。僕が赤でアンサー(言xTHEANSWER)が青だとしたら、その二つが混じり合った紫も出せるし、まったく違った黄色にだってチャレンジできる。ソロでは挑戦しづらかったものにも手を出せるのが、一緒にやる利点でした。

言xTHEANSWER 上京して、ソロでやって本当に音楽で飯が食えるのか、今の状況がいつまで続くかもわからない、少しでも怠けていたらあっと言う間に消えて行く。火を灯し続けることは本当に難しいなかで、一緒に遊びながら「怖いよね」と不安を言い合っていました。

 でも、不安がっている時間があるなら、それを制作の時間に費やそうとなって。だから、最初はまさかメジャーからリリースできるとも思わず、その日に起きた出来事をラップにしたり、その日の楽しい気持ちや辛い気持ちを、その時のテンションに合わせて素直に作っていて。そんな楽曲たちが、アルバムには収録されています。

――お互いのラップや音楽性については、どんな風に感じていますか?

言xTHEANSWER 僕から見てアインは、ラッパーのなかでも歌唱力があって歌えるのが大きいです。僕はソロでやってるときは、メロディを取り入れたとしても、これ以上はやるとヒップホップじゃなくなるんじゃないかとか、自分らしくないとか、ブレーキがかかってしまうところがあって。

 でもアインは、「それってヒップホップじゃないじゃん」と言われそうなところまで、どんどん踏み込んでいくんですよね。ヒップホップという枠に収まらず、シンガーとしても戦えるクオリティーでどんどん良い曲を作っていける。どちらかと言うと、僕もそこまでゴリゴリのヒップホッパーというタイプではないけど、その僕以上に枠がないですね。

EINSHTEIN 実際に僕の武器は、メロディと歌ものの“ポップラップ”という感じなので、そこを認めてもらえているのは、すごくうれしいです。

 逆に僕が、アンサーに対して思うのは、リズム感がすごいということ。狂いがないリズム感で、「どうしてそんなにきれいにラップをハメられるのか!」と驚くことが多々あって。それに長い文章でもしっかり意味の通った言葉で韻を踏んでいて、変な字余りもないし、リズムもバッチリ。

 きっと、普段あまりこういう音楽を聴かない人でも、違和感なくストレートに入ってくると思います。ラッパーにはリズム感が大切だけど、その中でもここまでリズムを取れる人は珍しいんじゃないかと思いますね。

言xTHEANSWER うれスィー! 今日はいい日です(笑)。でもそういう違いがあるから、上手いこと歯車が噛み合うのだと思います。

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